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名古屋出入国在留管理局(名古屋入管)に収容されていたスリランカ人女性、ウィシュマさん(33)が亡くなった問題で、学生を中心とする市民団体が7月7日、真相究明のために、居室のビデオ開示と再発防止の徹底をもとめる署名活動をスタートさせた。

この署名は、関東・東海・関西地方で、外国人労働者や難民を支援している団体が、オンライン署名サイト「Change.org」で呼びかけたもの。宛先は、菅義偉首相や上川陽子法相、佐々木聖子法務省・出入国在留管理庁長官などとなっている。

この日、呼びかけ団体が都内で開いた記者会見には、来日中のウィシュマさんの妹、ワヨミさんも出席。「姉は殺されたと思っています」「わたしは(姉の死の)真実を知りたい。自分の目でたしかめたい」と訴えた。

●「ビデオには真実が映っている」

ウィシュマさんは今年3月6日、名古屋入管で亡くなった。支援団体によると、ウィシュマさんは亡くなる直前、歩けないほど衰弱しており、適切な治療と仮放免(一時的に収容が解かれる)を求めていたが、入管はどちらにも対応していなかったという。

外部の病院のカルテには「(薬が)内服できないのであれば、点滴と入院」と記されていたが、法務省・出入国在留管理庁の中間報告では、点滴や入院の指示はなかったとされている。そのため、支援団体などは「入管は真実を隠している」と批判している。

遺族の代理人、指宿昭一弁護士は「おそらく法務省、そして入管庁は、ビデオを絶対に開示したくないと考えている。なぜならウィシュマさんが亡くなった真実が映っているからだ。これを見れば、入管がウィシュマさんを死に追いやったことが明らかになる」と述べた。

●「自分ごととして考えて」

小説家の星野智幸さんは会見で「国籍や在留許可の問題ではない。命が危なくて助けを求めている人を死に追いやった。そういう事態をこの社会が許すのかどうかという問題だ」「ウィシュマさんを助けることができなかったのは、自分も含め、この社会の無関心のせい。それを変えるためには、ずっと関心を示し続けるしかない」と語った。

ラジオパーソナリティのキニマンス塚本ニキさんは「誰かが犠牲にならなければ、この国の構造的な人種差別、人権侵害の問題が議論されない、人々の意識にあがらない。この現状に強い憤りを感じている。こういった事件が日本で起きていることをなるべく多くの人に知ってもらって、自分ごととして考えてもらいたい」と話した。

団体によると、署名は8月中旬ごろめどに提出予定で、お笑い芸人のせやろがいおじさんや、エッセイストの小島慶子さん、小説家の中島京子などが賛同人として名を連ねている。