新型コロナウイルスの影響により中食のニーズが高まった

 ひそかに社会問題となりつつある「ドライブスルー渋滞」をご存じだろうか。

 その背景には新型コロナウイルスの影響がある。

 ワクチン接種は進んでいるが、まだまだ新型コロナウイルスと共存する世界であることには変わりない。都市部では不要不急の外出を控えるように喧伝され、また飲食店は夜20時には閉店するようになっている。アルコール類の提供も控えることが求められていたりもする。

 また労働環境も変わっている。テレワークが可能な職種では自宅で仕事を進めることが当たり前になり、企業もオフィスを縮小するなどスリム化が進んでいる。

 そんな状況において「中食(なかしょく)」のニーズが高まっている。

 中食というのは、外食と内食(自炊)の中間的な食事を示す俗語。お弁当やテイクアウトを買ってきたり、デリバリーサービスなどを利用したりすることで、飲食店などが提供する食事を家で食べるスタイルの食事のとり方を指している。

 在宅とはいえテレワークで仕事が忙しいと自分の食事を作る余裕もなくなり、どうしても中食に頼るというケースも増えているだろう。

 そんななかで、ファーストフードなどのドライブスルーを利用する人が増えているという。そのためドライブスルーが混みあってしまい、車列が車道まで伸びてしまうことも珍しくない。

 そしてドライブスルー対応のファーストフード店が街道沿いにあったりするとドライブスルー待ちのクルマによって車線がふさがれ渋滞が発生してしまう。これが、いわゆる「ドライブスルー渋滞」だ。

密を避ける移動手段としてクルマを利用する人が増えている

 さらに、渋滞が伸びていくとドライブスルー待ちの車列と気づかず、意図せずドライブスルーの列に並んでしまうクルマが出てきてしまい、まさしくカオスな状況になってしまうことも珍しくない。

 本来であれば車道まで列が伸びないようにドライバーと店側の両者が配慮すべきだが、それもなかなか難しいのも事実。ドライブスルー渋滞に巻き込まれないようにするには、ドライブスルーをやっているようなお店の看板が目に入ったときに2車線以上ある場合は右側車線に移るなどして自衛するほかない。

 このようにスポット的に新たな渋滞は生まれているが、新型コロナウイルスの蔓延によって全体的には渋滞は減少傾向にあるとはいえる。

 環境省の調査によると、2020年の緊急事態宣言発出時には前年比(要は通常時)に対して2割以上の交通量減が見られたという。もっとも人の移動が半減したことを考えると、自動車の利用は相対的には減っていないともいえ、密を避けた移動手段としてクルマが評価されているともいえる。

 乗用車での移動となると、どうしても1人〜2人程度の少人数での乗車というケースが増えてくるわけで、効率としてはマイナスな部分もあるが、密を避ける移動手段としては乗用車を利用するというトレンドは2021年になっても続いている。

 また公共交通機関に利用を嫌って、二輪車(スクーター)を利用するようになった人も増えているという。

 そのためドライブスルー渋滞だけでなく、コロナ前とは異なる交通環境となっていて思いもよらぬところで渋滞が発生しているケースも増えているだろう。

 慣れたルートであっても、過去の経験とは異なる状況になっていると意識することが安全運転につながる。医療崩壊という刺激的な言葉を聞くことは減っているが、無用な交通事故を起こして、救急や医療といったエッセンシャルワーカーの方々に負担をかけないよう気をつけることもウィズコロナ時代のスマートドライバーには求められている。