名古屋市の中川生涯学習センター。署名簿に指印が押されたとみられる場所の一つ=2021年3月30日、名古屋市中川区、原知恵子撮影

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 大村秀章・愛知県知事に対するリコール署名の偽造事件で、運動団体事務局長の田中孝博容疑者(59)が、不正な署名を「組織票」と呼んでいたことが分かった。

 事務局内で隠語を使うことで、事情を知らないボランティアらに疑念を生じさせないようにしていたとみられる。

 事務局に出入りしたボランティアの一人は、署名集め後半の昨年10月、田中容疑者に署名用紙の発送が滞っていると指摘したところ、「組織票があるもんで大丈夫だわ」「めちゃくちゃ持ってくるで」と言われたという。「政治の世界はそういうものがあるのかと思ったが、結局は佐賀の偽造署名のことだったのか」と振り返った。

 運動団体の副事務局長だった山田豪・元常滑市議(52)の弁護人によると、田中容疑者は昨年9月下旬、「組織票を集める」と口にするようになった。ボランティアらの前では、各種団体を指して「組織票」と話し、不正と受け取られないような言い方をしていたという。

 10月18日夜、山田元市議は田中容疑者から署名用紙などが入った段ボール箱をワゴン車に積み込むよう頼まれ、「『組織票』はインチキ署名だと思った」という。田中容疑者の妻のなおみ容疑者(58)と次男の雅人容疑者(28)がこの車で佐賀に向かい、同20〜31日にアルバイトによる偽造が行われたとみられる。