WHOのワクチン方針で注目される「接種格差」3回接種で格差は広がる?

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世界各国で進んでいる新型コロナウイルスのワクチン接種。それぞれの国で接種を促進する取り組みが実施されている中で、世界保健機関(WHO)が1回の接種の用量を減らして接種回数を増やす方法に関する研究を奨励し、また3回接種については懐疑的な姿勢を示したことで話題になっています。これによってワクチン接種にどのような影響があるのでしょうか。また世間からはどのような反応があるでしょうか。

WHOは接種格差を懸念か

「1回の接種の用量を半分などに減らして接種回数を増やす方法」が注目されていることを日本経済新聞が報じました。「黄熱ワクチンの供給不足への対応として、アフリカや南米でワクチンを小分けして節約した例」があるとして、WHOも「公衆衛生上有益な可能性がある」と研究を奨励していると報じています(※1)。

その一方で、ワクチンの3回目接種については「現段階では必要性について科学的根拠がない」との見解があることを東京新聞が報じています(※2)。WHOは「先進国などでの3回目より、1回も打てない人が多くいる途上国への供給を優先すべき」と訴えており、3回接種による接種格差を懸念しているとのこと。

WHOは接種容量を減らして接種回数を確保しながら、3回接種には慎重な姿勢を示すことで、先進国と途上国の接種格差を是正しようとしていると考えられます。

SNSの反応

これらのWHOのワクチン接種に関する方針について、SNSではさまざまな意見が上がっています。

>先進国などでの3回目より、1回も打てない人が多くいる途上国への供給を優先すべきだと訴える。

その通りだと思う。感染した場合に十分な医療受けられない可能性が高い人達こそ優先されるべき。https://t.co/V1FndQFSsC- のりお@MTG (@norio_mtg) September 6, 2021https://platform.twitter.com/widgets.js

WHOの提言に共感する声もありました。すでに2回接種した人と、1回も接種していない人であれば、後者のほうが感染する可能性が高いのは明らかです。接種が全くできていない人を最優先することで、接種格差が是正され、結果としてコロナの感染拡大率を下げられるという見方もできるでしょう。

政府がワクチン3回目接種、年内開始を検討 WHOは途上国優先を訴え、必要性に懐疑的<新型コロナ>:東京新聞 TOKYO Web https://t.co/AXpBZdhihi
政府はなワクチンの3回目を検討しているらしい
ただ、ワクチンの購入費も賄えない貧困国の国民を見捨てていいのか3回目の効果も十分検証してほしいもの

- 井谷典生 (@QUJws2tBvp8Aj2N) September 7, 2021https://platform.twitter.com/widgets.js

ワクチンの3回目接種に果たして効果があるのか、しっかり検証してほしいという声もあります。NHKの報道によれば、“7月28日にファイザーが公表した資料によりますと、3回目の接種をした人はウイルスの働きを抑える中和抗体の値が、従来の新型コロナウイルスや、変異ウイルスの「ベータ株」に対しては、2回目の接種後と比べ、5倍から10倍に増えたほか、変異ウイルスの「デルタ株」に対しても18歳から55歳の場合、5倍以上に、65歳から85歳の場合は、11倍以上に増えた”(※3)と報じられており、3回目接種が効果的であるが一部のデータでは示されてきているようです。

ワクチン3回目接種。医療従事者は11月から、高齢者は来年2月からで検討してるとのこと。必要性や緊急性がまだはっきりしてないみたいだけど、もし打つ必要あるなら副反応がやっぱり怖い。https://t.co/GaQGis56wm

- 高橋 和矢 (@kazu8th) September 6, 2021https://platform.twitter.com/widgets.js

3回接種による副作用を懸念する声も上がっています。厚生労働省は副作用に関して、「注射した部分の痛み、疲労、頭痛、筋肉や関節の痛み等がみられることがあります。まれな頻度でアナフィラキシー(急性のアレルギー反応)が発生します」(※4)と記載していますが、接種回数が増えることでこうした副作用が強くなる可能性が高まるのでは……と不安視する意見もありました。

日本国内での接種格差は?

日本のワクチン接種率は、2021年9月15日時点で、少なくとも1回は接種している人は約8200万人、そのうち2回接種している人は約6700万人であり、総人口のうち少なくとも1回は接種している人の割合は64.9%であることを日本経済新聞が報じています(※5)。

つまり、日本の総人口のうち約40%はまだ1度もワクチンを接種していないことになります。この割合のなかには、個々人の判断でワクチン接種を拒否している人も含まれていますが、その一方でワクチン接種を希望しているにもかかわらず接種ができない人もいるはずです。

3回接種の検討が日本政府でも進んでいることが報じられていますが(※2)、まだ一度も接種していない人が少なくない現状を踏まえると、日本国内においても3回接種よりも一度も接種できていない人に供給するほうを優先すべきという意見も至極当然なのではないでしょうか。

【画像・参考】
※1 コロナワクチン、用量半分で接種拡大 WHOが研究奨励 - 日本経済新聞
※2 政府がワクチン3回目接種、年内開始を検討 WHOは途上国優先を訴え、必要性に懐疑的<新型コロナ> - 東京新聞
※3 新型コロナワクチン 3回目の接種 必要?効果は? - NHK
※4 新型コロナワクチンQ&A - 厚生労働省
※5 チャートで見る日本の接種状況コロナワクチン - 日本経済新聞
※askarim/Shutterstock