近年はグルテンフリーと書かれている食品やレシピ、メニューを当たり前に目にするようになりましたよね。健康や美容のため、ダイエットのために取り入れている人が多いですが、なぜそのような効果があると言われているのか、実際にそのような効果があるのかはまだご存知でない方も多いのでは?

今回はグルテンフリーについて徹底解剖! 自分がグルテンフリーを取り入れるべきかどうかの判断材料にしてください。

【INDEX】

グルテンフリーとは?

グルテンとは?

グルテンフリーのメリット

グルテンフリーはダイエットに効果的?

グルテンフリー食品の見分け方

グルテンフリーを始める前に知っておきたいこと

グルテンフリーとは?

「グルテンフリー」は、文字通り「グルテンを含まない」という意味。

グルテンフリーは、元々はセリアック病という、グルテンに異常反応して小腸の細胞が破壊されてしまう疾患を持つ患者さんの食事として生まれた食事療法です。セリアック病を患っている場合、グルテンを食べた時の反応により、栄養素の吸収の低下や、腹痛、下痢、倦怠感など、さまざまな症状が出てしまう可能性があるのです。

現在は、セリアック病の食事療法としてだけではなく、グルテン過敏症の人や、自分の体に合った食生活にこだわる人たちにも取り入れられています。

グルテンとは?

グルテンとは、小麦や大麦、ライ麦といった穀物から生成されるたんぱく質のこと。パンやパスタのもちもちとした食感はグルテンによるもので、ピザやお好み焼き、天ぷら、お菓子、カレールーなどの小麦粉を使用した加工食品にも含まれます。

グルテンは消化しにくく、特にグルテンの中の「グリアジン」という成分は、腸粘膜の細バリア機能を低下させます。本来は吸収されてはいけない未消化のタンパク質や病原体などが血流を通って全身へと運ばれてしまい、炎症やアレルギー、自己免疫の誤作動を引き起こしてしまうといわれ、最近グルテンを控える人が増えてきているんです。

小麦は紀元前から食されているにもかかわらず、グルテンフリーという考え方が広がったのは最近のこと。“小麦が悪者”にされている理由として言われているのが、遺伝子組み換えによるグルテン量の増加です。

1900年代までは固有の品種を栽培して食べていましたが、より食感が良く、干ばつや災害に対応したより強い品種を作り出しました。その過程で、グルテンをより多く形成しやすい特徴をもった小麦が出来上がり、現在流通している物のほとんどがこの高グルテンの小麦です。

古代小麦などの昔ながらの小麦の品種は、一般的な小麦よりもグルテン含有量が少なく、腸への悪い影響も少ないと言われています。

グルテンフリーのメリット

グルテンフリーを取り入れる人全員が、美容や健康に良い変化が実感できるわけではありません。しかし、グルテン過敏症やグルテン不耐性など、グルテンが体質に合わない人は、食事をグルテンフリーにすることで主に以下のような効果が得られると言われています。


便秘や下痢の解消
腸内環境の改善
肌荒れやニキビなどの肌トラブル
倦怠感・疲労感の緩和

体質などの個人差もあるので、必ずしもグルテンフリー生活にするとこのような効果が得られるとは言えません。ですが、便秘や下痢、肌トラブル、疲労感などで悩まれている方は、試しに一週間から一ヶ月ほど、グルテンフリーを心がけてみるのもいいでしょう。

また、自覚がないだけで、実は軽度の小麦アレルギーがある方は一定数います。軽度の小麦アレルギーの症状として、以下のようなことなどが挙げられます。


下痢、腹痛、便秘
逆流性胃腸炎、吐き気
お腹が張る
うつ症状
頭痛、偏頭痛、めまい
頭がぼんやりする、集中力が欠ける、イライラ
不眠、貧血、倦怠感
むくみ、冷え性
鼻づまり、鼻水、喘息
じんましん、肌荒れ、湿疹、ニキビ、アトピー、口内炎

今まで気付いていなかっただけで「日々の不調」は、もしかしたら軽度の小麦アレルギーが原因ということも。医療機関でアレルギー検査を行って、食事を見直すのもいいかもしれません。

グルテンフリーはダイエットに効果的?

グルテン自体に体を太りやすくさせるような作用はありません。

ですが、グルテンが入っている料理はラーメンやパスタ、パン、お菓子などの糖質と脂質がたくさん混ぜ合わさった、カロリーが高いものがほとんど。グルテンフリーを心がけることで1日の摂取カロリーを抑えやすくなるため、ダイエットにも適していると言われています。

グルテンフリー食品の見分け方

グルテンフリー食品を選ぶには、グルテンフリー認証マークがついている食品を探すか、食品の原材料欄を確認して【グルテン・小麦・押麦・大麦・丸麦・ライ麦】の文字が入っていないものを選ぶかの2つの方法があります。

グルテンフリーの認証は、セリアック病をもつ消費者に食品の安全性を保証するために、厳格な基準で認証を実施しているもの。この認証マークがついている商品を選べば、原材料名を確認しなくてもグルテンが含まれていないことが確実です。

