掲載:THE FIRST TIMES

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■アンコールに、木梨憲武が完全サプライズで登場! Charaが腰を抜かす場面も!

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Charaが『Chara’s Time Machine:30th Anniversary Live』を、9月20日に東京・LINE CUBE SHIBUYAで有観客にて開催した。
1991年9月21日にシングル「Heaven」をリリースして、今年でデビュー30周年を迎えたChara。アニバーサリーライブでは日本コロムビアに移籍も発表され、2時間30分超に渡って22曲を披露し、集まったオーディエンスを沸かせた。

定刻の17時30分になると、場内の客電が落ち、ステージに張られた紗幕にはCharaと映し出され、ピアノとストリングスが静かに音を奏でる。1997年に発表されたアルバム『Junior Sweet』に収められた「せつないもの」で、アニバーサリー・ライブの幕が開いた。

そして紗幕が左右に開かれる。ステップがつけられた真っ白なセンターステージを挟み、舞台上手(右)前方にはリズム隊、上段ステージにはコーラス隊。下手(左)前方にギター、キーボードにホーン、上段にはストリングス。各ブースにはメンバー3人ずつが配され、コスチュームは全員がホワイト。そこへ30年の重みを表すようなボリュームのオーガンジーを贅沢にあしらった純白のドレスに、シルバーのラメがあしらわれたブーツでCharaが上段ステージから静かに降りてくる。舞台の四方角に3人ずつで陣取るミュージシャン、舞台装置にCharaの衣装。すべてが「白」に統一された舞台は目にも鮮やかで、30周年を迎えて真っ白な原点に向かう決意の表れでもあるようだ。

冒頭の「せつないもの」は現在、女優、ファッションモデルとして活躍する長女・SUMIREを出産した際に書いた曲、「Tiny Dancer」はCharaの詞に、くるりの岸田繁が曲をつけた自身の中でも珍しい詞先の曲と、曲にまつわるエピソードを紹介しながら進行していく。

「悲しみと美」は、Charaの数多くの楽曲の作曲編曲に関わり、先日急逝した渡辺善太郎との共作曲。コーラスの平岡恵子がアコースティックギターに加わり、追悼の想いを込めてじっくりと歌う。続いて、Bloodthirsty Butchersのフロントマンであった故・吉村秀樹と名越由貴夫との共作「タイムマシーン」は、レーザーのスポットのなかで幻想的に歌い上げる。「大切をきずくもの」は長男・HIMIことミュージシャンで俳優の佐藤緋美の出産時に書かれた。朗読するように歌う同曲では「マタニティブルーになったその日に作った」と話し、会場からは暖かい笑いが漏れる。

ライブの前半は30年のキャリアを振り返り、Charaにとって思いが深い楽曲を中心に構成。ここまで演奏された静かなトーンの楽曲群は「恋をした」から、ディスコ調のアップビートサウンドに一転。それまでマイクの前を離れなかったCharaも、ハンドマイクでゆらゆらと身体を揺らしながら、ステージの左右に動く。オーディエンスも席を立ってクラッピングで応じる。「70%-夕暮れのうた」では徐々にアグレッシブなロックテイストを帯びてきて会場も俄然盛り上がる。YEN TOWN BANDの「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」のイントロが奏でられるや場内も騒然。この曲がリリースされて今年で25年。儚くも懐かしげな演奏に場内もじっくりと聴き入る。この曲が終わるとCharaはステージを降りる。ここで前半パートは終了。

この日の演奏メンバーは、長年Charaをサポートし続けたオーロラ・バンドの面々。様々な現場で活躍する凄腕ミュージシャン揃い。これまでのバンドマスターを努めた元GREAT3の高桑圭(Ba)、白根賢一(Dr)も集結。そして、ここからは本ライブからオーロラ・バンドのバンマスとなったキーボードの皆川真人がアレンジを担う「皆ちんの部屋」コーナー。名越由貴夫のギター、ゴンドウトモヒコのフリューゲルホルンをフィーチャーしながら、Chara 2ndアルバムに収録されている「Time After Time」を今回のためのアレンジで演奏。エンディングではASA-CHANGと白根賢一ふたりのドラムロールに迎えられるようにCharaが、前半の白とは打って変わったラブリーなショッキングピンクのケージ編みのドレスで再登場。場内で上がった静かな歓声がマスク越しに聞こえてくるようだ。

