堤 礼実連載:『華麗なるウマ話』第18回

スポルティーバとフジテレビの競馬中継番組『みんなのKEIBA』とのコラボ企画、堤礼実アナウンサーの連載『華麗なるウマ話』。昨年に続いて今年も3歳クラシックでは"無敗記録"が話題を集めたが、今回は堤アナの人生においてもそういった経験があったのか、話を聞いた――。

 突然ですが、みなさんは自らの"無敗記録が止まってしまった!"――そんな経験をしたことがありますか?

 自分はどうだったのか、思いを巡らせてみると......完全に無敗だったかどうか記憶は定かではありませんが、それに近い経験を小学校3、4年生の頃にしたことがあります。

 当時、私は『100マス計算』が得意でした。

『100マス計算』というのは、碁盤の目のような表の一番上の行と一番左の列に10個ずつ数字が書かれていて、用紙ごとに指定された「+」や「×」の指示に沿って、それぞれの数字の行と列が交差するマスに、ふたつの数字を足したり、掛けたりして、10×10の"100マス"すべてに答えを書き込んでいくものです。

 私のクラスでは、算数の授業の時にその『100マス計算』を最初に実施。クラスのみんなで一斉にスタートし、終わった人から順に手を挙げていって、計算の速さと正確さを競っていました。私はたいてい一番早くに終えて、計算ミスもほとんどなし。よくクラスで1番をとって、"無敗"と言って過言ではないくらいでした。

 ところがある日、確か転校生だったと記憶していますが、ある男の子に1番の座を奪われてしまったのです。

 以来、私はその子に勝つことだけを目標にして『100マス計算』をやっていました。本人にも直接、「あなたに負けたくない!」と言っていましたし、当時の私にとって、この"無敗記録が止まってしまった"ことはそれぐらい悔しかったのだと思います。

 さて、少し前の話になりますが、桜花賞馬ソダシがGIオークスで初の黒星を喫しました。断然の1番人気に推されながら、最後の直線で失速して8着。鮮やかな白毛馬が再びトップでゴール板を駆け抜けていく姿を想像していたので、馬群に沈んでいくシーンを見た時は少なからずショックを受けました。

 昨年のデアリングタクトに続く、無敗の二冠達成がかかっていただけに、鞍上の吉田隼人騎手もいろいろなプレッシャーを抱えての騎乗だったと思います。その分、負けてしまった悔しさも、相当なものだったのではないでしょうか。

 私自身、白毛馬として世界初のGI馬となったソダシにはすごく注目していましたし、"無敗の白毛馬"をもっと見ていたかった。負けてしまったことには、残念な気持ちでいっぱいです。

 とはいえ、ソダシにとっても、吉田隼人騎手にとっても、これですべてが終わったわけではありません。オークスで敗れたことを通して、きっと新たな発見や、次に向けての課題も見えてきたと思います。

 そう考えれば、ソダシという馬がさらなるスターホースになっていくためには必要な負けだったのではないか。そんなふうに思えてきます。この悔しさが次につながってくれたら、そう強く願っています。

 次走の予定はまだ決まっていないようですが、走っているだけで圧倒的に華がある馬ですからね。どこを目標にするにしても、引き続き、注目していきたいと思います。

 6月27日には上半期の競馬シーンを締めくくるグランプリレース、GI宝塚記念が行なわれます。

 人気を集めるのは、クロノジェネシスで間違いないでしょう。昨年のこのレースでは、2着に6馬身差をつけての圧勝。年末の有馬記念も快勝し、改めてその強さを証明しました。

 今年に入ってからも、海外GIのドバイシーマクラシックで2着と奮闘。さらに今回は、クリストフ・ルメール騎手が手綱をとる予定ですから、一段と人気になりそうです。初コンビがどんな相乗効果を見せてくるのか、その辺りも興味深いです。

 また、武豊騎手がアリストテレスに騎乗。こちらの初コンビも気になります。アリストテレスは、GI天皇賞・春では4着に屈しましたが、昨年のGI菊花賞では無敗の三冠馬コントレイルとの大接戦を演じた実力馬。巻き返しが期待されます。

 個人的な注目馬を挙げるなら、やはりレイパパレですね。名前にレイがつく"レイつながり"で宝塚記念でも応援したいと思っています。

 これまでのレースを振り返ると、レイパパレは一戦ごとにどんどん力をつけていることが目に見えてわかります。GI大阪杯ではコントレイルをはじめ、有力馬が顔をそろえるなか、「こんなに簡単に勝っちゃうの!?」と驚いてしまうほど、強い勝ち方を見せてくれました。

 無敗のまま制した大阪杯に続く、GI連勝に期待が膨らみます。

 6月に入って、2歳戦も始まりました。ここから未来のスーパーホースが登場するかもしれないので、こちらも目が離せません。

 特にディープインパクト産駒の2歳戦が見られるのは、あとわずか。これまで、強い馬を数多く世に送り出してきましたから、残り少ない産駒の走りもしっかりと目に焼きつけておきたいと思っています。

 あと、私が競馬番組を担当するようになって、最初に出会った"スターホース"キタサンブラックの初年度産駒もいよいよデビューします。こちらも注目しながら、2歳戦の行方もしっかりチェックしていきたいです。

Profile
堤 礼実(つつみ・れいみ) 2016年フジテレビ入社。
1993年11月23日生まれ、米国カリフォルニア州サンノゼ出身。
血液型:O型。趣味:ミュージカル鑑賞、ダンス。
好きなもの:東宝ミュージカル、宝塚歌劇、ハプスブルク家、
パクチー、チーズ。
モットー:「一瞬一瞬を大切に」「意志のあるところに道はある」

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