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「ノーリードの犬をなくしたい」。散歩中などにリードをつけていない犬による咬傷事故を防ごうと、都内在住の夫婦がこのほど、ノーリードによる被害体験や、なくすためのアイデアを募集するウェブサイトを立ち上げた。

●夫婦の飼い犬が重傷を負ったことがきっかけ

きっかけは、夫婦が飼っている柴犬の楽(がく)ちゃん(オス・10歳)が、3年前の2018年、近所の公園を散歩中、別の犬にお尻を噛まれて、重傷を負ったことだ。楽ちゃんは動物病院で、肛門周囲の縫合手術を受けたが、現在も排便に苦しんでいるという。

夫婦は2019年、噛んだ犬の飼い主を相手取り、損害賠償をもとめる裁判を起こした。東京地裁はことし5月、被告側の過失を一部認めて、夫婦それぞれに約8万円(うち慰謝料5万円)の支払いを命じる判決を言い渡した。

しかし、被告の犬が「ノーリードだった」という夫婦の主張は認められなかった。突然の出来事だったため、証拠となる動画がなかったことも大きい。この判決後の記者会見で、夫婦は無念さを語っていた。

●「飼い主のマナーの向上のために世の中に訴えていく」

東京都福祉保健局によると、犬から犬の咬傷事故は届出義務がなく、把握していないという。一方で、楽ちゃんの事故以外でも、ネット上には、ノーリードの犬に飼い犬が噛み殺された、という内容の情報があがっている。

夫婦は、こうした声の受け皿として、今回、ノーリードをなくすための意見を出し合って、考えていくウェブサイトを立ち上げた。

「ノーリードの犬をなくし、飼い主のマナーの向上のために世の中に訴えていく必要があると思いました。危険性を多くの人たちに知ってもらえる生きた声(被害の体験談)を積極的に発信していくことが大切だと思っています」(夫婦)

実は、東京都など一部の自治体では、公園や公道などで、犬をノーリードにすることは条例違反とされている。ただ、あまり知られていない。

こうした現状を踏まえて、夫婦はウェブサイト上で、ノーリードをなくすための案として、(1)犬に関わりがない生活を送っている人たちにも、ノーリードが条例違反で危険であることを知ってもらう、(2)ノーリードを厳罰化する――と示している。