快手は巨額のマーケティング費用を投入しながら、ユーザーの安定確保に苦戦している(写真は同社ウェブサイトより)

中国のショート動画アプリ大手、快手科技(クワイショウ・テクノロジー)は8月25日、2021年4〜6月期の決算を発表した。売上高は前年同期比48.8%増の191億3900万元(約3247億円)と、アナリストの予想をわずかながら上回った。だが、投資損益やストックオプションなどを控除した調整後の純損益は47億7000万元(約809億円)の赤字で、2四半期連続で50億元(約848億円)近い損失を計上する結果となった。

赤字の主因は巨額のマーケティング費用だ。快手は4〜6月期に販促費と広告費を中国国内外で積極投入し、(決算書に計上された)マーケティング費用は前年同期の2倍の112億7000万元(約1912億円)に膨れ上がった。これは4〜6月期の売上高の58.9%に相当する金額だ。

にもかかわらず、快手はユーザーの安定確保に苦戦している。2021年6月末時点の1日当たりアクティブユーザー数は2億9320万人と、3月末と比較して210万人減少。月間アクティブユーザー数は5億620万人と、同じく1360万人減少してしまった。

4〜6月期のユーザー数の減少について、快手の最高製品責任者を務める程一笑氏は「変動は正常の範囲内」と説明した。直前の1〜3月期は春節(中国の旧正月)の休暇と学校の冬休みがあり、(自宅などでの視聴機会が増えて)他の四半期よりユーザー数が多くなる傾向があるからだという。

程氏によれば、(4〜6月期のなかでも)6月単月の1日当たりアクティブユーザー数は前月比14%増加した。快手が目標として掲げる「1日当たりアクティブユーザー数4億人」の達成にも、程氏は自信をのぞかせた。

時価総額はピークから8割近く縮小

ユーザーの1日当たりアプリ利用時間は、4〜6月期は106.9分と前年同期より21.5分伸びた。これまでは競合アプリの抖音(ドウイン=TikTokの中国国内版)に差をつけられていたが、「今年はほぼ追いついた」と、快手のCEO(最高経営責任者)の宿華氏は語った。


本記事は「財新」の提供記事です

だが、快手に対する市場の期待は急速に萎んでいる。同社は2021年2月に香港証券取引所に上場を果たし、その直後の株価は売り出し価格の3倍近くに急騰した。しかしその後は失速し、7月末には売り出し価格を割り込んでしまった。

さらに、8月5日に38億8200万株のロックアップ(売却制限)が解除されると、快手株は連日の大量売りに見舞われた。8月下旬の時点で、同社の時価総額はすでにピークから8割近く縮小している。

(財新記者:関聡)
※原文の配信は8月26日