探偵歴10年以上、浮気調査に定評があるリッツ横浜探偵社・山村佳子が目撃した、男と女の浮気事情。

パートナーがいる男女の恋愛の詳細を、美人探偵・山村佳子がその事件簿から紹介します! 

浮気がバレた後の関係、浮気調査のポイントについても語ります。

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今回の依頼者は、中村愛美さん(仮名・30歳)。都内の食品関連会社に勤務しているキャリア女性です。交際して2年になる有名日本料理店勤務の彼(32歳)が、別人のなりすましではないかという疑惑が持ち上がります。なぜなら、彼が洋食のコックさんの服を着てネットに載り、愛美さんが勤務先と聞いていたお店に問い合わせてみたところ、彼はそこにはいなかったことが判明したからです。

【調査までの経緯は前編で】

愛美さんは彼に「あなたのお店に問い合わせたら、“そんな人はいない”と言われた。それに、この記事の集合写真に写っているのはあなただよね。あなたはいったい何者なの?」と直接聞きました。

「すると、“何を言っているの?”とガチギレ。今まで、優しくて穏やかだと思っていたのに、突然豹変したんです。いきなりテーブルを叩いて“お前のようなサイコパスはこっちからお断りだ”と家を出て行き、すべての連絡先をブロックされました」

手がかりは彼の家とライターさんのもたらす情報のみでした。

「再びライターさんに連絡をすると“あれはもう1年近く前の取材で、話せることはすでに話しました”と、最初の口調とは打って変わって、ぴしゃりと切られてしまったんです」

それから2日間、悶々とした日々を過ごすうちに、真実を知りたくなったのだそう。

「ホントに大好きで、赤ちゃんも欲しかったし、こんな家に住みたいねって、間取りを書いたりもしていたんですよ。それなのに別人のなりすましって本当に悲しい。それに、ボーッとしていたとはいえ、すごく大切な28歳から30歳までの2年間という歳月を、実態がわからない人に捧げたのが本当に悲しいんです」

本来なら、もう結婚しており、子供を抱いていたかもしれない。愛美さんの悲しさと悔しさと衝撃を思うと、私もやり切れません。ただ、バレた以上は彼の動きも早いはず。その日のうちに、彼の家の張り込みを開始しました。

彼の家を独自に調べると、愛美さんが知っている彼とは別の名前で契約して住んでいました。

その名前を検索しても、何も出てきませんでした。実際にSNSはやっていないようです。これは浮気をしている男性に多いのですが、足がつきやすいSNSを一切やらず、メディアにも出ないのです。匿名でいることは武器だと感じることもあります。

名前がわかったので楽勝だと思うも振り出しに。彼の家の出入りを24時間体制で2日間張り込みをしました。

2日目の夜22時、彼が自転車でマンションに入っていくところをキャッチ。そして、40代くらいの女性が同じく自転車でやってきて、彼の部屋に入っていきました。

2人は朝6時にマンションを出て、自転車で出かけていきます。私たちは徒歩とクルマを想定していたので、一切の準備をしていません。そこで、元長距離走選手だったペアの探偵が、“いかにもランニングをしている人”という様子で彼らを追うことにしました。

地元密着型の飲食店に入って行ったが…

彼らの自転車を追うと、女性はそのままどこかに行ってしまい、彼が入って行ったのは、地元密着型の飲食店でした。食べログでほとんど口コミが書かれないようなお店です。

厨房に入っているのが彼で、35歳くらいのぽっちゃり体型の女性がホールを切り盛りしているようです。

私たちは、“いかにもその辺に営業に来ました”と言う体を装い、ランチを食べに行きました。店はコロナ禍にも関わらずうまくいっているよようで、近隣の常連客でほぼ満席。ビールを飲んでいる人、焼酎をボトルで入れている人なども多く、和気あいあいとしています。

ホールの女性はマスクをしていてもわかるくらいの笑顔で感じよく接客。常連さんからの会話から推測すると、彼の妻であることは間違いがありません。そして、保育園に通う男の子が2人いることもわかったのです。

その後、営業が終わるまで張り込みを続けました。彼の妻は17時で上がり、保育園のお迎えへ。17時30分からは60代の女性がホールに入ります。どうやら親戚のよう。

彼は20時で店を終え、後片付けをして、21時に出てきて、近くの銭湯へ。こざっぱりした様子で出てきて自転車に乗りマンションへ。22時過ぎに再び朝に別れた女性が入っていきました。

以上の調査を報告したところ、愛美さんは「えっ、なにこれ……」と言葉もない様子でした。「妻子がいるとはわからなかったし、この女は誰なの?」と驚いていました。

その後、愛美さんが証拠を持って、弁護士と一緒に彼のお店に乗り込んだそうです。すると、彼は「申し訳なかった」と謝罪。

「奥さんとの仲は悪く、“子供が起きるから夜中に帰ってくるな”と言われたのが、下の息子さんが生れた3年前だったそうです。最初は店に寝泊まりしていたけれど、ワンルームマンションを契約。独身気分になってナンパをしたら、うまくいったので、私のようなタイプをターゲットに恋愛を繰り返していたそうです」

同時進行で何人も交際していたこともあるとか。相手の女性に「赤ちゃんができたら結婚しよう」と言ったのは、彼がもともと男性不妊で自然妊娠ができないことはわかっていたから。

「ホントにひどいですよね。奥さんも呆れていました。私に渡した有名料理店の名刺は偽造でした」

結局、穏便に済ませてほしいと言われ調査費用と慰謝料100万円を彼から受け取ったそう。

「結局、彼が離婚して私と結婚することは現実的に難しい。私も養育費つきのバツイチ男性はちょっと避けたい。それに飲食店のおかみさんは、私にはできません。私は恋愛経験がほとんどなく、彼にコロッと騙されてしまった。苦しいけれど、慰謝料でおいしいものを食べて、次の婚活を頑張ります」

今回の調査費用は、50万円。

コロナ以降、浮気相手に会いに行くのに自転車が使われることが増えている。

※本連載はプライバシー保護のため、一部内容を変えています。