アメリカ・ノースカロライナ州が、1983年に11歳の少女をレイプして殺害したとして有罪判決を受け、刑務所で31年間過ごした知的障害のある異母兄弟2人に、合計7500万ドル(約82億円)を支払うことを決定しました。2人はDNA鑑定により無実であることがわかり2014年に釈放されています。この賠償額は、同州におけるえん罪事件の賠償額としては最高額だと報じられています。

Robeson County, NC settles ex Death Row inmates’ civil case | Raleigh News & Observer

https://www.newsobserver.com/news/local/crime/article251411148.html

North Carolina jury awards $75m to brothers wrongly convicted of 1983 murder | North Carolina | The Guardian

https://www.theguardian.com/us-news/2021/may/16/north-carolina-jury-awards-75m-to-brothers-wrongly-convicted-of-1983

2021年5月14日、ノースカロライナ州で行われた公民権訴訟に出席した8人の陪審員が、1983年に強姦殺人事件の犯人としてえん罪で投獄された黒人男性の兄弟であるヘンリー・マッコーラム氏とレオン・ブラウン氏に対する補償的損害賠償金として、それぞれ3100万ドル(約34億円)を支払うことを決定しました。これは、両氏が投獄されていた31年間に1年当たり100万ドル(約1億930万円)をかけた金額です。また、懲罰的損害賠償金として1300万ドル(約14億2100万円)の支払いも決定されたため、両名に支払われることになった賠償金は合わせて7500万ドルとなりました。

この決定を受けて、マッコーラム氏は裁判所の前で「私は神に感謝します」と涙ながらに話したとのこと。また、マッコーラム氏らの弁護団の1人であるエリオット・エイブラムス氏は、「不当に隠ぺいされた証拠を含む全ての証拠を調べた陪審員らは、マッコーラム・ブラウン両氏が無実だと認定し、2人が耐えがたく不当な扱いを受けたことを認め、遅ればせながらそれを正すために司法がすべきことをしました」とコメントしました。

自宅前で涙をぬぐうマッコーラム氏(左)とブラウン氏(右)。なお、真ん中の女性は両氏の妹であるジェラルディン・ブラウン氏です。

by Chuck Liddy NEWSOBSERVER.COM

弁護団によると、強姦殺人事件で逮捕された当時、マッコーラム氏は19歳でブラウン氏は15歳だったとのこと。両氏は警察に強要されて自白し、死刑判決を受けて刑務所に収容されましたが、DNA鑑定により別の男が犯人だということが判明したのがきっかけとなり、無実が証明されました。

1983年に収監されたマッコーラム氏は、2014年に無実が証明されて釈放されるまでの31年間を死刑囚として刑務所で過ごし、ノースカロライナ州で最も服役期間が長い死刑囚となりました。また、ブラウン氏は後に死刑から終身刑へと減刑されましたが、刑務所生活に起因する精神疾患を発症しました。

5月15日には、マッコーラム氏らの弁護団が提起した連邦公民権訴訟が部分的に終結し、被告となったロブソン郡保安官事務所が900万ドル(約9億8372万円)を支払うことで両者が合意しました。また2017年には、レッドスプリングスの街も100万ドルの支払いで合意しています。

知的障害者であるマッコーラム氏とブラウン氏らには、金銭的な管理を行う後見人がつけられるとのこと。また、精神疾患に苦しむブラウン氏は、釈放後はグループホームでフルタイムのケアを受けて生活しているそうです。ノースカロライナ州の地元紙・The News & Observerの取材に対し、マッコーラム氏は「私は自由を手にしましたが、刑務所には今でも無実の人々がたくさんいます。彼らはそこにいるべき人たちではありません」と話しました。