このまま「月と甘い涙」「Duca」へとなだれ込む。前半は抑えめだったオーロラ・バンドも水を得た魚のように演奏が炸裂。元Smashing PumpkinsのJames Ihaとの共作曲である「スカート」では、スタンドマイクの前に立ちはだかるように歌うCharaとバンドが一体となり、オルタナティブロック全開で最高潮を迎える。客席にはライト付きの色とりどりのタンバリンが掲げられ、声こそあげられないが最大限の熱量でパフォーマンスに応じる。このあと、「世界 JEWEL ver.」、岩井俊二監督作品『FRIED DRAGON FISH』のエンディング曲「Break These Chain」と、アップチューンなナンバーを立て続けに演奏し、本編は終了。

アンコールの1曲目は「あたしなんで抱きしめたいんだろう?」。ゴスペルのクワイアのようにコーラス隊3人とドラム&ベースが横一線に並び、Charaはドラム・セットに座る。メンバーの白とCharaのショッキングピンクの衣装とのコントラストが美しい。Charaはコーラス隊とのトークを交えながらのインプロビゼーションを披露。アレサ・フランクリンが教会でライブやっているさまを彷彿させ、グルーヴィでアーシィでなカッコ良さを見せつける。

そして力強いパーカッションに導かれて、お馴染みの「やさしい気持ち」のイントロが流れる。センター上段ステージに表れたのはCharaの衣装をまとった、とんねるずの木梨憲武! ステージ下手にいたCharaは、その場で倒れ込み、文字どおり腰を抜かすほど驚いている。このサプライズ、聞かされてなかったのはCharaのみ。木梨憲武はかつて自身の番組で「やさしい気持ち」のモノマネをしていた経緯があり、これを披露するのは24年ぶりだとか。木梨から『30周年おめでとう!』に声かけられるも、驚きすぎて声が出ないChara。「僕も音楽やってるから、こんど一緒に音楽で遊んでよ!」と言い残し、まさに“やり逃げ“するようにステージを降りた。

ここで、あらためて「やさしい気持ち」を歌い、続くMCではレーベルの移籍を発表するとともに、2022年に向けた意気込と想いを明かし「新しいCharaを楽しみに!」とキーボードの前に座り、最後にもう1曲と1994年10月にリリースされた「HappyToy」を歌う。「いつもならコール&レスポンスしてるけど、今日は心の中で」とサビの”抱いて何度も好きなだけ抱いてよ/To Be Happy Toy”をコーラス隊と共に歌い終えると、ひとりづつメンバー紹介して送り出す。最後はセンター上段ステージに上がり、ブーツを脱いでオフマイクで「ありがとう」と会場と、オンラインで観ているオーディエンスに告げ、ゆっくりとステージを降りた。Charaの歴史をぎゅっと凝縮したステージとともに、あらたな30周年の幕開けにふさわしいライブとなった。

この日の模様は、アーカイブ配信も行われ、9月26日23時59分まで視聴できる。配信チケットの詳細は下段参照。

TEXT BY 石角隆行 PHOTO BY 岩澤高雄

<セットリスト>
00.せつないもの
01.初恋
02.FANTASY
03.才能の杖
04.Tiny Dancer
05.悲しみと美
06.タイムマシーン
07.ミルク
08.大切をきずくもの
09.hug
10.恋をした
11.しましまのバンビ
12.70%-夕暮れのうた
13.Swallowtail Butterfly ~あいのうた~
14.皆ちんの部屋~Time After Time
15.月と甘い涙
16.Duca
17.スカート
18.世界 JEWEL ver.
19.Break These Chain
[Encore]
20.あたしなんで抱きしめたいんだろう?
21.やさしい気持ち
22.HappyToy

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https://charaweb.net/

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