ロッテ・佐藤都志也【写真:荒川祐史】

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プロ2年目の飛躍を目指すロッテ・佐藤都志也

 ロッテ待望の「打てる捕手」として期待がかかる若武者が、1軍の舞台で経験を積んでいる。2年目を迎えた佐藤都志也捕手は、代打を中心に試合に出場した1年目から、今季は捕手としての出場が増え、チームを勝利に導く責任を感じている。

「率直に言うと、凄く難しい、重要なポジションだと改めて思いました」

 2019年ドラフト2位で東洋大から入団し、ルーキーイヤーの昨年はオープン戦で楽天の則本昂大から本塁打を放つなどアピールし、開幕1軍を掴んだ。プロ初安打をサヨナラ打で飾るなど、主に途中出場ながら60試合に出場し、打率.228、2本塁打、12打点。中でも代打では打率.310、5打点を記録し、「代打の切り札」として勝負強さを発揮した。

 しかし今季は交流戦終了時点で打率.170、3本塁打、8打点。勝負強い打棒は影を潜め、終盤のチャンスでは自身が代打を出される立場になっている。

「悔しいというところもあります。今年は自分が『こいつなら大丈夫だな』という存在じゃないというのは感じます」

 現在パ・リーグ4位につけるロッテ。田村龍弘が4月下旬に怪我で離脱し、吉田裕太、柿沼友哉、江村直也らとレギュラーを争う状況。佐藤都も含め、4選手の打率は1割台と打撃が課題なのは明確。それでも、正捕手獲得のためには「まずは守備」だと語る。

 特にリード面で、正捕手の田村と比べると、投手からの信頼関係が薄いと感じている。「自分の弱々しいところを見せることが失点につながる。『こいつ大丈夫かな』と思われないようにしないといけない。いかに自分に自信を持てるかが大事かなと思います。もっと技術的なところもありますが、一番はそこなのかなと思います」と冷静な口ぶりで自らを分析した。

 代打に集中していた昨年とは違い、今季は守備での活躍も求められている。自分が打っても、守備で失点したら元も子もない。もちろん、田村と比べれば公式戦でマスクを被った数には大きな差がある。キャッチャーは経験がものをいうポジション。正捕手の離脱はチームにとっては痛いが、佐藤都にとっては大きなチャンスでもある。

同期入団の佐々木朗希とはデビュー戦を含め、2度バッテリーを組んだ

 ロッテは今季、佐々木朗希投手が1軍でベールを脱いだ。デビュー戦となった西武戦、プロ初勝利をあげた阪神戦でバッテリーを組んだ。1年目からブルペンでボールを受け続けてきたが、いざ試合となると、課題も浮き彫りになった。

「ポテンシャルが高くて、良い変化球を持っている。そう簡単に打たれることがない投手なので、朗希をどうを引っ張れるか。2回組んでいますけど自分の意見と朗希の意見が合わないこともある。コミュニケーションという部分で、どう埋め合わせていくかというところが大事なのかなと思います」

 誰もが認める“令和の怪物”の相棒の座を掴むことができるかどうか、今後正捕手となる上では大きな要素になる。

「自分が引っ張っていけるようになれば、もっともっと朗希の良さを引き出せるのかなと思います」

 チームは15日に中日から加藤匠馬捕手をトレードで獲得。同日に田村も2軍戦で復帰後初ヒットを放つなど1軍昇格も近づいており、正捕手争いはさらに激しさを増す。

「今年は捕手としてどんどん勝ちに貢献できるように、チャンスでの一本であったり、ここぞでの守備をレベルアップさせていきたい」

 まだ2年目。試合で起こるどんな些細な出来事も、佐藤都には大きな成長の糧となる。自信を深め、どっしりと正捕手に座る姿を思い描きながら、シーズンを過ごしている。

〇佐藤都志也(さとう・としや)1998年1月27日生まれ、23歳。福島県いわき市出身。聖光学院では2年、3年夏の甲子園に出場。プロ志望届を提出するも、指名漏れし、東洋大学へ進学。1学年上に上茶谷大河(DeNA)、甲斐野央(ソフトバンク)らがいる。東都大学リーグでは4度のベストナインを受賞。2019年ドラフト会議でロッテから2位指名を受け入団。186センチ、91キロ。右投げ左打ち。(上野明洸 / Akihiro Ueno)