本人にとってはもちろん、日本代表にとっても痛い。
 かなり、痛い。

 久保建英がケガをしてしまった。現地時間9月22日のリーグ戦で、右ひざを痛めた。おそらくは前半27分のプレーが原因で、そのままハーフタイムまでプレーしたものの、後半はピッチに戻ってこられなかった。

 ケガのリスクが高まっていたのは間違いない。20―21シーズン最終戦は5月23日で、そのまま帰国して日本代表に合流した。5月末からはU−24日本代表へチームを変えて稼働し、6月12日のジャマイカ戦まで稼働した。

 ここでようやくオフを迎えたが、東京五輪が迫っている。身体は動かしていただろうから、ほとんど休むことはできなかったに違いない。7月5日からU−24日本代表の一員として合宿に入り、8月6日の3位決定戦まで活動は続いた。
 
 埼玉スタジアムで涙を流した翌週末には、21―22シーズンのリーガが開幕した。ベティスとの開幕節は後半途中からの出場だったが、第2節からは5試合連続で先発していた。その間にも日本代表へ招集され、大阪とカタールで慌ただしい日々を過ごした。

 いかに20歳でも、疲労が溜まらないはずはない。いつケガをしてもおかしくなかった、とも言える。本人は悔しいだろうが、ここで一度立ち止まるのは悪くない。長期の戦線離脱とならないように、しっかりと治してほしいものだ。

 それにしても、である。日本代表にとっては痛い。

 10月はサウジアラビアとのアウェイゲームと、オーストラリアとのホームゲームである。グループ2位以内を争うライバルたちは、連勝スタートを飾っている。日本からすれば、直接対決で叩いて勝点差を詰めなければならない。

 9月の中国戦で、久保は出色のパフォーマンスを披露した。オマーン戦敗退でいきなり躓いたチームを生き返らせた。定位置奪取への確かなアピールとなるパフォーマンスで、久保にとってターニングポイントになりうる試合だったと言っていい。

 マジョルカでは定位置をつかんでいた。ルイス・ガルシア・プラサ監督の信頼をつかみ、トップ下と右サイトで起用されている。得点とアシストはまだ記録していないが、受け手が決めていればアシストのつくキーパスは通している。

 古巣のビジャレアルと対戦した19日の第5節では、右サイドから仕掛けてダニ・ロドリゲスにキーパスを供給した。22日のレアル・マドリー戦でも、イ・ガンインの得点につながるパスワークに関わっている。ゲーム感覚やゲーム体力を磨いており、2列目の選手ではもっとも期待できる存在だっただけに、久保を欠くのは痛恨だ。

 伊東純也も好調を維持している。右サイドからのスピードあふれる突破は、分かっていても止められない。しかし、サウジ戦には累積警告で出場できない。古橋亨悟もケガで戦線離脱している。

 森保一監督は南野拓実、鎌田大地、堂安律、原口元気の4人を中心に、2列目を構成するのだろう。顔触れに不足はない。気になるのは所属クラブでのパフォーマンスだ。

 南野は21日のリーグカップで公式戦初出場し、2ゴールをあげた。この試合が序列を変えるきっかけになればいいのだが、クラブでのプレータイムは十分ではない。リーグ戦では依然として出場できていないのだ。

 PSV所属の堂安にも、同じことが言える。9月に入ってからプレータイムを伸ばし、リーグ戦でゴールも奪っているが、定位置獲得には至っていない。

 フランクフルトの鎌田は、試合には出ているもののチームの状態が良くない。リーグ戦は5試合を終えて4分1敗で、ヨーロッパリーグの開幕節もフェネルバフチェと引分けた。鎌田自身も乗り切れていない印象で、直近のケルン戦は先発から外れた。監督の選手起用は現地で疑問視されているが、とにもかくにもシーズンの入りは良くない。

 欧州各国リーグは、今週末にもリーグ戦を消化する。ミッドウィークにはチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグもある。そこで得点やアシストを決めれば、状態は一気に上向くことも考えられる。

 いずれにしても、サウジ戦には久保と伊東を欠いて望まなければならず、久保はオーストラリア戦にも出場できない。そのなかで、誰を選ぶのか。どれぐらいの人数を選ぶのか。どんな戦略を立てるのか。28日のメンバー発表が注目される。