たとえ現地にいなくとも何かを「感じ取る」ことはできると、チケットを持たずに見守るドリームオンアイスと羽生結弦氏が気づかせてくれた件。
まるで見ていてくれたかのようなタイミング!
昨日はやはり落胆を上手く処理しきれずにいました。ふとした瞬間に漏れるため息と、それを慌てて打ち消すような心の動き。ハッキリとその日を意識してからでも8年をかけて温めてきた思いですから、1年半ではそれを鎮めるには至らなかったということなのでしょう。ある程度覚悟はしていたものの、ちゃんと決まると芯に響きます。「余命1年です」と「ご臨終です」の違いだなと思います。
ただ、捨てる神あれば拾う神あり。まるで僕の落胆を見ていてくれたかのように、心が前向きになるニュースが飛び込んできます。それはもちろんウチの愛の離婚成立……ではなくて、横浜で行なわれたドリームオンアイス公演での羽生結弦氏の登場です。残念ながらチケットは入手できませんでしたが、それでも遠くから心を向けることはできます。ちょうどタイミングよく寝具の西川さんで羽生氏キャンペーンの第三弾も始まり、クリアファイルの購入と、涙を拭くタオルをおまけでいただくことにしました。五輪開幕までに届くとよいのですが。
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- 東京FUTONカンパニー(東京西川チェーン) (@Tokyo_Futon) July 9, 2021
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18時から始まるという公演を待つ時間。メディア各社から届く報せや、公演に向けての羽生氏動画コメントなどを見ていると、俄然前向きな気持ちというものもわき上がってきます。この道の先にはまだまだ夢が待っていて、そのために安心安全を追求していかなければならないのだと、身が引き締まる思いがします。
動画コメントで羽生氏は「エネルギーをすべて出し切るところを、見て、感じ取ってください」と呼び掛けていました。何となくホッとする気持ちになります。とかく今は何を言っても否定される世の中で、最近ではアスリートたちが語る「勇気や元気、感動を与えたい」的なフレーズにも高速で難癖がつくようになりました。勇気も感動も与えられることはないし、そんなチカラはスポーツにはないし、要するに「おこがましい」のであるという難癖が。
僕の眉間はピクッと動くわけですが、いささか言い返すのにも疲れてきており、「はぁ…」と息を吐きながら見流していたのですが、そんな心にも優しく温かく羽生氏の言葉は届いてきます。羽生氏は全力を尽くすという自分の範疇のことだけを約束し、それ以上はコチラに委ねてくれています。何を感じ取ってもいいし、よしんば感じ取れなくてもそれはそれという姿勢。ただ、言葉にしない奥底には絶対に何かを、楽しいとか前向きになるとか元気とか勇気とかを呼び起こしてあげられたらいいのになという、光の意志があることが伝わってきます。
昨年のコロナ禍のなかの全日本でもそうでしたが、「誰かの気持ちに何かを灯したい」と羽生氏はそれを限定しません。それぞれの人にとって、灯るものも必要なものも、きっと違うから。勇気や元気こそが必要な日もあれば、感動で心洗われたい日もあり、あるいは本当に小さなやる気で食事をするとか眠るとかだけができれば何よりの日もある。限定できない、汎用的な、心と身体を動かす何か。言うなれば、太陽の光のようなものが届くといいなという、祈りを感じます。明るくなってもいいよ、エネルギーにしてもいいよ、草花を育ててもいいよ、という。チケットが取れなかった残念さすら癒され、安らぐような気持ちです。
↓「自分が頑張る」だけでも「何かを届ける」だけでもなく、感じ取ってもらえるくらいに頑張るという光の意志!
