なぜSUVが人気? 次の愛車もSUVは〇%? 逆にSUVを選ばない意外な理由とは

写真拡大 (全2枚)

もはや一過性のブームじゃない! 定番人気を獲得したSUVの魅力とは

 昨今のSUV人気は止まることを知らず、毎月の登録台数ランキングでは常に4、5車種がトップ20に入っています。

 日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表する登録台数ランキング(軽自動車を除く)のトップを快走するトヨタ「ヤリス」には小型SUVの「ヤリスクロス」も含まれていますが、ヤリスクロスの2020年度の登録台数は6万4550台(トヨタ資料より)。

【画像】「ライズ」のTRD仕様がカッコよすぎる!(25枚)

 1か月あたり約9221台を登録するなど、コンパクトSUVのなかで、ヤリスクロスはいま勢いのあるモデルのひとつであることがわかります。

2020年8月に登場して早くも人気SUVとなったトヨタ「ヤリスクロス」

 さらに今後、トヨタは「ランドクルーザー」と「カローラクロス」、日産は「アリア」や「エクストレイル」、スバルは「レガシィアウトバック」といったニューモデルの登場が噂されているなど、どんどんSUVが増加している状況です。

 もはや定番ジャンルとなったSUVですが、これほどまでに人気となっている理由はいったい何なのでしょうか。実際にSUVに乗っているオーナーにSUVの良いところを聞いてみました。

 もっとも多かった意見は「見晴らしが良くて運転がしやすい」ということです。SUVはセダンやワゴンより車高が高く、視点も高くなるため、前を走るクルマの先まで見通すことができます。

 ホンダ「CR-V」に乗るSさんは、「前走車のさらに前のクルマの動きが分かるので、安全運転につながっていると思いますし、同乗者もクルマ酔いしづらくなったといってます」とコメント。

 その一方、車高がそこまで高くないクロスオーバーのオーナーは若干違うようで、コンパクトカーからスバル「XV」に乗り換えたMさんは、「シートの高さがちょうど良くて、乗り降りが楽になりました」といいます。

 XVはベースとなる「インプレッサスポーツ」より最低地上高が70mmほど高く、乗り込む際に腰を横にずらした位置にちょうどシートの座面がある高さを実現。

 身長にもよりますが、腰を落として乗り込まなければならないクルマとは身体への負担が違い、楽に乗り込めるのがポイントとなっています。

 また、「車格によるヒエラルキーが気にならなくなった」という意見も多数ありました。

 たとえば、かつてのトヨタは「クラウン」を頂点とするピラミッドがあり、「カローラ」に乗っていて隣に「マークII」に並ばれるとちょっと悔しいという雰囲気がありましたが、乗っているのがSUVなら信号待ちで何に並ばれようとも気にならないというのです。

 BMW「X1」に乗るNさんは、「BMW『5シリーズ』が隣にきても、ジャンルが違うからか何とも思いません。X1の前は『3シリーズ』に乗っていたのですが、そのときは隣の5シリーズから目をそらしていました」と笑います。

 そのほか、「頭上のスペースに余裕があって室内が広い」や「ちょっとした段差や路面のデコボコなどを走っても気にならない」というコメントも、メリットとして複数のオーナーから挙がりました。

現役SUVオーナーは次もSUVを愛車に選ぶのか?

 SUVの現役オーナーに、次期愛車の予定について聞いてみました。およそ7割のSUVオーナーが「次もSUV」との回答。その理由は「もう視界が低いクルマには戻れない」というのが最多でした。

 そのほかでは「使い勝手が良いから」との意見も多数ありましたが、これは「5ドアで荷物の積載が容易」というものと、「街にも山にも海にも似合いシーンを選ばない」というふたつの意味がありました。

悪路を走る機会がほどんどないというSUVオーナーも

 逆に「次はSUV以外」と答えた人からは「SUVが増えすぎ」という声が多数で、日産「ムラーノ」に乗るHさんは、「ミニバンが多かったのでほかとは違う選択をしたつもりでしたが、あれよあれよと街を走るSUVが増えて、全然個性的じゃなくなってしまいました」といいます。

 また、トヨタ「RAV4」オーナーのAさんは、「視界は高いのですが、まわりを走っているクルマも背の高いSUVばかりになって、最近はあんまり見晴らし良くないです」と苦笑い。

 次に多かった意見が「思ったほど悪路を走る機会がない」ということです。本格的なオフロード4WDほどとはいわないまでも、最低地上高が高いことから多少の悪路も走破できるSUVですが、現実はその「多少」すら走らないまま手放すオーナーも多いそうです。

 今回話を聞いたYさんも、愛車のスバル「フォレスター」でオフロードを走った記憶はないといいます。

 次はSUVを選ばないという理由でほかにあがったのは、「燃費が悪い」「4WDだからか小回りが利かない」などでしたが、これは中大型のSUVオーナーからの意見で、コンパクトSUVのオーナーから同様の声は聞かれませんでした。

 クルマのサイズや世代を問わず共通してあがった不満は、「車重が重いからかタイヤの減りが早い」というもので、しかも「タイヤが高い」とのこと。

 近年の人気から需要が増えたこともあり、SUV用のタイヤは以前よりずいぶん安くなりましたが、そもそも同クラスのセダンやハッチバックと比べるとタイヤサイズが大きいためどうしても割高になります。

 たとえば、14インチや15インチを履く「ヤリス」に対し「ヤリスクロス」は16インチあるいは18インチが標準。タイヤの価格には当然差が出てきます。

 それでも性能だけでなく見た目のカッコ良さも含めると、必要な維持費と割り切るしかないでしょう。

※ ※ ※

 SUVオーナーの生の声を聞くと、総じて満足度が高いことが感じられます。不満があるといってもその多くは「他人とのかぶり」やオーナーのライフスタイルによるもので、SUV自体に対するネガティブな意見はあまり聞かれませんでした。

 満足度が高く「次もSUVに乗りたい」と思うオーナーが多いことこそ、SUV人気が一過性のブームで終わらず長く続いている理由なのではないでしょうか。