「ナイスネイチャ・33歳のバースデードネーション」に総額3582万9730円の支援

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レースを引退した競走馬を支援するNPO法人「引退馬協会」は2021年5月18日、引退馬「ナイスネイチャ」の誕生日にあわせて開催した「ナイスネイチャ・33歳のバースデードネーション」に総額3582万9730円の支援が寄せられたと発表した。

当初の目標額は200万円だったが、それを大幅に超える結果となった。

「有馬記念」で1991年から3年連続3着

ナイスネイチャは、4月16日に33歳になった元競走馬だ。生涯成績は41戦7勝。年末に行われる「有馬記念」という大きなレースで1991年から3年連続3着という記録をとったことから、「3」という数字にゆかりのある馬として愛されている。引退後は引退馬協会の里親制度によって、多くの人々に支えられながら余生を送っている。

そんなナイスネイチャの誕生日に合わせて、協会は4月16日から5月17日に渡って寄付を募った。支援金は過去にレースで活躍した元競争馬やその繁殖馬らを支援するために使われる。当初の目標支援額は200万円で、引退した馬2頭を約半年ほど支えるのに必要な額だ。

しかしバースデードネーションが始まった初日、あっという間に目標額が集まった。これを受けて協会は目標額を300万に再設定したが、19日には2000万円を超え、その勢いは衰えなかった。一部のファンの間では、「3」にゆかりのあるナイスネイチャだけに、3000万円、さらには3333万円を目指すという動きも見られた。

そして5月16日までに、1万6296人の支援者から、総額3582万9730円の寄付が寄せられた。ファンの間では驚きが広がっている。

「ナイスネイチャのバースデードネーション3000万超えててワロタ」
「ナイスネイチャすごいよな。何の運命か33歳のバースデードネーションで3000万集めちゃうんだから」

協会代表理事の沼田恭子さんはこうした反響について、J-CASTニュースの4月の取材で、大ヒット中のゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」の影響が大きかったではないかとみていた。(「『ウマ娘』ブームが引退馬を救う? 支援団体が明かす現実と、広がる寄付への思い『感謝しかない』」、2021年4月21日配信)

「牧場に過度なご負担をかけることは厳に謹んでください」

協会は5月18日、「ナイスネイチャバースデードネーションを終えて」と題したお知らせを公開した。代表の沼田さんは、「思いがけず多くの方からたくさんのご寄付をいただき、ありがとうございました」と寄付について感謝すると同時に、多くの人々に引退馬の現状を知ってもらえたことをありがたく受け止めているとした。

寄付の使用用途については、収納代行会社への手数料を差し引いた3149万円のうち、約30パーセントにあたる945万円は繁殖馬を終の棲家へ繋ぐ為の資金が不足した場合に備えてプールするという。また引き取った馬を長距離輸送するのが困難だった時に備え、当初予定していたホーストラスト(引退した馬が暮らす施設)以外に預託する際のプール資金としての積み立ても行う予定とのことだ。協会の会計とは切り離して管理され、馬の引き取り状況に則して随時、出納状況を開示するとしている。

また引退馬が暮らす牧場を見学する際の注意事項も公開された。新型コロナウイルス感染症拡大を防ぐために、ナイスネイチャのいる渡辺牧場など見学できない牧場もあるという。また少人数で経営している牧場も多いとして、牧場に過度な負担をかけることは控えるよう呼びかけた。

「見学できるのは牧場側のご厚意によるものです。皆さんが気持ち良く見学できるよう必ず守っていただきたく、多くの牧場はご家族や少人数で経営されていますので、電話などでの問い合わせを含め、牧場に過度なご負担をかけることは厳に謹んでくださいますよう、重ねてご理解とご協力をお願いいたします」