麒麟・川島明

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 今春より、TBSの朝の情報番組『ラヴィット!』のMCを務めている麒麟・川島明。今や、朝の顔になり、MCとして評価を高めている彼だが、ほんの数か月前まで、MC横(大御所芸能人や俳優などがMCをする場合、横で場を仕切るポジション)やひな壇の一員として実力を発揮しており、『異世界転生バラエティ 万年2番手だった麒麟川島が転生したら千鳥おぎやはぎ山里を従えるメインMCだった件』(テレビ東京系)が放送されるほど、影の立役者としてのイメージが強かった。そんな川島が、並み居るMC芸人を差し置いて、朝の情報番組のMCの座を手にしたのだ。

 今や、大物MCのくりぃむしちゅー・上田晋也やバナナマン・設楽統なども、川島のように、ひな壇の一員からMCへと抜け出した芸人だ。上田は博識な上に、たとえツッコミがハマりにハマったし、コント職人としての色が強く、テレビ向きでないとされていた設楽は、バラエティーで必ず“企画の説明役”を担い、番組を進行させていった。2人は、笑いも取れて進行もできるハイブリッドを武器に、MCへと駆け上がったのである。

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 「上田以降の世代で言うと、オードリー・若林正恭、南海キャンディーズ・山里亮太などが挙げられます。彼らもMC横として台頭した芸人たち。2人もまた、バラエティーで経験を積み、スタッフから信頼を勝ち取ってきました。ベクトルは違いますが、山里も若林も、ラジオや著書などで自分の負の部分をさらけ出し、エネルギーに変えて笑いに昇華させていった。これは今までなかった戦い方ですよね」(芸能ライター)

 ここ数年、コンビを離れ、ピンでMC横芸人、またはMCとして注目されているのが、千鳥・ノブとかまいたち・濱家隆一。濱家は近年バラエティーに顔を出し始めたばかり、ノブは山里や若林の先輩であり、MC力は折り紙付きだが、上の世代も下の世代もひしめき合っているため、バラエティーの席が少ない。コンビとしては成功を収めているものの、ピンMCとして、今後どう羽ばたくのか注目されている。

 では、MCではなく、MC横芸人を主戦場としている芸人たちは、どのような状況なのだろうか。

 「MC横芸人としては、陣内智則、バイきんぐ・小峠英二、平成ノブシコブシ・吉村崇、ハライチ・澤部佑などがいます。そこに参入しようとしているのが、パンサー・向井慧です。彼は正統派のMCタイプでありながら、実は心の中に潜む怒りや苦しみをノートに書き記していることが番組で明らかとなり、その闇部分が注目を集めています。これからが期待されていますが、小峠ら先輩芸人がMC横に鎮座しているため、なかなか経験を積むことができません。番組の1コーナーなどを着実にこなし、ステップを踏んでいくしかないのです」(同上)

 向井以降の世代(お笑い第七世代)もほぼすし詰め状態だ。最近では、売れるとすぐに番組を持つケースがあるが、それだと経験がなさすぎて、すぐに頭打ちになるのは目に見えている。実力派の芸人が詰まっている分、若手が育ちにくい環境ではあるのだ。

 才能ある人材が多いのは良いことだが、MC候補芸人が番組側の分母より上回っているのが現状である。下の世代のMCを担う若手たちは、地上波だけでなく、劇場や配信系などにも目を向けて、実力をつけていくしかなさそうだ。