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さぁ、次はパラリンピックだ!

17日間と2日に渡る東京五輪が閉幕しました。無事に…というと異論反論が飛び交いそうですが、「試合」をしっかりと終えることができたことでまずは安堵しています。世界から預かった役目をどうにかこうにか果たすことができたなと思います。アスリートたちが生涯最高の瞬間を発揮し、その光に照らされて世界が明るくなっていたらいいなと思います。


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8月8日の閉会式。そこには8年前に「こんな感じになるんちゃうか」とよぎった不安が再現されていました。「悪夢の大阪世界陸上」と呼んで戒めとしてきたあの閉会式。河内家菊水丸さんの河内音頭にあわせてお姉さま方が盆踊りを披露し、世界のアスリートにそれを半強制する……2007年からほとんど発展のない世界が繰り広げられていました。その意味では「こういう式典をやるのに、とことん向いてない」と思う部分もありました。

ただ、当時「悪夢の」と思った気持ちのほうは長い時間を経て変化してきています。開会式・閉会式というのは誰のためのものなのかということです。世界からのご来賓?ご来場のお客様?バッハ会長以下IOCの面々?いずれも違います。開会式・閉会式、そして大会のすべては選手たちのためのものです。

選手たちの素晴らしい活躍をぜひ見させていただきたいから、その舞台を用意し、その舞台を盛り上げる式典を用意しているのです。選手たちのことを思えば閉会式というのは「こちらが見せたい閉会式」をやるというのは少しズレているのです。見せたいものがあります、主張したいことがあります、国威発揚の場です、我々の素晴らしい技術をご披露して…など選手にとって知ったことではありません。

選手たちは自分が人生の目標としてきた瞬間を終え、放熱と弛緩の時間を迎えています。具体的に言えばグッタリしてダラダラしています。ただ、ひとつの大きな仕事を乗り越えたという高揚感があり、眠れないような興奮のなかにあります。それが終わっていく寂しさを和らげ、ゆっくりとお別れをさせてあげればそれでよいのです。むしろ、それが正しいのです。

デパートの閉店間際、店のなかには「蛍の光」が流れ、「お買い忘れのないように…」とアナウンスが流れるでしょう。閉会式はアレをやっているのです。何となく何かの音楽が流れ、何となく何かのアナウンスが流れ、それを聞き流しながら友だちと最後の記念撮影をしたり、LINEの交換をしたりするのです。閉店15分前からヒーローショーを始めたりはしないのです。そして、用が済んだら帰るのです。

閉会式は「よし、帰ろう」と思わせるためのもの。

その意味では東京五輪の閉会式というのは十分にその役割を果たすものでした。選手たちは和やかに交流し、記念撮影をし、インスタライブをしていました。ステージへの注目は低かったかもしれませんが、注目しなくてもいい程度の催しは心地よいものでした。狙ってそうなったわけではなく、「向いてない」&「簡素化」による結果ではあるのでしょうが、名残を惜しむにはちょうどいいものだったと思います。「こういうのでいいんだよ」と思えるものでした。



NHKによる閉会式の中継。冒頭のハイライト映像には日本勢の活躍も多数含みつつ、今大会の印象的な場面が映し出されます。歓喜の金、世界記録、夢の実現、どれもが素晴らしい瞬間です。「このとき日本勢が負けた側だったな」と思い出す映像もありますが、やはり勝者の喜びを見ると嬉しくなります。「頑張りましたね」と笑顔になります。

閉会式は陛下の名代として秋篠宮様のご臨席をたまわりました。おふたりのご協力のなかで五輪・パラリンピックは行なわれるというのは頼もしく、ありがたいことだなと思います。日の丸の入場では今大会を彩った日本のアスリートや、パリ大会の期待の星、医師、足に不自由を抱えつつもモデルとして活躍する女性など、さまざまな人が参加していました。東京からパリへ、五輪からパラリンピックへ、思いをつなげるような人選でした。

宝塚歌劇団の皆さんによる君が代の歌唱のあとは、オリンピック・マーチに乗せての選手入場の時間。古関裕而氏作曲により1964年東京大会の入場行進を彩った名曲が57年の時を超えてふたつの東京五輪をつなぎました。流行りの曲もいいものですが、「世界の選手に行進してもらう」そのためだけに生まれた曲のぴったり具合というのは別格です。素晴らしい行進です。

閉会式はキッチリと各選手団を並べるわけではなく「ご自由に」入場してくるのが通例。先行する旗手が一応の並びを作り、参加選手はあとから思い思いにやってきます。日本の旗手は空手形で金メダルを獲り、沖縄県出身者として初の金メダリストとなった喜友名諒さん。さすが形の絶対王者、旗を持つさまも槍を構えた武将のように決まっています。



入場してきた選手は誇らしげで満足気です。笑顔いっぱいです。手に手にスマホを持ち、この光景を自分のSNSで中継しています。記念撮影に興じ、カメラに向かって挨拶をする。何かを見に来たというよりは誰かに会いに来た、そんな雰囲気です。大会序盤に出場した選手はすでに帰国の途についていますが、そういう選手たちにもカメラを通じて「名残」が伝わればいいなと思います。

