プロキシマケンタウリは地球から最も近い恒星で、その距離は約4.246光年とされ、太陽の質量の約12%ほどの小さな赤色矮星である。その星の周りを周回している岩石惑星が、プロキシマケンタウリbであり、直径は地球の1.3倍、質量は1.6倍でスケール的に地球によく似ている。

【こちらも】130億光年の彼方にある最も遠方のクエーサーを発見 米国立電波天文台

 このプロキシマケンタウリbは地球に最も近い太陽系外惑星であるだけでなく、その軌道が生命の生息が可能と考えられているハビタブルゾーンにあり、昨年12月にこの惑星がある方向から、人工の電波と疑わしい信号が地球に届いていた。この事件をきっかけにして、多くの天文学者がこの惑星に注目し、様々な検討をするようになっている。

 スタンフォード大学とハーバード大学の研究者たちは、この星にもしも知的生命体が存在していたと仮定して、人工の光がともされていた場合、それを人類が検出可能なのかどうか理論的な考察を試みた。研究結果は、arXiv(アーカイブ;コーネル大学図書館が運営する論文投稿サイト)で公開されている。

 この論文によれば、プロキシマケンタウリbにおける知的生命体がともしている夜間照明が、昼間の明るさの5%に達していれば、2021年11月に打ち上げが予定されているNASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で検出できる可能性が、85%あるという。人工光の明るさが昼間の明るさの9%に達していれば、検出できる可能性は95%にまで高まる。

 これは非常に希望の持てる数字のように感じるかもしれないが、地球における夜間照明の明るさは昼間の明るさのわずか 0.001%に過ぎないため、実は観測できる可能性はむしろ限りなく低いと考えるべき結果なのだ。

 プロキシマケンタウリbの知的生命体存在の可能性を考えるうえでさらに絶望的な情報もある。地球は太陽から1億5千万kmも離れているため、自転が太陽の引力に拘束されず、昼間と夜の時間がほぼ等しく存在している。だがプロキシマケンタウリbは、主星のプロキシマケンタウリからたったの700万kmしか離れていないため、プロキシマケンタウリの引力によって潮汐ロックがかかり、いつも同じ側がプロキシマケンタウリに向いている。

 昼間の側は灼熱地獄、夜の側は極寒地獄となり、この星ではどちらの側にいても、とても生命体が育まれるような状況にないのだ。