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どんなパワートレイン?

text:AUTOCAR JAPAN編集部

シトロエン日本法人が、電動化戦略の第1弾となるモデルを日本発売した。

【画像】C5エアクロスSUV PHEVとディーゼル【じっくり見る】 全82枚

全長4.5mの中型SUVモデル「C5エアクロスSUV」は、ディーゼル仕様/ガソリン仕様をこれまで提供してきたが、新たに「プラグイン・ハイブリッド仕様」が加わった形になる。


C5エアクロスSUVプラグインハイブリッド(外装色ブルーチジュカ/全長4500×全幅1850×全高1710mm/車両重量1860kg)    シトロエン

C5エアクロスSUVプラグインハイブリッドについて、同社のマーケティング部門を率いるトマ・ビルコ氏は、「シトロエンのクルマですからコンフォートです」と説明する。

「エンジン音がなく、排気ガスと匂いが最小限におさえられ、非常にスムースな乗り心地です」

パワートレインは、1.6Lガソリン・ターボ(180ps/30.6kg-m)と、フロントモーター(110ps/32.6kg-m)という組み合わせ。8速オートマティック・トランスミッションを介して前輪を駆動し、システム統合出力は225psを発揮する。

駆動用のリチウムイオン・バッテリーは容量13.2kWhで、後席下に配置。

これにより後席の居住スペース/荷室スペースが、ディーゼル仕様/ガソリン仕様と実用上変わらないのが売りだ。

サスペンション形式/充電時間

パワートレイン種別に依存しないパッケージングは、グループPSAが提唱する「パワー・オブ・チョイス」という戦略を形にしたもので、同グループの電動化におけるキーメッセージとなっている。

シトロエンブランドの日本におけるプロダクトマネージャーを務める水谷昌弘氏は、「電動車専用モデルではなく、エンジン車をベースとして、室内スペースを犠牲にすることなく電動モジュールを搭載しました。お客様には同じパッケージングのモデルを、パワートレイン、すなわちガソリンかディーゼルか電気かを選択いただくというわけです」と説明する。


プラグインハイブリッド仕様は、200Vの普通充電のみに対応。それでも日本における「乗用車ユーザーの1日の平均的な走行距離を優に上回る」航続距離65kmを走る電力を、寝ている間に充電できる。    シトロエン

つまり、メーカーの都合でユーザーがパワートレインを選ばされるのではなく、パッケージングが同じものをメーカーが提供することで、ユーザーが主体的にパワートレインを選べるという発想だ。

今回加わるPHEV仕様で興味深いのは、サスペンション形式の変更。

駆動バッテリー搭載による後軸荷重の増加に対応するため、リアサスペンションは専用のマルチリンク式に変わっている。ディーゼル/ガソリンはトーションビーム式だ。

このサスペンションのポテンシャルアップと、バッテリー搭載による前後重量配分の改善により、PHEV仕様はハンドリング・乗り心地がレベルアップしたという。

注目のバッテリー充電は、200Vの普通充電のみに対応。満充電には、3kWで約5時間、6kWで約5時間を要する。

一充電走行距離はWLTCモードで65km。EV走行時(エレクトリック・モード)の最高速度は135km/hとなっている。

日本価格/補助金について

C5エアクロスSUVプラグインハイブリッドの日本価格は、550万円と発表された。

同等装備のディーゼル仕様(ナッパレザーパッケージ)に対して、74万円プラスという価格付けである。


C5エアクロスSUVプラグインハイブリッドの前席内装。前席ヒーター付きナッパレザーシート、パノラミックサンルーフ、運転席マルチポイントランバーサポート、アロイペダル、ブルーの専用カラーアクセントを標準装備する。    シトロエン

そのうえで、PHEVにのみ適用される自動車税減税/クリーンエネルギー自動車補助金の恩恵により、実質価格差は50万円ほどとなる(環境省事業・自治体による助成金を含まず)。

C5エアクロスの既存オーナー(ディーゼル/ガソリン)の調査では、購入動機は1位がデザイン、2位が快適な乗り心地であった。そして購入後の満足点は、その乗り心地が1位になっている。

「通勤やショッピングなど日常ではゼロエミッション走行のメリットを享受しつつ、週末のロングドライブでは充電に縛られることなく従来どおりの感覚で使いこなせる(水谷氏)」という新パワートレイン。

乗り心地・デザインで心を掴んだシトロエンのユーザーに、より静かで振動の少ないPHEVという新たな選択肢はどのように受け入れられるか、注目して見守りたい。