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小池さんに最中を渡したらダメだぞ！

ますます混沌とする陸上短距離の東京五輪代表争い。先日行なわれた男子100メートルにつづき、27日は男子200メートルが行なわれました。100メートルでは4位となり代表即内定を逃していた小池祐貴さんが、200ではチカラの差を見せつけての優勝。これで200メートルでの代表入りが内定しました。しかし、まだ代表争いは終わらない。というか、ここから始まるとさえ言える状況となり、「生殺与奪の権」的なものが小池さんの手のなかにおさまりました。はたして小池さんはどうするのか、非常に楽しみです！

↓まずは代表内定おめでとうございます！

この見出しにある「熟考」が面白いところですよ！

どう面白いのか、どうして最中が出てくるのか、説明しますね！

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まず陸上の基本的な権利取りの方法からおさらいします。大原則となるのは参加標準記録と呼ばれる、一定の記録を出すことです。男子100メートルで言えば10秒05、男子200メートルで言えば20秒24というタイムを一定期間内に出せば、その資格を持って五輪に参加することが可能です。（※ただし、ひとつの国・地域から同じ種目に出られるのは最大3人まで／参加標準記録突破者が4人以上いるときは、各国の方針で出場者を選ぶ）。

しかし、近年はここにもうひとつの動きが加わっています。それが「ワールドランキング」です。これは世界選手権やダイヤモンドリーグ、国内選手権などの各大会でのパフォーマンスにポイントを与え、それによって世界中の選手をランキング化したものです。東京五輪の権利取りでは、参加標準記録突破者に加え、このランキングをもとに参加資格を与えることになっています。

どちらの資格が格上かと言うと、それはもちろん参加標準記録突破なのですが、大事にされているのはワールドランキングのほうのようです。実は東京五輪の参加標準記録はやたらと厳しいのです。男子100メートルで言えば、リオ大会では10秒16が参加標準記録だったのですが、それが0秒11も縮められ、一気に参加へのハードルが上げられました。

全世界の選手を合わせても男子100メートルの参加標準記録を現時点で突破しているのは60名ほど。参加標準記録突破者を3名以上出している国は、アメリカ、日本、ナイジェリア、ジャマイカ、イギリス、南アフリカの6ヶ国しかありません。しかもその大半はアメリカの選手で、国別で多い方から並べるとアメリカ20名、ジャマイカ7名、日本5名となります。この厳しい基準に5名を送り込む日本の男子100メートルの強さというのは大変なものであり、男子110メートルハードルでの好記録連発や、男子走り幅跳びでの3名即時内定などを見ても、「短距離王国日本」「世界の列強」と言っても差支えないほど。

そうやって参加者を絞り込んだうえで、残った枠をワールドランキングによって各選手に振り分けていくことになりますが、今回はかなり絞り込みを強めたことで、相対的にワールドランキングの重要性が上がっているというわけです。おそらくこのランキング制で「陸上」というイベントをさらに盛り上げていきたいというのが国際陸連の狙いなのでしょう。高ポイントが獲得できるダイヤモンドリーグのような主催大会を盛り上げ、「一発の好記録」だけで五輪に出てくるのではなく、「継続した活躍（継続した盛り上げ）」で五輪に出てほしいのだろうなと。もちろん素晴らしい記録を出した人は参加標準記録によって参加資格を与えているわけですが、それはあくまで「特例」という位置づけとなるのでしょう。

ちなみに日本選手権で100・200と2位に入ったデーデー・ブルーノさんは、世界大会での活躍が少なくワールドランキングはかなり下位ですし、参加標準記録も突破していないということで、個人での参加はかなり厳しい状況です。どんなに日本陸連が選びたくても、国際陸連が与える「権利」をそもそも取れていませんので、現実的に100・200での出場はナイと言っていいでしょう。リレー代表の一員として選考される可能性はありますが、これも「4走以外できるのかな？」という懸念がありますので、ほかの選手のコンディション次第でしょうか。




このような条件から、100メートルでは参加標準記録を突破したうえで、日本選手権の3位までに入った多田修平さんと山縣亮太さんが代表に内定し、同様に200メートルでは小池祐貴さんが内定を決めました。これは「資格獲得者のなかから、最大3枠を誰に振り分けるか日本が独自に決めた」という作業です。

で、ここから改めて「誰が資格を持っていて（7月1日発表のワールドランキングで決まる）」「実際に誰を出すのか（7月2日以降に日本陸連が発表）」を決めることになるのですが、ここで日本独自の事情が加わってきます。日本陸連は「とにかくリレーでメダルを取りたい」ということを第一に考えており、リレーに出場する選手には原則として複数種目の掛け持ちを認めていません。両方の種目で決勝進出が狙えること、日本選手権で両方優勝することなどの条件を満たせば掛け持ちも可能ではありますが、小池さんはそれを満たしていませんので、出場種目をひとつに絞ることになるはずです。小池さんが即内定を取った200で出るのか、あるいは100での出場にこだわるのか、その選択によって他選手の運命は劇的に変わります。

小池さんが即内定での200を選ぶ場合、100の代表枠が空きます。そこには日本陸連の基準に沿って「参加標準記録を突破したなかで、日本選手権で最上位」の桐生祥秀さんが選考されるものと見込まれます。そして200では、即内定の小池さんと参加標準記録突破のサニブラウンさん、そしてワールドランキングからあと1名が選考されるものと見込まれます。日本選手権前までのワールドランキングでは飯塚翔太さんが1197ポイント、山下潤さんが1178ポイントとしており、日本選手権の結果を加えても両者の順位は逆転しませんので、ワールドランキングによって飯塚翔太さんが「資格を得る」と見込まれ、200の代表は小池・サニブラウン・飯塚となります。

