タイヤが空気圧に依存する割合は90%」といわれている

タイヤを使うときにドライバーにとってもっとも大切なことをひとつあげるとすれば、それはタイヤを適正な空気圧に保つことである」。タイヤの専門書を開くと、冒頭にまずこの一文が書かれている。

 空気入りタイヤは、タイヤは空気の力で荷重を支えているものなので、「タイヤが空気圧に依存する割合は90%」といわれているほど、空気圧は重要だ。

 その適正な空気圧はクルマによって変わってくるので、自動車メーカーが指定する「車両指定空気圧」(運転席のドア付近にシールで表示されている)に合わせるのが基本。

 空気圧が適正値より低い場合は、

・発熱による損傷(ヒートセパレーション)やコード切れによるバーストが起こりやすくなる
・ホイールからタイヤビート部が外れやすくなる
・ハイドロプレーニングが起こりやすくなる
・燃費が悪化する
・両ショルダー部の偏摩耗(片減り)を発生しやすくタイヤが長持ちしない

 といったトラブルの元になる。

 空気圧が過多の場合は、

・乗り心地が悪化する(固く、はねるようになる)
・センター部の偏摩耗
・傷を受けやすくなり、カットや、ショックによるコード切れ(バースト)のリスクが増える

 といった影響が考えられる。

 ただし、空気圧は低いよりも高いほうがはるかにデメリットは少ないので、メーカー指定の「車両指定空気圧」が下限だと思っておけば間違いない。

0〜+20kPaの範囲内で調整・管理することが推奨されている

 実際、正常な乗用車タイヤでも、「自然空気漏れ」により、1カ月で約5〜10%も空気圧が低下するのは普通なので、タイヤメーカーでは車両指定空気圧を基準に、0〜+20kPaの範囲内で調整・管理することを推奨しているほどだ(上限は+10%程度)。

 細かくいえば、荷物を満載したりして荷重が増えたときや、高速道路を長距離走るときなどは、普段よりも10〜20kPaほど高めるといい。

 では、空気圧を下げた方がいい場合はあるのか?

 前述のとおり、本来は「車両指定空気圧」が下限なので、わざわざ空気圧を下げる必要性はほとんどないが、タイヤの空気圧は外気温が10℃高くなると10kPa上昇し、気温が10℃下がると空気圧も10kPa下がるので、真夏は熱の影響で「車両指定空気圧」よりも高めになっている場合があり、そうした場合に「車両指定空気圧」まで下げるのはOK。
※空気圧点検・調整はタイヤが冷えている時におこなうこと

 あとは悪路でスタックした場合は、空気圧を指定値の半分ぐらいまで抜いて、タイヤの接地性を増やして脱出するという裏技もあるが、これは緊急回避テクニック。

 いずれにせよ、走行距離の多い少ない、あるいはタイヤの摩耗具合に関わらず、最低でも1カ月に1度、エアゲージを使って空気圧の点検・調整をするのは、ドライバーの義務だと心得ておこう。