これぞ「究極の焼き芋」の作り方!マニアが教える甘みを最大限に引き出すコツとは

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これぞ「究極の焼き芋」の作り方!マニアが教える甘みを最大限に引き出すコツとは

焼き芋マニア直伝。究極の焼き芋の作り方

寒くなると、どこからともなく聞こえてくる「いしや〜きいも」の歌。焼き芋屋さんのような甘くてホクホクの焼き芋を、おうちでも焼きたてで食べられたら嬉しいですよね。

そこで本記事では、焼き芋マニアとして各種メディアで引っ張りだこの天谷窓大(あまやそうた)さんに、自宅でできる「究極の焼き芋」の作り方を教わりました。

天谷さんが焼き芋にハマったのは、仕事で焼き芋フェスの立ち上げに携わることになった約5年ほど前。

「全国の焼き芋屋さんを巡っているうちに、さつまいもの品種が昔に比べてかなり増えていて、おしゃれな専門店もたくさんでてきていること知りました。日々進化している焼き芋に、すっかり虜になってしまって(笑)。焼き芋フェスをとおして『このおいしさや奥深さを多くの人に広めたい!』という使命感のようなものが生まれました」

天谷さんが訪ねた焼き芋屋の数は実に100軒以上!おうちでもさまざまな作り方を試した結果、たどり着いた究極の焼き芋の作り方とは……?

まずはおいしいさつまいも選びをマスターしよう

自分好みの品種の見つけ方

近年、たくさんの品種が登場しているさつまいも。紅あずま、紅はるか、シルクスイート、安納芋などはスーパーでも見かけることが多いですが、それぞれどんな特徴があるのでしょうか?

「ホクホク系が好きな方は“紅あずま”を選びましょう。皮の色が少し暗めの紫色で、ふっくら膨らんだ形が特徴的です。トロトロ系好きには“紅はるか”がおすすめ。鮮やかなピンク色の皮で、細長い形をしています。

最近有名になってきた品種に“シルクスイート”があります。紅はるかよりもさらにしっとりとしていて、乳製品との相性がいいのでスイーツに加工するのもいいですよ。甘みが強く人気のある“安納芋”は、しっとりとホクホクのバランスが良く、とにかく味が濃くてしっかりと甘さを感じたい人におすすめです」

甘いさつまいもの見分け方

「焼き芋にしたときに甘くなるさつまいもは、ヤラピンという成分が多く含まれています。さつまいもを切ったときに出てくる白い液体です。

さつまいもの皮に黒い土のような塊(模様)がついていると、ヤラピンを多く含んでいる可能性が高いです。ヤラピン自体が甘いわけではなく、ヤラピンが多く含まれていると栄養価が高く甘くなりやすいと農家さんのあいだでは言われているんですよ」

いざ、究極の焼き芋作り!

用意するもの

・さつまいも
・塩水(500ccに対して大さじ1杯程度の塩を加えた塩分量)
・ボウル
・アルミホイル
・オーブン

必要なものはいたってシンプル。これだけ用意できれば、おいしい焼き芋はできあがります。さつまいもはお好みの量を用意してくださいね。

下準備

1. さつまいもの両端を切る

まずは、さつまいもをよく洗って両端を切り落とします。

「両端を切り落としておくことで、加熱したときにさつまいもに火が通りやすく、中までしっかり均一に熱が入ります」

2. さつまいもを塩水につける

用意したさつまいもがしっかり浸るくらいの塩水を用意し、20〜60分ほどつけておきます。

「塩水につけておくことで、味の対比効果でさつまいもの甘さがより引き立ちます。1時間もつけるの !? と思われるかもしれませんが、できあがりの甘みが断然違うので、ぜひおこなっていただきたいひと手間です」

作り方

1. さつまいもをアルミホイルで包む

塩水から取り出したさつまいもを、アルミホイルで包みます。

「ぎちぎちに巻かず、空気の抜け道ができるように、ふんわりと包みましょう。そうしたほうがムラなく火が通ります」

2. オーブンで焼く

オーブンは予熱なしの100℃に設定し、90〜120分じっくり焼きます。

「正直、かなり時間のかかる作り方です。でも、焼き芋って加熱した時間が長ければ長いほど甘くなる、と言っても過言ではないんです。さつまいもは80〜100℃くらいの低温でじっくり長く火を入れることで、デンプンが糖に変化して甘くなります。まずは低温でさつまいもの甘みを起こしてあげましょう」

3. 再びオーブンで焼く

オーブンを200℃に設定しさらに30分火を入れます。焼き上ががったものがこちら。美しい黄金色に仕上がっています!大変熱いのでやけどには十分に注意してくださいね。

「オーブンやトースターがない方は、魚焼きグリルでも作ることができますよ。両面焼きができるグリルなら中火で90分。片面焼きのグリルなら、中火で60分ずつ焼きます。天板には忘れずに水を張ってくださいね。

また、焼き芋を電子レンジで作る方法がありますが、これは危険なのでやめておきましょう。水分の少ないさつまいもは、加熱して乾燥すると発火するおそれがあります。実は僕も何度かボヤ騒ぎを起こしました……。温め直しも電子レンジではなく、オーブンやグリルがよいです。濡れたキッチンペーパーで包んだ焼き芋をアルミホイルで包み、180℃のオーブンで5〜6分温めてください」

※アルミホイルを電子レンジにかけると、火災につながるおそれがあるため注意しましょう

マニアいちおし!焼き芋アレンジレシピ

究極の焼き芋が完成したらまずはそのまま味わってみてください。十分に堪能したのち、少しアレンジして楽しんではいかがでしょう。天谷さんいちおしの、焼き芋をもっとおいしく食べるためのアレンジレシピを教えてもらいました。

やさしい甘みの焼き芋バター

「マッシュした温かい焼き芋に、バター(有塩)と生クリームを混ぜ合わせた焼き芋ジャムです。中サイズの焼き芋1本に対し、生クリームは50〜100cc、バターは50〜100g(お好みで調整)。すべてを滑らかになるまで混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やせば完成です。パンやクラッカーにつけて食べると、無限に食べられちゃいますよ(笑)」

これであなたも焼き芋マニア!

焼き芋の甘さとおいしさを決めるのは、さつまいも選びと焼き時間。天谷さん直伝のレシピを実行するだけで、誰でも自宅でおいしい焼き芋が食べられるなんて……!

「実は焼き芋が一番甘くなるのは2月。採れたてのさつまいもは、まだデンプン質が強く甘くなりにくいんです。専門店でも、焼き芋に使うさつまいもは収穫から半年〜1年低温熟成させているんですよ」と天谷さん。もし自宅で熟成済みのさつまいもを利用したい場合は、通販で購入するのがおすすめだそうです。

焼き芋マニアの天谷さんが惜しげもなく伝授してくださった焼き芋の魅力と奥深さ。時間はかかりますがひとつひとつの工程はとっても簡単なので、ぜひ一度お試しを!その甘さに、驚くこと請け合いです♪

取材・文/鎌上織愛