11日に行われた「児童労働反対世界デー・ウォーク」(撮影:佐谷恭)

写真拡大 (全2枚)

児童労働反対世界デーの12日、国際労働機関(ILO)が5月に発表した「児童労働グローバルレポート」の報告会が、東京都渋谷区のUNハウスで開かれた。児童労働問題に関心のある学生やNGO職員、労働組合員など約40人が出席し、報告を熱心に聞き入っていた。

 同レポートによると、2000年から04年までの4年間に、児童労働者数は世界で11%減少した。中でも炭鉱や花火工場など、子どもが有害物質を吸ったり爆発に巻き込まれたりする可能性のある危険有害業務に関しては、26%減少した。地域別では、ラテンアメリカとカリブ海諸国で、児童労働者数が4年間で3分の1に減るなど大きな成果を収めたものの、経済発展の一方で格差が拡大するアジアや、HIV・エイズによる就労人口の減少が続くアフリカ諸国では、目立った改善は見られないという。

 報告を担当したILOの長谷川真一駐日代表は「児童労働に反対する世界的な運動が、着実に成果をもたらしている」と述べた。しかし、絶対数は減少しているものの、世界の子どもの7人に1人に相当する2億1800万人が、児童労働に従事していると推定されている。

 この状況を問題視するNGOなどは、児童労働反対世界デーの前後に、知識の普及と啓発を図るためのイベントを各地で開催した。児童労働問題に取り組むNGO団体「エース」の白木朋子さんは「児童労働についての認識・関心は、少しずつ高まっている」と話す。11日にUNハウスで同団体などが開いた児童労働に関する映画上映会には、約400人が参加。会場はほぼ満席となった。また、上映会の後に行った「児童労働反対世界デー・ウォーク」にも、昨年のほぼ2倍となる約250人が集まった。【了】

■関連記事
児童労働、日本も無縁でない
世界で働く子どもたちを知る

■関連リンク
ILO駐日事務所
エース