日本最大級のネットオークション「ヤフオク!」。ここにANAが航空機パーツなどを出品します。航空会社が公式的に「ヤフオク!」に出店するのは今回が初とのこと。この異例の取り組みの裏側を取材しました。

必ず”本物”を届けられるという強み

 ANA(全日空)グループの全日空商事が2021年9月21日(火)から、ヤフーが運営する日本最大級のネットオークションサービス「ヤフオク!」上に、『SorANAka(ソラナカ)ヤフオク!店』をオープンさせます。

 ヤフーの担当者によると、「ヤフオク!」に航空会社が公式出店するのは、今回が初のケースといいます。担当者は今回の取り組みについて「驚きとともに、出品していただける商品がなかなかマーケットに出るものではないので、ありがたい機会」としたうえ「ANAさんが出品いただけるということで、必ず”本物”をお客様にお届けできる」とその魅力をアピールします。


全日空商事が展開する『SorANAka(ソラナカ)ヤフオク!店』第1弾出品物とANAのCA(2021年9月17日、乗りものニュース編集部撮影)。

 全日空商事によると、オークション形式で販売されるものは、「一点もののANA機で使用されていた部品やエアライングッズ」とのこと。初弾となる21日(火)から26日(日)まで入札可能なアイテムは以下の2点です。

●国際線ファーストクラスモックアップシート

 ANA国際線用ボーイング777-300ERに搭載されていたファーストクラスシートのモックアップ(原寸大模型)。現在の同機最新仕様「The Suite」の1世代前のもので、高い壁で仕切られたスクエア型シェルが特徴。出品物については電動部分のリクライニングなどは使用できない。

 モックアップは、このシートが実機へ搭載される2009(平成21)に製造され、機能性や快適性の技術の検証などに使用されたのち、新シートのお披露目にも使われた。担当者によると「ほかにこのモックアップはなく、シートの仕様もいまは変わっているので、今後世に出ることはないでしょう」とのこと。「テレワークなどに使用していただければ」という。

 なお、物品は400kgの重さで分解がNG。そのため送料別(最大30万円)で送付先にも条件が求められている。

もうひとつの出品物「ウインドウフレーム」なぜ貴重?

●ボーイング777-300ERウインドウフレーム

 ボーイング777-300ERの新造機で、ファーストクラス、ビジネスクラス限定で設置されている電動ウインドウフレーム。窓枠を実際に動かすことはできない。

 担当者によると「本来ウインドウフレームはほとんどが修理が可能なのですが、このフレームは数少ない『そうではなかった』もの」とのこと。「ほとんどが修理して機体に戻すことができるという意味で、今後オークションを展開していくなかでも、レアになパーツになるのではないかと思います」としている。


『SorANAka(ソラナカ)ヤフオク!店』第1弾出品物国際線ファーストクラスモックアップシートとANAのCA(2021年9月17日、乗りものニュース編集部撮影)。

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 オークションのスタート金額は、国際線ファーストクラスモックアップシートが7730円から、ボーイング777-300ERウインドウフレームが773円から。ともに「777-300」にちなんだ金額から始まります。

 価格の跳ね上がり方についてヤフーの担当者も「どういう視点で買われるのかも未知数なところもあるので、いちユーザーくらいの気持ちで中の人間(ヤフー側)も価格の推移を見守っていければと思っている」としたうえ、「ファーストクラスシートは大きなものなので、100万円くらいいくのでは」と話します。

 ANAの「ヤフオク!」進出については、今後もビジネスクラスシートモックアップや、ボーイング 747-400の機体識別板などが出品される予定です。全日空商事の担当者は、今回の出品を皮切りに今後「1か月に1回くらいのぺースで出品ができれば」と話します。