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今回は、フリーアナウンサーの青木源太さんに、こんなテーマで深掘り取材を実施。

仕事中、言葉に詰まってしまうことってありませんか?

学生時代とは違う“社会人としてのコミュニケーション”の壁にぶつかっている読者も少なくないはず。筆者も新卒時代「結論から先に言って?」と指摘されまくっていた時期がありました。(ぶっちゃけ今も普通に指摘されてます。ごめんなさい見栄張りました)

そこで今回は、新人時代に先輩からの指摘が怖くなりコミュニケーション不全に陥ってしまったという青木源太アナウンサーに、「ビジネスパーソンが克服すべき“口下手”の壁」をテーマに取材。

青木アナが今でも感謝している、“あの人”からの指導とは…

〈取材=サノトモキ〉


【青木源太(あおき・げんた)】フリーアナウンサー。レプロエンタテインメント所属。2006年に日本テレビに入社し、『PON!』『バゲット』『スッキリ‼︎』など情報・バラエティ番組を中心に活躍。2020年9月に退社し、フリーアナウンサーとして再スタートを切る。2020年12月には公式YouTubeチャンネル「源チューブ」を開設

先輩の指導が怖くなり“コミュニケーション不全”に陥った新人アナ時代

サノ:
青木さんの書籍、『口ベタな人ほどうまくいく たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全』(宝島社)を拝読したのですが…

青木さんがもともとあまり話すのが得意ではなかったというのが意外でした。

青木さん:
全く得意じゃなかったですし、入社後はまわりから「暗い」とばかり言われていましたね(笑)。

もともと「テレビ番組の制作をしたい」とディレクター職なども考えていたので、アナウンス学校とかに通ってたわけでもないですし。

なので入社後…それはそれは厳しい指導が待ち受けておりまして(笑)。



サノ:
具体的に、どんな感じだったんですか…?

青木さん:
たとえば、「○○さんにつないでほしい」と電話がかかってきたとしますよね。

で、「○○さん、3番(↗↘)にお電話です」と言った瞬間、あちこちから一斉に「3番(→→)‼︎」って声が飛んでくるんですよ。

「3番(↗︎↘︎)じゃなくて、3番(→→)だ!」って。


なにそれ辞めたい

青木さん:
会社にいる間ずっと今のような指摘を受けるので、一瞬たりとも気を緩められなくて。

発音やアクセント、「てにをは」まで一語一句厳しくされる環境のなかで、どんどん話すのが怖くなって、コミュニケーション不全に陥ってしまったんですよね。

サノ:
普通にトラウマになりそうだ…

青木さん:
もちろん本人がオンエアで恥をかかないための「事前の恥」なので、必要な厳しさなんですけどね。

大学生までのしゃべりと社会人に求められるしゃべりって全然違うんだと痛感する毎日でした。

仕事が終わって、同期の桝太一アナと食事やゲームをしてるときだけが唯一気を抜ける瞬間でしたね(笑)。


心の友・枡アナのお話は後半でも登場します

結論から話すのが苦手な人は、「よかれと思って」やっている

サノ:
そこから、どう口下手さを克服していったんですか?

青木さん:
まず、「結論を先に言う」を徹底することから始めました。

アナウンサーの世界だけじゃなく、社会で求められるしゃべりって結局は「シンプルで、わかりやすいこと」に尽きるんですよね。

これ、みなさんも会社で上司や先輩によく言われてるんじゃないですか?


めちゃめちゃ言われます

サノ:
でも、大事だとわかっててもなかなかできないんですよね…

これって何か原因があるんでしょうか?

青木さん:
もちろん人それぞれだとは思うんですけど…

結論から話すのが苦手な人って少なからず、「抜け漏れなく伝えなきゃ」というある種のホスピタリティを発揮してると思うんですよ。

サノ:
…それ、あるかもしれません。

「結論はこれです」と言っても、「とはいえこういうパターンもありえます」とか「こういう場合は違う結論になります」とか…結論だけじゃ必要な情報を全然伝えられないじゃんって思ってます。

青木さん:
わかるわかる(笑)。

でもそれは「独りよがりのホスピタリティ」なんですよね。


えっ、急に厳しくない?

