吉田を中心にまとまっているチームはスペイン戦でどんなパフォーマンスを見せてくれるか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 待ちに待ったスペインとの試合(8月3日/20時キックオフ)が近づいてきた。勝ったほうがメダル確定としびれるシチュエーションで、この強国と戦えるのは幸せだろう。いずれにしても、準決勝以降の2試合はどこと戦っても(もうひとつの準決勝はブラジル対メキシコ)、その経験は選手たちにとって大きな財産になる。

 ここまで勝ち上がったのなら、やはり決勝に行ってほしい。ファイナルの舞台に辿り着けば、それだけで日本サッカーの歴史を塗り替えられるわけだから、スペインを倒したいところだ。

 今大会の日本で光るのは安定した守備。ニュージーランドとの準々決勝を無失点で乗り切れた理由のひとつは、焦れずに耐え凌ぐ戦い方ができたところにある。グループリーグで3戦連発の久保建英の活躍に目を奪われがちだが、ここまでの躍進は堅守あってこそと、そう言っても間違いではない。

 だから、パスワーク主体のスペイン戦でも鍵を握るのはディフェンス。当然ながら、ボランチ、最終ラインが頑張ればいいというわけではない。スペインを相手に立ち上がりから引いて構えるのはむしろ自滅行為。そんな戦い方ではいずれスペインの波に呑み込まれる。試合展開、時間帯によってはあえてゴール前を固めてもいいが、相手をリスペクトし過ぎて最初から受ける格好にはなりたくない。
 
 となると、ポイントは前からのアグレッシブな守備。その点でキーマンとなるのが、CFの林大地だ。ニュージーランド戦でも敵DFに冷や汗をかかせたように、このアタッカーのプレスはかなり効いている。あれだけ前線でボールを追ってくれると、後ろの選手たちは助かり、そのハイプレスが「俺たちもやらないと」と味方に火をつけるきっかにもなるのだ。よって、組み立ての局面でスペインから自由を奪う意味でも、林の献身は生命線と言える。

 理想はメキシコ戦のような試合展開。前からの守備がハマって、早い時間帯にゴールを奪えればベストだろうか。少なくとも避けたいのは、先制されるシチュエーション。「あれ、上手くいかないな……」とスペインにストレスを与えることが重要なポイントで、だからこそメキシコ戦のように先手必勝の流れに持ち込みたい。

 攻撃の局面でキーマンに挙げたいのはボランチの遠藤だ。ここまでの戦いぶりからを見ると、日本がいい形を作るのは遠藤が後方からドリブルで攻め上がった時。そこから久保や堂安が絡んで決定機につなげるシーンは多いので、遠藤にはメキシコ戦のような“ブルドーザー・ドリブル”で相手を撥ね退け、チャンスを生む働きを期待したい。

 オリンピックという大舞台で、スペインとの真剣勝負。濃密な90分(120分になる可能性もあるが)の戦いを選手たちには是非とも味わってもらいたい。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

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