「橋本環奈文具」「キムタク眼鏡」…中国企業が販売するヤバい商品

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「佳子公主」。これは、中国企業の生理用ナプキンに付けられた商品名だ。「公主」は中国語で「王女」の意味。つまり、「佳子公主」とは秋篠宮家の次女・佳子内親王殿下(26)を表している。生理用ナプキンに皇族の名前を付けるとは畏(おそ)れ多いにもほどがあるが、実は中国ではこうした日本人名の”横取り商標登録”が、当たり前のように行われているのだ。

日本人名を付けておけば売れる

今年4月、『株式会社良品計画』が中国企業から商標権侵害に関わる訴訟を起こされたと報じられた。原告は、中国国内で「無印良品」の商標権を本家の『良品計画』よりも先に取得した中国企業。つまり、”パクった”側の企業が”パクられた”側の企業を訴えているのである。

同社は過去にも、『良品計画』に対して商標権侵害の訴えを起こし勝訴。『良品計画』が約1000万円の賠償金などを支払っている。

なぜ、中国では日本のブランド名や個人名の商標登録が横行しているのか。その理由を弁理士の栗原潔氏が解説する。

「『無印良品』のように有名な商標でも、中国での認知度がまだ低いときであれば、中国国内で第三者が勝手に商標登録することができてしまいます。ブランドイメージの良い日本関連の商標が中国で横取りされている例は少なくない。転売目的での登録も横行しています。

商標を先に登録されてしまうと、『良品計画』のように本家でありながら賠償金を支払わされたり、高額で商標権の買い取りを迫られたりする可能性もあります」

このような被害に遭っているのは企業だけではない。日本の特許庁にあたる『国家知識産権局商標局』のデータベースで検索すると、日本の著名人の名前が中国で多数、勝手に商標登録されていた。

たとえば、「木村拓哉」はメガネやサングラスの商標として、「長澤まさみ」はシャンプーやボディソープ、化粧品の商標として、「橋本環奈」は文房具やティッシュの商標として、といった具合だ。さらに人気漫画のタイトル『鬼滅の刃』も、出版社と無関係とみられる複数の企業によって商標登録されており、実際にその商標でおもちゃの刀剣も販売されていた。

冒頭で述べたように、その対象は皇族にまで及んでいる。「佳子公主」という商標は、中国の2企業11種の商品に対して登録されており、その一つが先述のナプキンだ。これは、アリババグループが運営する中国最大のオンラインショッピングモール『天猫』内のメーカー直営店で販売されており、価格は56枚入りで15元(約250円)。皇族の名前を冠した商品にしては、ずいぶんと格安である。

筆者が同商品を入手してみたところ、パッケージには「佳子公主」という商標のほか、カタカナで「ナプキン」という文字も書かれており、中国の消費者に日本ブランドの製品であると勘違いさせようとする意図が透けて見えた。

開けてみると、藁(わら)半紙のようにゴワゴワした肌触りで、吸収部分の面積も日本製品に比べて狭いように感じた。実際、『天猫』内の商品レビュー覧には「パッケージに惹(ひ)かれて買ってしまった」という中国の消費者から、「品質がとても酷(ひど)くてもう全部捨てた。本当に腹が立つ。中身は何かで汚れているし。カスタマーサービスの対応も酷くて、汚れている枚数分だけ返金するなどと言い出した。言葉を失った」との酷評が寄せられていた。

生理用ナプキンに日本の皇族の名前を使用した理由を問うため、筆者は商標の登録者で同商品の製造元でもある『福建省藍蜻蜓護理用品股彬公司』に電話で取材を申し込んだ。応対した女性社員は「担当者から折り返します」と話していたが、こちらが提示した期限までに連絡はなかった。

さらにいえば、佳子さま以外にも「悠仁太子」や「秋篠宮名品」、「美智子」、「紀子」などの名称が中国で商標登録されている。筆者は、将来皇族と親戚関係になるかもしれない「小室圭」や「圭殿下」といった商標も登録されているのではないかと思い調べてみたが、彼は中国でも不人気なのか、未登録だった……。

自らの氏名や自社の名称が勝手に商標登録される事態を防ぐには、どうすればいいのか。また、すでに登録されてしまっていた場合はどう対処するべきなのか。前出の栗原氏はこう語る。

「勝手に商標登録されていた場合、無効審判など、事後的に登録の取り消しを求めることができる制度もありますが、実際に取り消しを行うことはかなり困難です。日本である程度の知名度を得たブランドは早めに中国でも出願しておくことが重要でしょう」

日本のブランドイメージを失墜させないためにも、商標の横取りを防ぐ必要があるだろう。

「FRIDAY」2021年6月4日号より

取材・文:奥窪優木