日本選手団も若干の「輩」を含みつつ、楽しそうに入場してきます。最終日に王者アメリカと「金」を争った栄光のバスケ女子代表の姿もあります。アーティスティックスイミング代表は「開催してくださりありがとうございました」のメッセージを掲げました。走ったあとはグッタリしていたマラソン代表も元気です。「輩」がいるのが気になる点以外は感謝・感激・労いの気持ちでいっぱいになります。



光の粒が集まって五輪を作る演出のあとは、語らいの時間。優雅なカフェタイムのように、公園の芝生でのリラックスタイムのように、穏やかで和やかな時間です。東京スカパラダイスオーケストラによるBGMがしっくりきます。公園で見る大道芸のようなパフォーマンスがほっこりします。「聴く」「見る」というよりは「包まれる」という感覚。選手たちもゆったりと過ごせたことでしょう。

ひとしきりの語らいを終えると、再び式典モードへ。男女マラソンの表彰式などを行ない、最後のメダルが選手たちの手元に渡されます。試合を行ない、メダルを渡す。この大会の役目がようやく果たされたなと思います。選手たちの頑張りが発揮され、その結果が明らかになる場を作れてよかったなと思います。これがちゃんとできただけでもここまでは大大大成功だなと思います。パラリンピックも引きつづきこうありたいものです。そこまでやり遂げて、成功を噛み締めたいなと思います。

太田雄貴さんら新たに選任されたIOC委員の紹介、この大会を支えてくれたボランティアの皆さんの活躍の紹介、そして世界の平和を願う追悼の舞と式次第がつづくと、その後は日本各地の伝統的なお祭りの映像が。そして、その映像からつづく形で東京音頭と盆踊りの時間が始まります。始まってしまいます。「こ、これは大阪世界陸上で見たヤツ…」と僕ものけぞりますが、まぁ、これもまたいいものです。これが日本の夏です。こういうことをして過ごしております。僕らが毎年夏にこれを楽しみにしているのだから、隠しても仕方ありません。「どうだ!見たか!これが日本の夏だ!」と思っておればいいのです。その記憶をどうぞお持ち帰りください。

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つづいて、東京からパリへの引き継ぎの時間。小池都知事がオリンピック旗をパリへと渡します。そしてパリからは「パリ五輪をどうぞお楽しみに!」というパフォーマンスが。エッフェル塔など世界的名所を競技会場とするというパリ五輪の舞台の紹介と、それを彩るフランスの国歌の演奏、そして広場に集った人々の高揚する姿とトリコロールカラーを描くアクロバット飛行。華やかなお披露目です。

作り込んだ仕掛けなどはありませんが、パリという歴史ある街、そこに暮らす人々が圧倒的なパワーで期待感を高めてくれます。1年延期があったぶん次はもう3年後。もうたった3年後です。東京が「どうにかしてできる」ことまでは示しました。この先を引き継いで「華やかにできる」を示してほしいなと思います。引きつづき困難な時間はつづき、準備もままならないかもしれませんが、頑張ってほしいなと思います。あとはまかせたぞ、頑張れパリ!







最後はお別れのご挨拶の時間。橋本聖子組織委員会会長と、IOCバッハ会長が世界各地域を代表するアスリートたちを招いて最後のご挨拶を行ない、人々に感謝と別れを告げます。大竹しのぶさんらが「星めぐりの歌」で世界に想いを馳せるなか、太陽が沈むように静かに聖火台は閉じ、聖火が消えました。東京五輪、閉幕。大変な困難のなかで迎えた五輪ですが、やるべきことをできました。ここまでこれたことで胸がいっぱいになります。

ただ、これはまだ中間点。世界からお預かりしているパラリンピックは、これから始まります。より困難な状況にある人が、より強い光を放つ機会です。しっかりとやり遂げて、つとめを果たしていきたいもの。世間には待ってましたとばかりに「東京五輪は失敗だった(※見てないけど)」などとのたまう輩もいますが、すべてはパラリンピックを含めての話です。成功だと胸を張るのも早いし、失敗だと断じるのも早過ぎる。

今この瞬間に「失敗だった」と断じている時点で、この大会への理解も、多様性への尊重も、連帯も、何もないということが明白です。それはどういう立場であっても、よろしくない態度だろうと思います。そういうみなさんも、引きつづきパラリンピックにご注目いただいたうえで、あらかじめ「大失敗だった」と言うと決めているのであればおっしゃっていただければと思います。せめて、そういう形でも、パラリンピックまで含めて見ていただけるようであればいいなと思います。

しっかりと準備をして、パラリンピックまでちゃんとやり遂げる。

そのために引き続き安全安心を追求しながら、楽しく過ごしていきましょう。

世界の皆さん、まずは東京五輪「ARIGATO」ございました!

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次はパラリンピックでお会いしましょう!素晴らしい大会になりますように!