メーカーや車種で残価設定率が大きく異なる

 残価設定ローンとは、契約年数が終了した時点での車両残存価値をあらかじめ定め、その金額を車両価格から差し引いた残りを分割払いで支払う購入方式だ。したがって、前提となるのは3年あるいは5〜7年といった支払期間終了後に、そのクルマがどれほどの価値を保持し続けていられるかに掛かっている。その設定の仕方次第で、メーカーや車種によって残存価値の値段が違ってくる。

 予想を大きく下まわれば、販売会社が損をする。逆に予想を上まわれば、消費者が支払い過ぎとなる仕組みだ。しかしそれは契約であって、損得の結果は、契約終了時になってみないとわからない。

 販売店にしてみれば、残価をより高く設定すれば、月々の顧客の支払額を少なく抑えることができ、消費者にとって利点になるだけでなく、消費者の気を引くうえで競合他社に差をつけられ、販売台数の増加に寄与することになる。

 そのためには、まず新車時の商品価値が高いことが重要だが、なおかつ、契約終了後の残存価値を高く残すには顧客から車両を引き取り中古車となったときにも魅力を失いにくい外観や内装、あるいは装備、そして性能が保持されることが大切だ。

設定条件に合うように乗れるかどうかがポイント

 それを実現するため、残価設定ローンの場合は、年間走行距離がある一定の基準内であることが条件となる場合が多い。たとえば、年間1万kmといったことだ。したがって、クルマの使用頻度が高く、年間の走行距離が数万kmに及ぶような人の場合は、契約終了時の走行距離数が大きくなって、中古車としての価値が下がる懸念があるため、残価設定ローンを利用できなかったり、契約終了時点で契約内容を満たす走行距離を超えたことに対する追加料金が生じたりすることも考えられる。

 逆に走行距離が設定に比べ極端に少ない場合は、契約終了後の中古車としての価値が予測より高まり、クルマ買い取りなどの査定でより高価に処分できる可能性も考えられる。その場合は、月々の支払額が割高になっても、通常のローンや現金で購入したほうが、最終的には支払額を抑えられるかもしれない。

 結論からいえば、残価設定ローンは、契約条件に見合う利用の仕方であるかどうかがひとつの確認点になるだろう。あとは、月々の支払額に納得できれば、車両代金全てを分割で支払うより購入しやすいはずだ。

 そして同一メーカーのクルマへ乗り換えするのであれば、下取り車の査定や、それに際しての駆け引きなどの面倒を気にせず、月々の支払金額の増減だけで新しいクルマへつなげていくことができる。

 似たような支払方法に、リースがある。これも、あらかじめ契約年数終了後の残存価値を予測し、その分を車両価格から差し引いた残りの金額に対し、月々の使用料を支払う契約だ。この場合の所有者はリース会社となる。またリースの場合は、月々の支払金額のなかに、契約期間中に必要になる税金や損害保険代、あるいは整備代金なども含むことができ、クルマを利用するうえでの必要経費がすべて月々の支払額で明快になる利点がある。

 ただしリースの場合は、自分のクルマではないので、改造や改良するため勝手に手を加えることはできず、あくまで利用のため借りているクルマの扱いになる。愛車を飾りたい、タイヤやホイールを替えて雰囲気をより高めたいなどができないのが前提だ。それでも、仕事と自家用を兼ねて使う場合や、通勤や買い物などに割り切った利用の仕方であれば、月々の支払以外に余計な出費がなく、事業や生活の金銭管理がしやすくなる。