アンカー・ジャパン完全ワイヤレスイヤホン「Soundcore Life P3」から読み解く、業績右肩上がりの理由

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中国に本社を置く「Anker(アンカー)」の日本法人「アンカー・ジャパン」は、8月12日に左右独立型の完全ワイヤレスイヤホン「Soundcore Life P3(サウンドコア・ライフ・ピースリー:型番 A3939)」(以下、Life P3)を発売した。

2013年にアンカー・ジャパンを設立し、Ankerが日本に進出してから早くも8年以上が経過した。初年度の売上高が約9億円だったアンカー・ジャパンは、7年後の2020年には売上高が約212億円と右肩上がりで急成長を遂げている。

カスタマーサポートを充実させ、ユーザーの反応や声をしっかりと受け止めて分析し、次の製品開発やプロモーションに活かしていく。ECサイトでの販売ではほとんどの製品でシェア1位を獲得。そんなAnkerの製品は他社製品と何が違うのか?

Ankerのオーディオブランド「Soundcore(サウンドコア)」から発売されたばかりのLife P3の実力に迫っていこう。

■Soundcore Life P3は、細かな配慮の塊
現在、完全ワイヤレスイヤホンの市場は様々なメーカーが参入し、デジタル製品の中でも超激戦といっても過言ではない。そんなレッドオーシャンの中で、多数の製品を次々に投入し、ECサイトでの販売シェア上位を獲得しているのが、AnkerのオーディオブランドであるSoundcoreの製品群だ。


Life P3は5色で展開


Life P3の前モデルにあたる「Soundcore Life P2(サウンドコア・ライフ・ピーツー)」(以下、Life P2)は、Amazon.co.jpにおいて、イヤホン・ヘッドホンカテゴリーで売れ筋ランキング1位を獲得している。
2021年8月30日時点のカスタマーレビューは6600件を超えるグローバル評価を得ており、星5つ中の星4を獲得している人気の製品だ。

Life P3は、そんな大ヒットといってもいい製品の後継モデルとして登場した。
今回はベーシックなブラックとホワイト以外にも、ネイビー、コーラルレッド、ライトブルーという個性的なカラーを加えた5色を展開している。

最近になって他社製品でもカラーバリエーションが増えているが、ワイヤレスイヤホンの多くはブラックとホワイトの2色展開が多い。そんな中、Life P3は5色展開というだけでなく、ワイヤレスイヤホンとしてはかなり個性的なカラーも採用している。


コンパクトな個装箱は、色別のデザインを採用


以前の製品に比べるとLife P3のパッケージは、さらに小型化している。ここで注目したいのはパッケージに描かれているイヤホンのイラストだ。
筆者はライトブルーを購入したのだが、パッケージのイヤホンイラストもライトブルーなのだ。そう、パッケージが本体カラーにあわせて用意されているのだ。

Life P3は5色展開のため5種類のパッケージを用意したことになる。
これはかなりコスト高になるのは間違いない。
実はLife P3だけではなく、Soundcoreのほかのワイヤレスイヤホン製品でも、こうした本体カラーにあわせたパッケージが採用されているのだ。

意識していなければ見逃してしまうだろう。
パッケージを見て本体カラーがわかることは、消費者にとっては店頭やオンラインショップでの欲しいカラーが素早く、ダイレクトに選択できる。
実は、こうした意識をしなくても好みの色を選択できることは、製品選択、購入のハードルを確実に下げる。
また、カラーやファッションに敏感な人にとっては、パッケージまでカラーが統一されていることで、ファッション感覚が刺激され、製品への愛着や満足感に繋がる効果も上がるだろう。


すべての内容物


同梱品をみてみよう。イヤホンや充電ケース以外では、
・イヤーチップ5種類(XS/S/M/L/XL:Mはイヤホンに取り付け済み)
・USB Type-Cケーブル
・カスタマーサポート用紙
・クイックスタートガイド
・安全マニュアル
これらが付属する。

イヤーチップの種類の豊富さはLife P3の特長でもある。
本体カラーにあわせた5種類のイヤーチップは、これまたコストがかかる。
また、充電ケースを含む同梱品のカラーすべてが本体カラーに揃えられており、コスト高を恐れない徹底したサービスマインドは素晴らしい。

さらに注目したいのがUSB Type-Cケーブルだ。
「POWERD BY ANKER」とメーカー名が入った面ファスナーテープでケーブルがまとめられている。


左がLife P3に同梱しているUSB Type-Cケーブル、右が某ワイヤレスイヤホンに同梱していたUSB Type-Cケーブル


イヤホンなどの製品に同梱されているUSBケーブルは、ワイヤーやゴムバンドなど、安価で無記名なものでまとめられているのが定番だ。

筆者も様々なメーカーのワイヤレスイヤホンを試しているが、イヤホンなどの比較的安価な製品において、メーカー名が入った面ファスナーテープでケーブルをまとめているというのはSoundcore製品以外では、ほとんど見たことがない。
もちろん市場に出回っている製品をすべて試しているわけではないが、ここまで徹底して製品イメージを確立させているメーカーは多くは無いだろう。

