東京のまちとアートのコラボレーションが楽しめるイベント『東京ビエンナーレ2020/2021』が、9月5日まで開催中です。舞台となっているのは、千代田区、中央区、文京区、台東区の4区にまたがる東京都心北東エリア。様々な建物や公共空間、ときには道路などのまちナカに国内外から参加するアーティストの作品が点在していて、まち歩きをしながらアートを堪能できます。

中でも今回、新しい試みとして注目されているのが、各所に展示されているアートに加えて、会場で自分のスマートフォンを使って体験できる「+EX体験」。現実の風景にアート作品を重ねたAR(拡張現実)体験や、そこでしか体験できない動画や音声などを楽しむことができます。このうちAR体験はアーティストと、自身もアーティストとして参加する開発ユニットのAR三兄弟、ソフトバンクのコラボレーションによって実現したもの。ソフトバンクのアプリ「AR SQUARE」から、作品にアクセス。「AR起動」をタップして会場の風景にカメラをかざせば、驚きのアート作品が出現します。

ARへの取り組みについて説明する『東京ビエンナーレ2020/2021』プログラムディレクターの宮本武典さん(左)、ソフトバンク サービス企画本部 コンテンツ推進統括部 プロダクト開発部の大塚哲治さん(中央)、作品の開発を手がけたAR三兄弟の川田十夢さん(右)。

たとえばアーティスト椿昇さんが新有楽町ビルで展開するのは、オフィスビルの谷間にブッダが出現するインスタレーション『TOKYO BUDDHA』。また万世橋では、ファッションデザイナー山縣良和さんの『Small Mountain in Tokyo』によって、かつてこの地にあった「神田山」が復活します。

東京のオフィス街に実際にこのような作品を展開するのは不可能ですし、たとえばオブジェをひとつ設置するにも様々な制約を受けることになりますが、ARならそれが実現可能。椿さんは「アートは本来、自由とか神出鬼没なもの。ARのような新しいデジタルテクノロジーによって、アートがそこに戻れた」と話しています。

椿昇×AR三兄弟『TOKYO BUDDHA』のARアートのイメージ。

山縣良和×AR三兄弟『Small Mountain in Tokyo』のARアートのイメージ。

AR三兄弟が手がける『都市と経験のスケール』は複数の作品あり。イベントのフライヤーにスマートフォンをかざして楽しめる作品もあります。

AR作品にはほかにも建築家の千葉学さん、アーティストの宇川直宏さん、イ・ブルさんらが参加。『東京ビエンナーレ2020/2021』の開催期間中、有効なパスポート(一般2500円、学生1900円)で、他の作品と一緒に楽しむことができます。
またAR三兄弟の作品『都市と経験のスケール』や、『進撃の巨人』とAR三兄弟のコラボレーション作品『進撃の巨人ARアート』は、アプリ「AR SQUARE」から無料で鑑賞できます。

東京駅で体験できる『進撃の巨人ARアート』。東京の玄関口である東京駅に、あの巨人達が出現します。サウンドも一緒に楽しんでください。

自分のスマートフォンで鑑賞するので、密にならずにアート体験ができるのもポイント。どこでどんな作品が楽しめるのかは、『東京ビエンナーレ2020/2021』の公式サイトでチェックできます。また各エリアに設置されたインフォメーションセンターでも、情報を提供。インフォメーションセンターで入手できるフライヤーにスマートフォンをかざして体験できるARアートもあるので、こちらも要チェックです。この夏は『東京ビエンナーレ2020/2021』で東京のまち×アート×ARを楽しんでみてはいかがでしょう?

東京ビエンナーレ2020/2021 公式サイト

取材・文/太田百合子