しかし、グルテンフリー認証マークがついていない商品はグルテンが必ず含まれているわけではありません。原材料にはグルテンは含まれていないものの、同じ製造ラインでグルテンを含む食品を扱っていることから、微量のグルテンが混入する可能性があって認証マークをつけられない場合もあります。

グルテンを厳格に避けないといけない場合を除いては、原材料に【グルテン・小麦・押麦・大麦・丸麦・ライ麦】の文字が入っていないことを確認できれば、グルテンフリー食品として食べることができます。

グルテンフリーを始める前に知っておきたいこと

グルテンフリーの食生活を行っていくうえで重要になってくるのが「グルテンが入っている食材・食品を知る」ことと、「グルテン入り食材を避けるコツを知る」ということです。

まずは「グルテンが入っている食材・食品を知る」について。グルテンフリーは、小麦を避けていればOKと思われている方も多いですが、グルテンが入っているのは小麦だけではありません。押麦や大麦、丸麦、ライ麦にもグルテンは含まれていますし、このような食材たちが使われて作られている食品はかなり多いです。

主なグルテンが入っている食品は以下の通りです。原材料を確認してグルテンが入っていないものを選ぶこともできますが、気になる商品全ての原材料をチェックするのは大変なので、あらかじめどんな食品にグルテンが入っていることが多いのか把握しておくと便利です。


小麦粉で作られた食品:パン、ケーキ、クッキー、饅頭、ピザ、パスタ、うどん、ラーメン、そば(十割そば以外のもの)、そうめん、きしめん、冷や麦、ほうとう、お好み焼き、たこ焼き、クスクスなど
小麦粉で作った皮や衣を使用する食品:餃子、シュウマイ、小龍包、春巻き、肉まん、天ぷら、唐揚げ、カツなど
小麦粉をつなぎに使用している食品:ハンバーグ、練り物など
小麦粉が原料に含まれる場合が多い食品:カレールー、ホワイトシチューのルー、ホワイトソース、しょうゆ、味噌など
大麦が原料に含まれる食品:ビール、麦芽飲料、麦芽糖、麦芽酢など
グルテンが主原料の食品:お麩、グルテンミート(セイタン)など

グルテンが入っている食品を見て、「こんなに多いの!?」と驚かれた方も多いと思います。でも大丈夫! グルテンフリー生活も実は「グルテン入り食材を避けるコツ」さえ掴めてしまえば、美味しく簡単に実践することができちゃいます。

まず押さえたいのが、置き換え可能な食材を知るということ。今まで小麦系のものを食べることが多かった方は、「お米」で置き換えるのが簡単。主食は麺類やパンが多かった方はお米で置き換えるというのはわかりやすいですが、小麦粉を米粉で代用していくのもおすすめです。

家でパンやお菓子を作るときに使う小麦粉を米粉で代用するともちもちとした食感になったり、米粉の揚げ物の衣はよりサクサクとした食感になるなど、小麦粉とはまた一味違った風味や食感を楽しめます。

続いてのコツが、グルテンフリーを実践している方向けに作られた食品を取り入れるということです。麺類がどうしても食べたい時、ライスヌードルや十割そば以外にも、グルテンフリーな原材料で作られたパスタなどもたくさんあります。もともとはグルテンが入っている食品の食感や味、見た目に近づけて作られているので、満足感も高いはず。

最近はグルテンフリーなパスタやパン、クッキー、ケーキ、カレールー、醤油、スナック菓子などいろいろなものが出ているので、グルテン食品を食べたくなった時は、その食品のグルテンフリーのものがあるか探してみると良いでしょう。

そして最後のコツが、もともとグルテンフリーな食品を知っておくということ。グルテンが入っている食品の多さに驚く方は多いですが、もともとグルテンの入っていない食品の多さに驚く方も多いです。

「あれも食べれないし、これも食べれない…」と我慢しないといけなくなると辛いですが、「これも食べれるし、あれも食べれる!」と選択肢が多く感じると楽しく取り組めるので、グルテンフリー生活でも食べられる食品もしっかり覚えましょう。


お食事系の食品:お米、十割そば、ビーフン、フォー、ライスヌードル、生春巻き、春雨、大豆製品など
お菓子・おやつ系の食品:せんべい(ものによる)、大福、羊羹、ゼリー、プリン、ヨーグルト、ポップコーン、チョコレート、グミ、お団子、飴など
飲み物:日本茶、紅茶、コーヒー、ミルク、ジュース、ワイン、日本酒、蒸留酒(麦焼酎以外)など
調味料:みりん、料理酒、酢、マヨネーズ、ウスターソース、とんかつソース、トマトケチャップなど

これに追加して野菜や果物、ナッツやシード、キノコや海藻、豆類などもグルテンは含まれていないので、加工食品を避けるようにして食事をすればグルテンフリー生活も意外と楽にできるかもしれません。

最近体調不良が続いている方、リモートワークで食生活を気にし始めた方、より健康的になりたい方、まずは加工食品を控えてみるなどの、始めやすいところから少しずつグルテンフリーを取り入れてみてはいかがでしょうか?