✨いよいよ開幕✨#ドリームオンアイス 2021#羽生結弦 選手からコメントを頂きました⛸
- TBSチャンネル (@tbschannel) July 9, 2021
CS放送・TBSチャンネル2にて独占生中継📺
☆7月10日(土)午後0時25分〜/午後5時55分〜
☆7月11日(日)午後0時25分〜
出演スケーターなど詳しくは☞ https://t.co/bd9Y3DU09i#DOI #DOI2021#フィギュアスケート pic.twitter.com/2Kk3iDZCCU
SNSのタイムラインでは羽生氏がどんなプログラムを演じるのだろうか、どんな衣装なのだろうか、いろいろと想像が飛び交っています。それを加速させるように新聞社からの写真や現地民からの投稿が届くと、「白Tシャツ!」「トリプルアクセル!」(※何故これで沸いたのか改めて考えるとよくわからないが)といった歓喜の声が上がります。
この日は公演の中継はなく、基本的にはごく少数の現地民以外「誰も」羽生氏の姿や演技を見てはいないのですが、にぎわいは大変なものです。「なんだ、コロナ禍の観戦なんて、ここにもうあるじゃないか」と思います。技術の進化があればもっとやり方も変わるかもしれませんが、楽しむ気持ちとつながる心があれば、あとはどうとでもなる。昔の人がラジオにかじりついたように、どんなものにでもかじりついて、今そこにあるものと、想像力の翼で補えばどうとでもなるじゃないかと思います。タイムラインにいる人たちが作る、演技を見てさえいないのにまるで試合のようなにぎわいは、無観客だろうが何だろうが乗り越えていけるという気持ちにさせてくれます。
↓写真などあろうものなら、もはや現地にいるがごとき心境に!
[#ドリーム・オン・アイス 2021]
- 読売新聞写真部 (@tshashin) July 9, 2021
オープニングを盛り上げる #羽生結弦 選手(若杉)
読売新聞オンラインでショーの様子を写真で紹介しています→https://t.co/Dj4RNoM0FC#YuzuruHanyu pic.twitter.com/HZAj9VrHNt
これ1枚目は落ち込んでいる僕への激励だな、間違いない!
2枚目はリンクについてズボン濡れちゃったから貸してくださいのお願いだな、間違いない!
3枚目は「え、今日は泊まっていってもいいんですか?」の表情だな、間違いない!
4枚目は「ちょっとー、落ち着いて!」のじらしだな、間違いない!
見ていないので何ともですが、どうやら初日の演目は「マスカレイド」であったよう。なるほど「エネルギーをすべて出し切る」にふさわしい演目です。「マスカレイド」の最後で手袋をびたーんと投げつけるとき、いつか一緒に手袋を投げたい、そんなことを思います。そういう世間的に無価値に見えそうな行為を、気兼ねなく、またみんなでやれたらいいな、そんなことを思いながら想像の観戦はつづきます。
断片的に届いてくる演技の内容や情景。きっと、実際に見ると怒涛の連打で「感じ取って!感じ取って!」と背中をバシバシ叩かれるような演技なのでしょう。最後にびたーんと背中に跡が残るくらいに叩かれて、気合が入るような。週末は生中継があると言いますし、僕はぜひその演技から「元気」を感じ取りたいなと思いました。
↓写真などあろうものなら、もはやダイレクトに背中を叩かれているくらいの心境に!
[#ドリーム・オン・アイス 2021]
- 読売新聞写真部 (@tshashin) July 9, 2021
フィナーレと記者会見から表情豊かな #羽生結弦 選手(若杉)
読売新聞オンラインでショーの様子を写真で紹介しています→https://t.co/Dj4RNoM0FC#YuzuruHanyu pic.twitter.com/uEuto4xO5H
これ1枚目は「会いに来たよーーー」と駅前でピックアップされるときの顔だな、間違いない!
2枚目は「はい、ハグーーーむぎゅーーー」のおねだりだな、間違いない!
3枚目は「へー、意外にキレイにしてるんだね」のときの顔だな、間違いない!
4枚目は「よし、今夜は豚バラのミルフィーユ鍋にしよう」の顔だな、間違いない!