青木さん:
過不足なく全てを伝えることは、たしかに相手の「理解度」に対しては最大限配慮しているかもしれません。

でも、「相手の時間を奪っている」という点では配慮に欠ける。ビジネスの現場では、もう1段階上のステージを目指さなくちゃいけない。

相手の「理解度」と「時間」を同時に気遣う。これが社会人に求められるホスピタリティなんですよ。

サノ:
でも、「短く完結に全てを伝える」なんて無理じゃないですか?

青木さん:
そこが勘違いなんですよ!

“報告”は、べつに全てを伝えなくていいんです


えっ…?

青木さん:
たいていの場合、相手は「あなたが持っている全情報」を必要とはしてないんですよ。

コミュニケーションは双方向。シンプルに、「聞かれたことに答えればいい」んです。

結論言って終わり。それでいい

サノ:
で、でもそれじゃ理解しきれないのでは?

青木さん:
ほかに確認したい情報があれば、向こうはまた質問しますから。

そうしたらまた、「聞かれたことに答える」。

「この件大丈夫?」→「大丈夫です。」→「ほんとに? Aはどういう状況?Bは?」→「Aはこう、Bはこういう状況です」「OK。なんかあったら報告して」。これでいいんですよ。

サノ:
なるほど…たしかに「相手が必要とする情報」を無駄なく提供できてるかも。

青木さん:
細かいノウハウもたくさんありますが、「聞かれたことに答える」と割り切るのが一番“結論から話す”には効くと思います。



“場回し”に必要なのは「回収する力」。加藤浩次が一喝して教えてくれたこと

サノ:
ほかに、意識的に克服したことはありますか?

青木さん:
「場回し力」ですね。ビジネスの世界でいうと、ファシリテーション力。

僕はもともと場を回したり盛り上げたりする側では全くなかったんですが、アナウンサーとして「場を回す力」は必要不可欠で。

僕は新人時代、この「場回し力」についてある大きな勘違いをしていたんですよ。

サノ:
勘違い?

青木さん:
新人時代の僕は、バラエティ番組のMCの方など見ていて、「場回し力=“話を振る力”だと思っていたんです。

その場にいる人みんなに気を配り、適切に話を降っていくことが「場を回すこと」だと思っていた。

でもその考え方で仕事をしていたら、入社三年目くらいのとき、加藤浩次さんに本気で叱られまして。


あの加藤さんに…⁉︎

青木さん:
当時僕は『スッキリ‼︎』で、ファッションデザイナーのドン小西さんと一緒にコーナーをやっていて。

ある回の番組終わり、僕がドンさんに「カメラに向かって一言どうぞ」と振ったんですよ。

サノ:
ええ、ええ。

青木さん:
で、ドンさんがカメラに向かって一言言ったら、一瞬シーンっとなった後「何言ってんだドンさん」みたいに共演者のみなさんがドッと笑って番組が終わったんですね。

スベリ笑いみたいにはなりつつ、僕は「盛り上げられた、うまく場回しできたぞ」と思ってたんですけど…

オンエア終わった瞬間、「ドンさんに振った以上、お前が回収するべきじゃないのか」と加藤さんの叱責が空気を切り裂いて。



青木さん:
加藤さんの叱責で、みんなシーンとなった。

「振りっぱなしで自分が笑い取ったとか勘違いしてんじゃないぞ」と、めちゃくちゃ怒られました。

人に話を振るというのは、そこから生まれるコミュニケーションに責任を持つことだぞ」って。

サノ:
ああ、なるほど…

青木さん:
「場回し力」とは、“回収する力”なんですよね。

そう思ってテレビや現場を見てみると、場回し上手なMCの方って「回収上手」なんです。

くりぃむしちゅーの上田さんも、どんな状況で誰がどんなボールを返してこようと、どんな体勢からでも「お笑い」というゴールにシュートを打ち込むじゃないですか。

サノ:
たしかに。

青木さん:
「この人なら絶対に回収してくれる」という心理的安全性が、みんなの発言を加速させる

これこそが「場回し力」の本質なんですよね。

「リアクションまで含めて場を回す力だ」と教えてくださった加藤さんには、今でも本当に感謝しています。

井ノ原快彦に学んだ「緊張する相手とのコミュニケーション」の克服法

サノ:
ただ、怒られたりすると、萎縮しちゃうようになりません?

