東京マルチメディア放送(株)(TDB企業コード:960416626、資本金5億1838万円、東京都千代田区麹町1-7、代表清算人土屋正巳氏)は、5月24日に東京地裁より特別清算開始命令を受けた。

 当社は、2009年(平成21年)10月に設立。アナログ放送終了後のVHF−Low帯の電波を用いて映像、音声、データ放送などの多様なサービスを地域ごとに配信、提供するデジタル放送として2016年3月にサービスを開始した「i−dio(アイディオ)」の関東・甲信越広域圏における編成主体として、運営されていた。多数のコンテンツプロバイダー(以下CP)を得意先として、CPから音声や画像、データなどのデジタル放送を受注し、他社の放送設備を利用し、スマートフォンやタブレット端末、カーナビ、専用端末等を通して、視聴者に届けていた。具体的な放送コンテンツとしては、ニュースや音楽、渋滞情報、災害情報、緊急警報、コミュニティ情報などで、エンドユーザーの大半は地方自治体となっていた。

 親会社の(株)ジャパンマルチメディア放送(TDB企業コード:895011656)はエフエム東京をはじめ、電機や放送、通信など多くの企業から出資を得ており、主要株主であるエフエム東京がリスナーの減少が続くラジオ業界の事業領域拡大を目指し、ラジオの一斉同報性とインターネットの双方向性を融合させようとした戦略事業であったが、思うような業績を上げられず、2020年3月期は年収入高約1億1700万円に対し、当期純損失約3億400万円を計上するなど、赤字決算が続き、財務内容も債務超過となっていた。こうしたなか、エフエム東京が、i−dio事業の継続について検討した結果、今後も収益改善が見込めないと判断し、2020年3月末をもって、i−dio放送を終了していた。

 負債は2020年3月期末時点で約6億3812万円だが、その後変動している可能性がある。