一方、小池さんが100での出場を望む場合、100の代表は3人埋まり、多田・山縣・小池となります。そのとき200の代表は参加標準記録を突破しているサニブラウンさんに加えて、ワールドランキングで資格を得た選手が最大2名まで入ることができます。7月1日のワールドランキング資格振り分け時点では、一旦「小池、サニブラウン、飯塚」となるでしょうが、「小池さんが辞退」「日本代表がもうひとり繰り上がるチャンスがある（山下追加）」という工程を経て、200の代表がサニブラウン・飯塚・山下となる見込みがあります。

一応補足として、200のワールドランキングで出場人数圏内にいる飯塚さんと山下さんのどちらが参加資格を得るのかという点について解釈が割れている部分がありますが、国際陸連による予選の規定を読む限りは飯塚さんが資格を得るのではないかと思います。国際陸連から示された予選の規定では、「参加標準記録有効期間終了後、IAAFは、参加標準記録を突破した競技者と承認された参加標準記録未達成競技者の人数を確認した後、IAAFワールドランキングの順位に基づいて参加資格を付与する競技者を決定する」とあります。「競技者を決定する」ですから、ここでの決定は「全体の残り枠と国ごとの枠がいくつあるか数えて、残りを誰に与えるか」を「名前（by name）」で示すということです。

その場合、日本は「小池、サニブラウン」が参加標準記録突破者として先に資格を与えられ、国としての残り枠は「1」となります。その「1」に対して、ワールドランキング上位の飯塚さんが先に名前で指名されるだろうと。「飯塚、山下のどちらも出場可能人数の枠内にいるから、好きなほうを選べるだろう」と日本側では思っていたとしても、7月1日のランキングの時点では国際陸連から「飯塚」と指名されるだろうと。（※ここから各国の陸連がエントリーを行ない、出場意志がある者が誰かを伝える／有資格者がたくさんいる場合は、ここで誰をエントリーするか決めてよい）。

そのとき、日本陸連側の選考基準では「ワールドランクにより出場資格を得た競技者」を選ぶとしていますので、7月1日のランキングで「飯塚」ひとりだけが指名された場合は、日本選手権の勝敗をもとに「山下」と指名することはできないだろうと思われます。山下さんを選ぶには、参加標準記録突破「小池、サニブラウン」＆ワールドランキング「飯塚」という有資格者3名の状況から、「飯塚辞退」を伝えて「山下繰り上がり」を待つ、ということになるだろうと。小池さんが100に絞って「小池は200を辞退」であれば揉め事にはなりませんが、小池さんが200を選んだ場合に「飯塚、すまんが辞退してくれ」はなかなか通らない話だろうなと思います。ちょっと気になる部分です。



ということで、100の桐生さん、200の山下さん、ふたりが五輪に出られるかどうかは小池さんの決断次第。特に200の山下さんは切実です。リレー代表は「100の代表3名＋誰か2名」となる決まりですので、小池さんが200を選んだ時点で「100の代表3名（多田、山縣、桐生？）＋小池＋誰か（サニブラウン？、飯塚？、デーデー？、山下？）」となります。4名確定的という状況から山下さんが残り1枠に飛び込むのはかなり難しそう。一体どういう決着になるものか。僕が同じ立場ならば全力で最中を送るところです！

「プルルル、プルルル」
「もしもし小池さんか？」
「東京五輪、100を選んでくれんか？」
「ただで、というのもアレなので」
「あとで最中を送ろうと思う」
「つまらん最中だが…」
「ズッシリとアンコが詰まっていて」
「絶対にオイシイと思う」
「100を選んでくれたらおかわりも出す」
「一度食べてみてくれんか？」
「たぶん500万円くらいの美味しさ」
「よろしく頼む」
「ガチャ、ツー、ツー、ツー」

「プルルル、プルルル」
「もしもし小池さんか？」
「東京五輪、200を選んでくれんか？」
「ただで、というのもアレなので」
「あとで最中を送ろうと思う」
「つまらん最中だが…」
「ズッシリとアンコが詰まっていて」
「絶対にオイシイと思う」
「200を選んでくれたらおかわりも出す」
「一度食べてみてくれんか？」
「たぶん1000万円くらいの美味しさ」
「よろしく頼む」
「ガチャ、ツー、ツー、ツー」

「プルルル、プルルル」
「もしもし小池さんか？」
「東京五輪で200を選べという電話」
「かかってきておるじゃろうか？」
「最中を送ると言っていたか？」
「なるほど、向こうも最中か…」
「しかも1000万円の美味しさときたか…」
「わかった、こちらはジャンボ最中も送ろう」
「これまたズッシリとアンコが詰まって」
「オイシイことは絶対に間違いない」
「普通の最中より倍のアンコが詰まっている」
「合計1500万円分の美味しさがある」
「絶対に食べてみてほしい」
「どうかひとつ、よろしく頼む」
「ガチャ、ツー、ツー、ツー」

↓200が終わって「1走・多田、2走・山縣、3走・小池、以下まだわからん」になりました！


↓ワールドランキングはコチラに掲載されているのでご確認ください！

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一番「文句なし」でおさまるのは小池さんが両方出るパターンですけどね！