塗装環境が良くない状態で生産されたクルマもあった

 デザインの国、イタリア。そこで生まれるイタリアのクルマたちは、デザインやカラーリングなど、さすがと唸るものが多いというのは誰もが認めるところ。その一方で、最近はかなりよくなったものの、品質という点では驚きレベルだったりするのもイタ車の特徴。味わいとまで言えるようになれば、マニアと呼んでいいが、一般的にはご勘弁願いたいものである。今回は今までに新車の状態で遭遇した驚愕の事実を紹介しよう。2000年ぐらいまでのことなので今では皆無と願いたい。

1)塗装に色ムラがあったり、ゴミが入っている

 現地で聞くと「色がついていればいいじゃん」と言われるが、ドアやフェンダーだけ色が違ったり、ゴミや虫が混入していたり、さらに垂れた跡もあったりして。また色がついていればいいじゃんと言いつつ、色が塗られていないところもあったりした。しかも塗膜が薄いのか、軽い飛び石でもドンドンと塗装が剥がれるので、高速道路を走ると点々と無数のハゲが発生。

2)部品が最初から不良品

 実際に遭遇したのは、サーモスタットが開きっぱなし。つまり水温が上がらないのでヒーターは効かないし、そもそもエンジンにもよろしくない。そのほか、欠けている電気のコネクターなどもあった。

3)プラスチックが弱い

 聞くところによると、イタリアの芸術大学にはプラスチック造形科があるほどで、小さな樹脂ひとつ取ってもしっかりとデザインされている。しかもさりげないセンスで、さすがと思わされることも多い。しかし、品質はよろしくなく、ポキポキ折れる。よく言われるようにイタリア人にとってクルマは「かっこよくて、速くて、モテる」で、壊れにくいはないとされるが、妙に納得だ。

デザインを重視しすぎて運転時に危険を感じることも!

4)ブレーキが抜けた

 これは某社で多発したトラブルで、右ハンドルを用意してくれたのはいいが、作り慣れていないのか、ブレーキパイブの取り回しの変更が適当。要は無理やり、左から右へと引っ張って付けたため、しばらくすると破断してしまった。そうなると、ブレーキは利かなくなるのでかなり危険だった。市販車ではないが、レースでもこんな感じで、踏んだら抜けたのでメカにクレームを言ったら「怪我しなかったからいいじゃん」で終わったとのこと。

5)前が見えない

 デザインにこだわるのはいいが、インパネの色を明るくしすぎたために、フロントウインドウに強烈に写り込んで、前方が見えず。最初はただ眩しいのかと思ってサングラスしてみたものの改善せず。よく見たら、ただの映り込みだったとわかってガックリ。

6)シートの下からコインやガムが出てきた

 中古車なら前のオーナーのものかなとも思えるが、新車なのに出てきたことがあった。ラインで働く、工員さんのものだったのだろう。日本では絶対にありえない。

7)素が木の板

 お高い某スポーツカーに乗せてもらったところ、足元の奥を見ると、なにやら見える。サイドのボードみたいなものがずれているのだが、なんと安っぽい木の板。ベニアだったと思うが、30年前でも1000万円近くしただけに、適当加減には驚いたものだ。