1万円以上のワイヤレスイヤホンでも、ケーブルの結束は安価なものが使われている。Soundcoreの製品は、コスト負担を越えたサービスやポリシーともいえる。

ケーブルの結束バンドにメーカー名を入れたからといって、高級感が出たり、売上げが上がったりするわけではない。

しかし明らかにブランドイメージや製品のイメージは向上する。
実際、ケーブルを使う際に安価なワイヤーバンドをねじってほどくより、面ファスナーテープをさっと外し、再度まとめるほうがスマートだし、満足度も確実に上がる。

■Life P3の使い心地の良さに納得
普段の使い心地にも細かな配慮がなされている。
実は、数多くのワイヤレスイヤホンを試していると、イヤホンの性能以外の部分が気になってくる。

イヤホンの性能自体は、価格帯が同じなら、どのメーカーの製品も大きな差はなくなってきている。また「音」に関しては、人間が視聴できる周波数帯は決まっているし、音質もリスナーの好みにより評価は変わってしまう。

つまり、多くに人にとっては、ある程度の性能や機能を備えていれば、大きな差は感じず、細かな点は好みによって左右される場合が多いということだ。
加えて普段使いともなれば、細かな音の違いも大切だが、使い心地のよさや扱いやすさが、重要になってくる。


Life P3の充電ケース内側


これは以前から筆者も感じていたことだが、Soundcoreのワイヤレスイヤホン製品は充電ケースの作りの良さや使いやすさが他社の製品に比べて高い。
簡単にいうと、開けやすく、取り出しやすい。
普段使いのイヤホンであれば、こうした点はとても重要なポイントなのだ。

他社製品では、充電ケースの蓋を片手で開けられないものや、両手でも開けにくいもの、さらにはイヤホンが取り出しにくい製品も意外に多い。

Life P3の充電ケースはSoundcore製品の中でもコンパクト仕様であることがひとつの特長だが、片手で開けることもでき、イヤホンも取り出しやすい形状になっており、ストレスを感じない。

しかも、それだけではない。蓋の内側にはバンパーを備えているため、閉じるときに「パタン!」という音が立たない。これは静かな場所での取り出しや収納時に、とても助かる。ほかのSoundcore製品では「パタン!」という音が鳴る製品もあるのだが、他社製品ではもっと大きな音で「パチン!」と鳴る製品も決して珍しくはない。しかし、Life P3ではそうした音が鳴らず、静かに蓋を閉じることができ、手に残る感触も優しい。

筆者も常々、充電ケースの「パタン音」はとてつもなく安っぽさを感じるとともに、メーカーはそこに配慮はしないのだな、と感じていた。

例えるならば、オフィスや会議室などのドアが閉まる際に、大きな音を立てるか、静かに閉まるかの差と同じだ。もちろん静かに閉まったほうが印象は良い。

Life P3の充電ケースは、そうした筆者の気になっていた点を見事に解消してくれた。
充電ケースを閉じる感触で毎回心地良さを感じている。そして、充電はUSB Type-Cケーブルだけでなく、ワイヤレス充電にも対応している点も嬉しいポイントだ。


左が専用アプリのトップ画面、右が設定画面


Life P3は、iOSおよびAndroidに対応した専用の「Soundcore」アプリで各種設定ができる。

スマートフォンとLife P3をBluetooth接続した状態でSoundcoreアプリを起動(初回は機種「Life P3」を選択)する。

これまでのSoundcoreの製品の中でもLife P3は多機能だ。
Soundcoreアプリでは、
・タッチ音(タッチ操作時の音)のON/OFF
・ファームウェアの更新
・デバイスを探す(イヤホンから音を出す紛失防止機能)
・クイックスタートガイドの閲覧
・ノイズキャンセリングのモード設定
・ゲームモードのON/OFF
・イコライザーの設定
・睡眠モードの設定および再生
・タッチ操作の設定
・イヤーチップ装着テスト
これらの操作や設定が可能だ。

筆者も最初は機能の多さに驚いたが、ふとトップ画面に推移したときに気付いた。
そう、ここでもイヤホンのカラーがライトブルーになっているのだ。
お気に入りの色のイヤホンを購入し、アプリ画面もお気に入りの色が自動で表示されるのだ。

こうした細かな配慮が製品やブランド、メーカーのイメージを向上させ、さらには使い心地の良さに繋がるのだろう。

強力なアクティブノイズキャンセリングや、外音取り込み、長時間利用など基本性能もしっかりしている。
価格(金額はすべて税込)も、
ブラックが8,990円
ほかの4色は9,990円
Amazon.co.jpでは1,000円引きのクーポンが利用可能と1万円未満で購入できる。

Soundcore Life P3は、スペック表や価格だけでは計れない細かな配慮や使い心地の良さが体験できる製品なのだ。

Soundcore Life P3 | 完全ワイヤレスイヤホンの製品情報 − Anker Japan公式サイト



執筆:S-MAX編集部 2106bpm