全米優勝のメドベージェフをプーチン大統領が称賛

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「全米オープン」でグランドスラム初優勝を飾った第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)に、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領から祝福の言葉が贈られた。米ニュースサイト Washington Postが報じている。

年間グランドスラム達成を目前にしていた第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)をストレートで下し、グランドスラムチャンピオンとなったメドベージェフ。このメドベージェフの活躍を「輝かしい勝利」と称賛したプーチン大統領は、以下のような公式メッセージを発表。


「この名誉ある大会の決勝までの道のりで、最高クラスのスキルと忍耐力を発揮して目標を達成した。そして決勝では自信を持って冷静に戦い、強敵相手にチャンスを与えなかった。それこそがチャンピオンにふさわしいプレーだ!」


メドベージェフは、グランドスラムのタイトルを獲得したロシア人としては2014年の「全仏オープン」で優勝したマリア・シャラポワ以来、男子に限ると2005年の「全豪オープン」を制したマラト・サフィン以来の偉業を達成したことになる。テニス強豪国としての地位が一時揺らいでいたロシアにとっては、待ちに待った瞬間だった。


ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官もメドベージェフを称賛。「全米オープン」の表彰式で彼が「歴史上最も偉大なテニスプレーヤー」とジョコビッチを褒め称え、温かい言葉をかけたことを自身のFacebookで紹介した。「表彰式でのダニール・メドベージェフのスピーチには感銘を受けました。対戦相手であるノバク・ジョコビッチのスキルと業績に敬意を払い、尊厳を持って彼に対する思いを伝えていました」


当のメドベージェフはロシアの国営テレビに対して、自分の成功がロシアのテニスにさらなる勢いをもたらすこと、そして今後はロシア人同士のグランドスラム決勝が実現することを願っていると述べた。「今回の優勝で母国のスポーツ史に自分の名前を残すことができて嬉しい。ロシアは“デビスカップ”のような国別対抗戦でも勝利できるはずだ。今後もロシアのテニスが盛り上がっていくことを願っているよ」


1996年から2005年にかけてグランドスラムの男子シングルスでは、ロシア人のエフゲニー・カフェルニコフとサフィンがそれぞれ2度、合わせて4度優勝したが、2005年以降はサフィン、ニコライ・ダビデンコ、ミカエル・ユーズニーが準決勝まで進出したものの、2019年の「全米オープン」でメドベージェフが準優勝するまで、ファイナリストはいなかった。ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ジョコビッチのビッグ3が大会を席巻する中、ロシアの男子テニスは静かに衰退していき、2015年には世界ランキングのトップ50に同国の選手が一人もいない事態に一時陥った。


現在トップ5には、2位のメドベージェフと5位のアンドレイ・ルブレフという2人のロシア人がいる。また、世界25位のアスラン・カラツェフは今年の「全豪オープン」でベスト4、世界27位のカレン・ハチャノフは先月の「東京オリンピック」で銀メダルを獲得した。


2018年に現役を引退したユーズニーは、メドベージェフがジョコビッチを抜いて世界1位になる可能性は十分あると発言。「テニスの内容と結果から判断するに、メドベージェフは世界王者となる最有力候補の一人だ」と期待を寄せている。


(テニスデイリー編集部)


※写真は「全米オープン」の優勝トロフィーを抱えるメドベージェフ
(Photo by Matthew Stockman/Getty Images)