5月ももう中盤だ。パチンコに行くこともなく、大型連休もとっくに終わった。ちょっと前から書いているように、今はコロナ禍でパチンコホールが本格的にヤバい事態に見舞われている。なんとか経営を続けるために、心を鬼にして少ないお客さんにより多くお金を落としてもらおうと、調整もシビアを極めている。

なので、今行くなら負けてもいいお金だけ持って出向くのが正しい。ところが、そんな状況なのにノコノコ勝つ気で乗り込んで、返り討ちにされてうだうだ言ってる人もいる。(文:松本ミゾレ)

新台を入荷したホールも多く、費用を回収しないといけないわけで……


5ちゃんねるに先日、「GWで10万円パチンコで負けたんやが…」というスレッドが爆誕した。スレ主は今年のGW、パチンコ屋に通って10万円もの大金を失ってしまった。そして、本文で「どうしてワシばっかりこんな辛い目に遭わないといけないの」と書き込んでいる。

「どうして」については冒頭を読み返してもらえば、パチンコをしない賢明な読者諸氏にもその理由が納得できるはずだ。今は「勝とう」と思って出向けるような時期ではないのだから。しかも、GW前に全国のパチンコホールは、連休の集客を見込んで発売されていた各メーカーの新台を入荷したばかり。その費用の回収だってしなきゃならないわけで。

実際、最近入った新台を打った僕の知人も「ダメ。全然回らなかった」と愚痴っていた。そりゃそうだ、ここでブン回していたら、体力のないお店なんてマジでつぶれるんだもの。

パチンコは「遊技の建前を持ったギャンブル

パチンコは、遊技の建前を持ったギャンブルだ。しかし、その仕様がブラックボックスではないことが良心的なところ。たとえば釘。(釘いじりは違法だが)釘が締まっていれば玉の通りもシブくなって、お金を入れても全然回らない。回らないということは投資金額もかさみがちだし、全然遊べないのでストレスもかかる。

だから、普通は回りがシブいと感じたらすぐにやめる。そうしないと損なので。この釘の部分だけに着目していれば、スレ主だって10万も負ける前に撤退できたはず。

でも、パチンコに魅入られた人ってどうにかして「打ち続ける理由」を求めがちなんだよね。そして、その理由の大半は「なんかすぐ当たりそうな気がする」などのふわふわしたものばかり。回らないのに打ってしまうのだ。

ただでさえコロナで経営が厳しくなっていて、なおかつ導入した新台の費用も回収しようと焦っているホールでやらかすというのは、手痛い敗北への特急券に等しい。今できる最も賢い立ち回りは"打たない"に尽きる。ユーザーにはそれぐらいしか損切りの手段なんてないのだ。

「打たなきゃ負けない」はいつだって真実。この考え方が頭にあったので、僕はこの連休中も一切パチンコに興味も沸かなかったし、それどころかどこにも出かけることすらしなかった。ただ、僕の友人の中には、同じマインドに至らずに飛んで火にいる夏の虫になってしまった奴らも多い。

スレ主は10万の負けで済んだようだが、それ以上の負けを抱えてしまった者もいる。そして、負けるたびに「パチンコやめたい」と病気みたいに繰り返している。勝ちたいなら、勝てるような時期になってから行こう。遊びたいだけなら、負けてもいいと思える金額だけ握りしめて、財布もカードも家に置いて出かけよう。