クシタニ創業の地で未来に踏み出すHAMAMATSU HONTEN

日本屈指のバイクアパレルメーカーのクシタニは全国でPROSHOP展開を行っているが、創業の地であり本社を構える静岡県浜松市の浜松本店を9月18日(土)にリニューアルオープンする。

従来の店舗は本社社屋に併設していたが、新店舗は完全に独立。店内スペースは約600平米もあり、いわゆるバイク用品店と比較しても破格に広く、単一ブランドとしては国内最大級。

物販スペースはもちろん、カフェや休息スペースに加え、ミュージアムとしての機能も合わせ、さながらテーマパークのような作り。建屋をはじめ什器の配置や形状も含め、建築の細部にわたって外部に任せることなく、一貫して社内でデザインを行っているが、これも70年以上も“モノ作り”を続けてきたクシタニのこだわりである。

浜松本店のバイクアパレルの販売店として類を見ない作りは、日本の企業の力を世界に発信する狙いもある。現在クシタニが展開しているアジア圏をはじめ、海外にKUSHITANI PROSHOPを開く構想もあり、浜松本店はその試金石でもあるという。

それでは生まれ変わった浜松本店をご紹介しよう。

鉄と木が織りなすエントランス。国道1号線からJR浜松駅に向かう中田島街道に面した好立地(本社の旧本店より700mほど南に移転)。周囲に大きな建物が無いため、良く目立ちわかりやすいのもポイントだ

ワクワク感にこだわったコンテナブース

タイにも会社を興したクシタニは、アジア圏のサーキットでレーシングサービスを行っている。そして近年はブリーラム・サーキットなどのパドックに、ウエアやパーツのブランドがレースウィーク中に貨物コンテナを利用した仮設の展示ブースを目にすることも多いという。浜松本店の店内造作はその“カッコ良さ”を再現したかったという。

ちなみに日本では建築の規制が厳しいため、貨物コンテナを(店舗や住居などコンテナ以外の用途で)重ねて使うには、基礎や補強などクリアすべき問題が非常に多いが、それでもこの作りにこだわった。

巨大なロフトのような店舗の中には、ブースとして使用する貨物コンテナがランダムに置かれ、探検するようなワクワク感を演出

1階の商品を展示する什器の多くも、貨物コンテナの壁面風に作成

目指したのは「原点回帰」。1947年の櫛谷商店を完全再現!

広大な店内でひときわ目を引くのが、1947年に創業した『櫛谷商店』の店舗。
「創業からまもなく75年ですが、レザースーツなど製品の進化を含め、クシタニの歴史や変遷はすでに社内でも“伝聞”になっています。それをアーカイブとして、いま的に言えば“見える化”するのも本店リニューアルのひとつの目的です。そして初代社長である櫛谷稔子のモノ作りや接客の心はクシタニの原点であり、貫くべきコンセプト。それをお客様はもちろん、若いスタッフや自分自身が再確認し、原点回帰するためにも『櫛谷商店』の現物があることで伝わりやすいと考えました」と、クシタニ東京の代表を務める櫛谷信夫さん。

キープコンセプト、そして販売店の枠を超えてバイク文化の交流の場になれば、という想いで『櫛谷商店』が作られたのだ。

1947年に浜松の寺島町で創業した櫛谷商店を完全に再現。現会長の櫛谷 久さんは、学生時代にこの店の2階に住んでいたという。この2階の窓から見える富士山が、クシタニのロゴマークの元になった。復元された店舗の一階スペースでは、定期的にクシタニの職人が革の裁断や縫製などを実演したり、モノ作りを解説する予定だ

昔懐かしいコンクリート製のゴミ箱にもストーリーあり。当時、メーカーのテストライダーが深夜や早朝に富士スピードウェイなどに向かう際に、傷んで修理したい革ツナギをこのゴミ箱に入れ、受け渡しに使ったという。また、現会長の久さんが2階の部屋に入るのに、このゴミ箱を踏み台として使ったという

1960年代半ば頃に所有していたヤマハYDS-3や、配達に使っていたラビットスクーターを、復元した櫛谷商店に飾るために入手

レジェンドライダーたちが着用したクシタニ製レーシングスーツを展示する予定のミュージアムスペース。かつての世界GPやマン島TTレースなどの貴重な映像をプロジェクターで投影する(リニューアルオープン時は“密”な状態を防ぐためレーシングスーツは未展示)

約600平米の広大な店内!

本社に併設されたいままでの浜松本店は、とくに休日などは多くの来客に対して通路スペースの狭さが気になったという。そこで新店舗はグッと広さに余裕を持たせた。さらに感染予防対策として、ミネラル酸素触媒でウイルスの不活性化を長期間持続する「DEOFACTOR Casa(デオファクターカーサ)」を全館に施工している。

KUSHITANI PROSHOPとして、レーシングスーツはもちろんレザー/テキスタイルジャケットやグローブ、ブーツ、人気のエクスプローラージーンズやデニムパンツなど、同社が手掛けるライディングアイテムを完全網羅。

店内を見渡せる空中回廊

店舗は吹き抜けで、2階部分はミーティングスペースやミシンを置いた修繕ブースなどを回廊が繋ぎ、店内を見下ろせるアミューズメントパークのような作りとなっている。

店舗は屋根まで吹き抜けで、2階は空中回廊によって各ブースがつながる

2階のミシンが置かれたスペース。KUSHITANI PROSHOPでは、パンツの裾上げや簡単な修繕を日常的に行っており、この浜松本店でも同様

契約ライダーとの打ち合わせなどに使うミーティングスペース。いずれはファンミーティングの会場などにも使いたいとのこと

美味しいコーヒーを提供

クシタニといえばCBM(コーヒー・ブレーク・ミーティング)やカフェもお馴染み。浜松市のスペシャルコーヒー専門店「ポンポン」が焙煎したオリジナルの豆を使った美味しいコーヒーが自慢だ。

今回のリニューアルに際し、浜松本店にはカフェスペースを設けた。三輪自転車の移動式カフェも新規で製作し、今後はサーキットのライディングミーティング等にも出没するかも!?

リニューアルする浜松本店の一部を先行公開 ~本店の物は本店に~| RE:BORN PROJECT

KUSHITANI PROSHOP HONTEN
クシタニ浜松本店
〒430-0846 静岡県浜松市南区白羽町662-1
営業時間:10:00~19:00
定休日:水曜、木曜

RIDE HI(オリジナルサイト)で読む