厳選!2歳馬情報局(2021年版)
第4回:ローマンネイチャー

 2歳戦においては毎年、「伝説の新馬戦」と呼ばれるレースが必ずある。素質馬が何頭も顔をそろえたり、同じ新馬戦に出でいた馬が軒並み活躍したりすると、そう称される。

 今年はGI宝塚記念が開催される6月27日に行なわれる2歳新馬(阪神・芝1800m)が、そうした評価を受けるレースとなるかもしれない。なにしろ、この一戦には多数の評判馬が参戦を予定しているからだ。

 そのうちの1頭が、栗東トレセンの高野友和厩舎に所属するローマンネイチャー(牡2歳/父ディープインパクト)である。

 同馬が注目されるのは、姉にGI2勝を挙げたショウナンパンドラ(牝/父ディープインパクト)がいる良血だからだ。そんな彼女も、デビュー前から高評価を受ける存在だったが、その素質が早々に開花することはなかった。

 2戦目の未勝利戦で勝ち上がるも、春のクラシックに出走するまでには至らなかった。結局、2勝目を挙げたのが3歳の夏。やや出世は遅れた。


ローマンネイチャーの姉、ショウナンパンドラ。強豪牡馬相手にジャパンC制覇も果たしている

 しかし、秋になってオープン特別の紫苑S(新潟・芝2000m)で2着と好走すると、牝馬三冠最終戦となるGI秋華賞(京都・芝2000m)に出走。オークス馬ヌーヴォレコルトをねじ伏せて、見事に戴冠を遂げた。

 さらに翌年、重賞戦線で奮闘を重ね、秋にはGIジャパンC(東京・芝2400m)を制覇。持ち前の鋭い末脚を繰り出して、強豪牡馬たちを蹴散らした。

 その他、GIでは宝塚記念(阪神・芝2200m)で3着、ヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)で3着という結果を残している。

 このショウナンパンドラの全弟となるローマンネイチャー。偉大なる姉も管理していた高野調教師は、同馬についてどんな印象を持っているのか。関西競馬専門紙のトラックマンがその点についてこう語る。

「高野調教師は『本当によくなるのはまだ先』と前置きしたうえで、『能力は高いと思う』と話しています。実際、ゲート試験を合格したあと、放牧の間に馬体重が20kg近く増えたとか。まさに今、馬体はぐんぐん成長していると言えます。

 走りについては、少し体に硬さがあるみたいで、『キレ味より、スピードの持続力が武器になるタイプではないか』と見ています」

 なお、ショウナンパンドラとの比較については、高野調教師は次のように語っているという。トラックマンが続ける。

「姉と比べるのはまだ早い感じはしますが、『この時期にデビューできるのはいいこと』と言っていました。ショウナンパンドラは2歳の12月にデビューと、やや遅かったですからね。

 また、姉に似ている点はあるか聞いてみると、『姉よりも(2つ上の)兄のセントオブゴールド(牡4歳/父ディープインパクト)にそっくりな印象』と高野調教師。セントオブゴールドは美浦の木村哲也厩舎の所属馬ですが、競馬場で間近に見たことがあるそうです」

 セントオブゴールドも評判馬で、早くから結果を残していた。足元の不安などによって、クラシック出走は叶わなかったが、復帰後も各レースで上位争いを展開。今後の活躍が期待されている。

 無論、ローマンネイチャーにはその兄を超えるような活躍が期待されている。そういう意味でも目が離せないのは、強豪と渡り合う初陣。そこで、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、必見である。