上司とか先輩とか、緊張する相手の前だと急に口下手になっちゃう」ってパターンもある気がするんですが…

青木さん:
それは…ありますよね

それこそ僕、加藤浩次さんとお話するときは今でも緊張しますから。正直、苦戦しまくりです(笑)


正直すぎません? 書いちゃって大丈夫ですか?

青木さん:
話すのが苦手って、「スキルとして苦手」じゃなくて「この人と話すのが苦手」ってケースも少なくないと思うんですよ。

そんなときに思い出すようにしてるのが、V6の井ノ原さんが仰ってた「“つむじ”のお話」で。

サノ:
つむじ?

青木さん:
井ノ原さん、偉い人や怒っている人と話すときは、その人のつむじを見るようにしているんですって。

そうすると、「この人も自分と同じ人間なんだな」と思ってすごく安心するらしくて。

めちゃくちゃ面白いですよね。すごく怒られた後に、振り返って帰っていく人のつむじを…ふっふっふっ(笑)


でもたしかになんかちょっと力抜けそう

青木さん:
でもすごくわかるなと思って。

怖い先輩のデスクに家族の写真が置いてあったら、「家に帰れば子煩悩な父親なのかな」と想像すると、ちょっと気を緩められる気がするんですよね。

ベストは「好きになる」なんですよ。でもそれが難しいときは、ぜひつむじを見てみてください(笑)。

結論、最後は「場数」がものを言う

サノ:
結論から言うは“聞かれたことに答える”でできる」「ファシリテーション力は回収する力」「緊張するときは相手のつむじを見ろ」…

今日はありがとうございました。とても勉強になりました!

青木さん:
最後にお伝えしておきたいんですが…今日お話したこと全部、「実践」しなければ何も変わりませんからね!



青木さん:
元も子もないことを言うかもしれませんが、最後は「場数」が全てです。

結論をぱっと頭から引っ張り出す力も、話を振った相手へのリアクションも、場数を踏まないと一生上達しない。

僕の書籍を読んでいただいても、「ああ、こうすればいいんだ!」で終わってしまったら絶対何も変わりません。

サノ:
必ずアクションすべしと。

青木さん:
会社員の方なら、朝会や会議で発言してみる。学生さんだったら授業で手をあげてみる。

ノウハウ本を1冊読むより、そういう「現場での一瞬の勇気」のほうが圧倒的にコミュケーションスキルを上達させます。

精度は後回しで大丈夫です。精度を上げるために場数を踏むんだから



青木さん:
やっぱり、経験が人を育てるんですよ。僕は同期の枡アナを見ていてそれを確信しました。

彼は今でこそ超有名アナウンサーですけど、もともとのスキル自体は僕と同じくそれほどでもなかった。

そんな彼が入社6年目くらいでZIPのMCに抜擢後、いろんな大役を任せられるようになってどんどん上達していくのを、間近で見ていましたから。

サノ:
わかりました。教えていただいたことをきちんと実践していきます!

青木さん:
逆を言えば、コミュニケーション力は実践していけば必ず身につきますから。

積極的にアクションを起こして頑張ってみてください!



「コミュニケーション上手な人のしゃべりを聴きまくるといいですよ」

最後にそう教えてくれた青木さん。たしかに青木さんのエピソードには「上田さん」「加藤さん」「井ノ原さん」など人の名前が多く挙がっていました。

とりあえず筆者は取材後青木さんの「源ちゅーぶ」を観に行って青木さんのしゃべりを聞きまくりました。

みなさんもおすすめの「しゃべり上手」な方がいたら、ぜひ教えてください!

〈取材・文=サノトモキ(@mlby_sns)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉

青木さんの初書籍『口ベタな人ほどうまくいく たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全』が絶賛発売中!

口ベタだった青木さんだからこそ語れる「話し方のコツ」を盛り込んだ書籍『口ベタな人ほどうまくいく たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全』が絶賛発売中!

記事では紹介できなかったたくさんの「ノウハウ」だけでなく、「池上彰さん」「林修さん」「関ジャニ村上さん」など、青木さんがコミュニケーションの極意を学んだ達人たちのエピソードなども多数登場。

気になった方はぜひチェックしてみてください!

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