リーグトップ・7勝目を挙げた巨人の戸郷 (C) Kyodo News

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◆ ポイントになった「初回の踏ん張り」

 巨人が首位・阪神を相手に意地の一勝。

 先発した戸郷翔征が7回2失点の力投を見せ、リーグトップの7勝目を掴んだ。

 雨の影響により、予定よりも18分遅れてプレイボールがかかった今季11度目の“伝統の一戦”。味方が1点を先制し、リードをもらった状態でマウンドに登った21歳だったが、阪神の上位打線がいきなり襲い掛かる。

 先頭の近本光司と中野拓夢に連打を浴びると、一死二・三塁となって4番の大山悠輔にライト前へと運ばれる安打。早々に1点を失い、試合を振り出しに戻されてしまう。

 それでも、残った一・三塁のピンチは佐藤輝明を3球で三振に仕留め、つづくジェリー・サンズもフルカウントからフォークで空振りの三振。勝ち越しを阻止した執念の投球が、この試合の大きなポイントになった。

 2回は一死から梅野隆太郎に二塁打を浴びるも後続を斬り、3回は三者凡退。味方が1点を勝ち越した直後の4回も3人で斬り、5回は梅野に2打席連続で二塁打を許したが、ここも後続は打ち取ってゼロを並べていく。

 ところが、坂本勇人の通算250号弾が飛び出した6回裏、二死から佐藤輝明に手痛い一発を浴びて3−2。再び1点差とされ、さらにサンズにも四球。一気に阪神の押せ押せムードとなりかけたが、ここも糸原健斗を三振に斬ってピンチ脱出。

 この時点で球数は110。7回表に打席が回るタイミングで代打…と思いきや、原辰徳監督は戸郷をそのまま打席へ。遊直に倒れると、そのまま7回裏のマウンドに登場。2本の二塁打を浴びている梅野を斬り、後続も打ち取って7回123球の熱投。この日は要所で踏ん張る粘り強さが光った。

◆ 片岡氏が見た「戸郷の勝因」は?

 19日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した解説者の片岡篤史氏も、この試合のポイントに「戸郷の力投」を挙げた。

 18日の試合は先発のC.C.メルセデスが早々に打ち込まれ、投手陣・捕手陣にとってショッキングな負け方に…。「当然プレッシャーがあったと思うんですよ。その中で初回のピンチを切り抜けてから、低めの変化球がキレ良く、良いところに決まった」と戸郷の勝因について分析。

 特にこの日はマルテを4の0、サンズを3の0と封じ込めた点を挙げ、「タイガースのポイントである両助っ人をしっかりと抑えることができた。これが大きかったですよね」と振り返った。

 また、もうひとつのポイントに“7回”を挙げ、「7回表も戸郷を打席に立たせた。本来なら代打でも良かった場面ですよね」とし、巨人ベンチにとっては非常に悩ましい場面だったと言及。

 この決断について、同じく番組に出演した斎藤雅樹氏は、「去年までの戸郷だったら代えていたと思う。ただ、今年は戸郷への期待値が上がっていますよね。だからもう一回行ってくれ、ということだと思います」と語り、エース・菅野智之の状態も盤石でないなか、より頼もしい存在になってほしいという首脳陣の想いもあったのではないかと見る。

 結果として戸郷はその期待に応え、8回表には丸佳浩が貴重な追加点となる2ラン。片岡氏はその流れも含め、「今日はジャイアンツが良い流れのゲームができた」とまとめ、前日からの嫌な流れを断ち切る勝利と、それに貢献した戸郷の働きぶりを讃えた。

☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』