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今年も20周年記念大会として開催

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo:Asuka Igarashi(五十嵐飛鳥)

雄大な北海道を舞台にするクラシックカーのレギュラリティ・ラリーが「トロフェオ・タツィオ・ヌヴォラーリ北海道ステージ」だ。伝説のレーシングドライバーであるタツィオ・ヌヴォラーリを称えて始まったこのイベント、最初に開かれたのは2000年のこと。

【画像】2021トロフェオ・タツィオ・ヌヴォラーリ北海道ステージ【写真レポート】 全25枚

20年目となる2020年大会は、節目の年として盛大に行われる予定だった。しかし「新型コロナ感染症」に直撃されてしまう。2021年大会は不完全燃焼に終わった昨年のリベンジの意味合いから、再度20周年の記念大会として行われた。


ツアーは北海道らしい雄大な景色を楽しみながら進められた。    五十嵐飛鳥

ウイズコロナ時代の開催だけに、道内で感染者数が多い札幌市が避けられた。マスクの着用や検温等の万全の感染防止対策を施して、7月16〜18日の3日間で開催された。

しかし新型コロナ感染症の影響もあり、締め切り直前の段階では20台のエントリーを数えたが、最終的に15台の参加にとどまった。

参加台数こそ少なかったが、北海道初上陸となる1928年と1929年製の2台のブガッティT40、1929年ブガッティT44、1933年フィアット・バリラ508という、普段目にすることのできない貴重な戦前車が4台も姿を見せた。

このほかにもマセラティA6GCS、アルファロメオSZ等の貴重な車両が姿を見せた。また参加者も北海道はもちろん、遠くは大分県から東京、秋田、神奈川と全国から集まった。

今回はコロナ禍での開催ということからPC競技は行わず、大人のツーリング・イベントとして北海道を象徴する場所を巡るルートが組まれた。

1日目は登別を目指す

2021年大会の集合/スタートポイントは、プレミアムカーやレース車両の輸送なども手がける運送事業者、株式会社トランスウェブの千歳市にある北海道営業所の広い構内の一角に設けられた。

参加者は集合して受付を行った後に歓談やランチの時間が設けられ、スタートまで初夏のゆったりした北海道時間を楽しんだ。


観光名所である支笏湖の湖畔ゆくポルシェ356Bロードスター。    五十嵐飛鳥

午後1時になるとゼッケン順にトランスウェブをスタートし、1日目のゴールとなる登別を目指す。途中恵庭市を経由して観光名所である支笏湖の湖畔に到着。

湖畔で一息ついた後はオロフレ峠を越えて、麓にある民族共生象徴空間(アイヌ民族のミュージアム)「ウポポイ」を訪問。ここでは新たな試みとして社会見学を行った。

見学後は地獄谷やクマ牧場で有名な温泉地である登別が1日目のゴール。ちなみに1日目の走行距離は163kmだった。

洞爺湖からニセコへ駆け抜ける

2日目は登別温泉をスタート後は、まず室蘭市の絶景場所である地球岬を目指す。この地球岬は太平洋に面した海岸線に絶壁が続き、地球の雄大さが見られる人気スポットだ。

地球岬の休憩所を出発したのち伊達市を経て、ランチ会場となる洞爺湖畔沿にある創業91周年を誇る銘菓「わかさいも」の本店内にあるレストランに向かう。メニューは海鮮と白老牛の肉料理が用意され、参加者は北海道の味覚に舌鼓を打っていた。


洞爺湖湖畔にある「わかさいも本舗」のパーキングでひと休み。オーナーたちはレストランでランチを味わった。    五十嵐飛鳥

ランチ後は洞爺湖畔沿の狭い道を通り2日目のゴールとなるニセコを目指す。今年の大会では自由でゆったりと北海道のドライビングを楽しめるように、ニセコのゴール時間まではコマ図のルートで走ることを条件にフリータイムとされた。

2日目の走行距離は1日目と同じく163kmを走破し、全車トラブルもなく無事にヒルトン・二セコ・ビレッジにゴールできた。

余談だが、今回は参加者の中に「晴れ男」「晴れ女」を自認するお二方がいたそうで、そのご利益があってか1日目と2日目とも晴天だった。

3日目はパノラマ・ラインを堪能

最終日となる3日目は、ヒルトン・ニセコ・ビレッジをスタート。ニセコから岩内までのワインディングロードで有名な「パノラマ・ライン」でドライビングを楽しんだ。

もちろん安全運転が第一条件で、ドライビングと景観が満喫できる峠道の先には、北海道らしい広大な田園風景の中を行くルートが設けられた。


3日目はヒルトン・ニセコ・ビレッジのパーキングからスタート。開催を祝うように羊蹄山も姿を現してくれた。    五十嵐飛鳥

ルートを進めば原子力発電所が設置されている泊村を通過し、奇岩が続く積丹半島沿いの海岸線をながめつつ、余市にあるランチ会場の「キャメルワイナリー」に向かった 。

今回はワイナリーの協力より、20周年を記念したTTNオリジナルラベルのワインが参加者に贈られた。

ランチは駐車場を占有して、感染対策の一環として自身のクルマの傍らや木陰で、今が旬の余市名物であるウニ&イクラ弁当の特製ランチを味わった。

食後は余市に新しく開設されたインターから後志自動車道に入り、札樽自動車道から道央自動車道を経て、一路最終ゴール地点となる江別・蔦屋書店を目指した。

最終日の走行距離は221kmで、3日間の合計走行距離は前回より短い548kmとなった。

全車無事にゴールへ

主催者が目指す事故の無いイベントの目的が遂げられ、全車両・全参加者は事故も違反もなく無事に江別・蔦屋書店へゴールすることができた。

今年はPC競技が行われなかったため、ゴール後の表彰式は行われず、感染防止対策として江別・蔦屋書店の駐車場で解散式が行われた。


全行程を終えてゴール後に参加者全員で記念撮影。満足げな表情がツアーの楽しさを物語っている。    五十嵐飛鳥

今年もステランティス/FCAジャパンの協力を得て、アルファ ロメオ・ジュリアとジュリエッタをイベント・オフィシャルカーとして使用。参加車両の先行と後追いで見守り、安全を確保した。

また、イベントの趣旨のひとつである参加者同士、地元との交流、北海道のロケーションの素晴らしさと味覚を全参加者が楽しんでもらうことも達成できたそうだ。

なお2022年のトロフェオ・タツィオ・ヌヴォラーリ北海道ステージは、7月の第3週に開催を目指して準備を進めているという。