公演後、羽生氏は取材に応じ、いくつかのコメントを残しました。必ず今シーズン4回転アクセルを決めたいという決意や、新ショートプログラムの音楽はもう決まっているという予告、カナダには移動せずにリモートでの振付を試みることなどのほか、五輪に関する質問にも求めに応じて答えてくれていました。
以前から変わらずに、北京五輪については明確に目指す目標ではなく、自分の進む道のなかにそれがあるのであれば、という俯瞰的な視点からとらえていること。そして、無観客となった東京五輪については「僕は選手の立場なので。はっきり言ってしまえば、観客が…観客の方々が直接声援を送っていただけるとか、足を運んでいただけるとか。そういったことに声を上げることは僕はできないんじゃないかなと」という言葉を残しました。
【 #羽生結弦 語るDOI編(2)】「必ず今シーズンで4回転半を決める強い意志はあります」 https://t.co/YajbGRkUN0
- Sponichi on Ice (@SponichiF) July 9, 2021
意味するものは各自考えよ、といったところですが、究極的には「来てください」とも「来ないでください」とも言えないよね、ということでしょうか。特に今はコロナ禍でもありますし、そうでなかったとしても、応援に出向いたり声援を送ったするのはあくまでも観衆の側の判断であって、選手の側が求めたらそうなるものではないよね、という。
ただ、やはり五輪というのは「夢の舞台」であって「その舞台で一生懸命やることには変わりない」とも羽生氏は言います。これが無観客開催ということへの意見だとすれば、たとえ無観客でも、そうでなくても、選手は一生懸命やるはずだというオリンピアンとしての確信なのかなと感じました。だから、それを「感じ取って」いけばいいのだと。選手から求めることではないかもしれないけれど、どうにかして感じ取ってもらえたら、そこには特別な何かが生まれるんじゃないかという希望を受け取りました。
思えば、羽生氏を巡る旅は大体がそうです。自分が観衆となる機会は極めて少なく、いまだに「現地」を未体験のまま熱烈に推している人も多いでしょう。羽生氏がいるのは大体がモニターの向こう側で、ロシアのテレビが動かないとか、日本のテレビがライブで映さないとか、そんな困難と付き合いながらの観戦です。じゃあそれで辛かったかと言うと、「それもまた思い出」となっています。心を向けて、どうにかして感じ取ろうとする気持ちさえあれば、ロシアのテレビの動かない画面すらも観戦となる。
「遠距離恋愛もまた、恋愛か」
遠くにいてなかなか会えない人だからこそ、スッと腹に落ちていくような気持ちになります。「会えないから、燃えるんだろう」という逆説的な感情が。普通のやり方では会えないとわかっている今だからこそ、何とか届けよう、何とか感じ取ろうとする強いチカラがお互いに生まれる可能性もあるなと、そう思い直しました。「ここに来られなかった人の思い」まで汲み取って、選手たちが頑張ってくれたなら、どうにかしてそれを感じ取れる自分でいたいなと思います。
ただただイスが並んだ殺風景な五輪となるのか、それとも、どうにかして世界がつながるような五輪となるのか、それはまだこれから先の話。行動はかなり制限されますが、楽しむ心まで制限されたわけではありません。胸を張って「楽しんだ」と言えるような過ごし方を、ちゃんとしていきたいなと思います。たとえ演技を見なくても、何か言いたくなっちゃうくらい前のめりな気持ちで。
「そうか……」
「羽生氏はこんな未来を想定して」
「チケットがあるとかないとか」
「現地にいられるかどうかとかが」
「すべてではないということを」
「教えてくれるために」
「あえてこの困難な争奪戦を」
「体験させてくれていたんだね!」
「そんな深い思いがあったなんて」
「まったく気づいていなかったけど」
「今、感じ取った!」
「そして、その無念を慰めるために」
「今年は日本で3試合やってあげるから」
「どれか見られたらいいよねという」
「フモさんの失われしチケット補填計画を」
「あらかじめ立ててくれていたことを」
「あらかじめ立ててくれていたことを」
「今、感じ取った!」
「ありがとう羽生氏!」
「このタイミングで来てくれて!」
「勝手に感じ取らない!」という声がした気がしますが、気のせいでしょう!
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