シンガーソングライターの竹原ピストルさんが、9月19日放送のCBCラジオ『小堀勝啓の新栄トークジャンボリー』にリモート出演しました。8月25日リリースのニューアルバム『STILL GOING ON』に込められた想いを、小堀勝啓が尋ねます。

全国を飛び回っていた日々が恋しく

小堀「コロナ禍、やっぱし生のライブがしたいっていう思いがあるでしょうね」

竹原「もちろんです。でも配信ライブでも有意義な時間は過ごせるんで、そこを大事にして、精進して、また直接お会いできる時にドーンとお返し出来たらと思ってます」

蓄積したものが詰まったニューアルバムが『STILL GOING ON』。
コロナの前のツアー中に書いた曲がほとんどで、聴いていると自由に全国を飛び回っていた日々が恋しくなるんだとか。

このアルバムの実質的な表題曲は9曲目「ギラギラなやつをまだ持ってる」だそうです。
 

ポリシーがないから自由に歌える

小堀「丸く収まらずにずーっと尖ってる部分があって、この気分の持続がすごいですね」

竹原「もっと良い曲作れるだろうとか、良いライブできるだろうよ、と強く思っているところでありまして。そこは変わらずあり続けるといいなって感じがします」

また竹原さんの歌は、パワフルで尖っていながらも優しさがあり、「竹原ピストル」という人の幅の広さが感じられる、と小堀は語りました。

竹原「『竹原っていう人はこういった歌しか歌わない』とか、そういったポリシーみたいなものが全くないからだと思います」

小堀「逆にそうなんだ!」

竹原「思いつくままに自由にいろんな歌を歌おうっていうところを持っているんです」
 

70年代フォークの影響

70年代フォークを聴いていた世代の小堀。
竹原さんには、当時活躍した高田渡さん、友部正人さん、友川カズキさん、三上寛さんたちというシンガーソングライターたちが持っていた、自分や社会に対する怒りを叩きこんだ世界観を感じるそうです。

竹原さんがソロになる前は「野狐禅」という二人組で活動していました。
結成した当時は北海道の活動が中心で、毎日のように足を運んでいたフォークソングばかりかかる店があったそうです。
そこで常に流れていたのが、小堀が挙げたアーティストたちの楽曲だそうです。

その頃までフォークソングをあまり聴いてこなかったという竹原さんですが、この店に通うようになってかなり影響を受けたようです。

竹原「伝えるためだったら何でもいいんだな、みたいな自由さを感じたんですよね。どんなやり方だっていい、どんな言葉を選んだって良いんだよって、そんな先輩方に教えられたような気がするんです」
 

先輩の前座活動

小堀「友川カズキさん、三上寛さんは歌と台詞の境目がなくて、土着のラップって言う感じがある。それが竹原さんに憑依してる感じがあります」

竹原「憑依と言うより、僕もこんな風にって意識的に取り入れて来たものだと思います」

フォークの店に通っていた頃、北海道に”先輩方”が渡って来るという情報をキャッチしたら、そのライブ会場に電話していたそうです。

竹原「『2曲でいいんで前座やらせてください』ってお願いして、前座をやらせていただくことが多かったんですよ。それをすごく大事にしていました」。

野狐禅を組んで初めての前座を務めたのは、友部正人さんだったそうです。
 

衝撃のミチロウ体験

一方で竹原さんが衝撃を受けたのはパンクバンド、元スターリンの遠藤ミチロウさん。
ビートを刻むギターをバックにしたポエトリーリーディングを初めて見た時だそうです。

竹原さん「繰り返しになっちゃうかもしれませんけども、もっともっと、強く強く、表現なんかどうやったっていいんだっていう自由な発想を貰ったような気がするんですよね」

ニューアルバムの5曲目「あっかんべ、だぜ故郷」は、2019年4月に亡くなられた遠藤さんからの強い影響があるんだそうです。
 

最初は緊張、今は安心感

竹原さんが広く知られるようになったのはドラマ『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)のエンディングテーマ。
『バイプレイヤーズ』は、大杉漣さん、田口トモロヲさんなど日本の映画界を支える名脇役6名が主演。実名で自分の役を演じるというドラマです。

現在『バイプレイヤーズ』はシーズン3まで作られていますが、ドラマのエンディングでは主人公たちの傍らで歌う竹原さんの姿が印象に残ります。
ちなみにこのエンディングは撮影現場でのライブのような感じで、一発撮りなんだそうです。

竹原「初めての時は、錚々たる皆さんの前で歌わせてもらって、ただひたすらに緊張しただけだったんですよ。
だけど2回、3回って数を重ねてくると、またこの現場に帰って来ることが出来たなっていう安心感を感じて来ましたね」
 

歌に特別な力が宿る時

ずっと“うた歌い”であり続けたいという竹原さん。時には弱気になることもあるそうです。

竹原「そういう時に『バイプレイヤーズ』に出てらっしゃる、役者一筋でずーっとやっていらっしゃった先輩方の凛とした姿を見ると、弱音吐いてる場合じゃないって奮い立たされるんですよね」

今では各々主演作も作られる『バイプレイヤーズ』の面々ですが、存在がクローズアップされてきたのは50歳を過ぎてから。

竹原「そういう先輩方の佇まいを間近で感じることができる時間は貴重だなと思います。そんな先輩方の前で歌う歌には、やっぱり特別な力が宿ると思ってるし、すごく大事な時間でしたね」

ドラマ『バイプレイヤーズ』シーズン3のエンディングテーマ、「今宵もかろうじて歌い切る(Live at ドラマ「バイプレイヤーズ」撮影現場ver.)」は、新作の8曲目に収録されています。 
(尾関)
 

小堀勝啓の新栄トークジャンボリー
2021年09月19日10時30分〜抜粋(Radikoタイムフリー)