AirTag実際に使ってみた。セットアップは超簡単、小銭入れにもすっぽり(石野純也)

アップルから、初となる紛失防止用のスマートタグ「AirTag」が発売されます。発売は4月30日を予定。23日からの予約開始に先立ち、AirTagを試用することができました。その使い勝手などをレビューしていきたいと思います。

AirTag(Amazon.co.jp)

まずは形状。500円玉を一回りだけ大きくした程度のサイズ感で、薄さも8mmのため、財布の小銭入れにも入ります。11gと軽いため、AirTagを入れたからと言って、財布がズッシリ重くなるようなことはありません。アクサセリーを使うと、キーホルダーやバッグチャームにもなるのもポイントです

▲サイズは500円玉より一回り大きい程度

個人的には表と裏の素材がが違うため、キーホルダーにしたときに両面が露出しないでほしいと感じました。そのため、デザイン的にはアップル純正のそれよりHermèsのアクセサリーの方が好みに近いのですが、いかんせん価格は文字通りケタ違い。Hermèsのキーホルダーと考えると割安なのですが悩ましいところです。Hermès版は試せていないのですが、金属面の刻印も違うのはApple Watchと同じ。さり気なく違いを出しているところは、商売上手だなぁと感じた次第です。

▲表と裏で仕上げが異なる

アクセサリーを使って様々な物に取り付けられるAirTagですが、財布に単体で入れようとしている人は、少し注意が必要かもしれません。筆者も後から気づいたのですが、AirTagには磁石が入っているようで、AirTag同士がくっつきます。磁力はiPhone 12の背面ほど強くはありませんが、キャッシュカードやクレジットカードの磁気ストライプに影響がないかは、少々心配になります。

当初、この仕様を知らなかった筆者は、財布の小銭入れにAirTagを入れて半日ほど過ごしてしまいましたが、幸いにもキャッシュカードの磁気は飛んでいなかったようで、3枚のキャッシュカードは問題なくATMが認識しました(クレカは未確認)。磁気は弱いので、カードの情報が飛んでしまうほどではないのかもしれませんが、念を入れるのであれば、財布に直接入れるのは止めておいた方がよさそうです。磁石の使いどころは、もう少し慎重に考えてほしいと感じています。

▲弱めながらも磁力があるため、財布に入れる際には注意が必要

セットアップは超簡単。iOS 14.5以上のiPhoneを近づけると、画面上にポップアップが表示されます。あとは画面の指示に従い、名前を付けたりApple IDを設定していくだけでOK。あとは位置を検知したいものに取り付けるだけです。セットアップ後に試しに「探す」アプリを開いてみたところ、自分のすぐそばにあることが表示されました。

すぐ近くにあってBluetoothで接続しているにも関わらず、AirTagを装着したものが見つからないときには、iPhoneから音を鳴らせます。サイズの割には大きな高音がキンキンと鳴り響くため、どちらにあるかはすぐに分かります。

▲近くにあってBluetoothで接続している際には、探すアプリから音を鳴らすことができる

また、U1チップ搭載のiPhone 11シリーズ以降なら、おおよその場所や距離が分かり、発見の手がかりが増えます。財布や鍵を置きっぱなしにしたまま忘れて、外出時に慌てて探すといったことはなくなりそうです。

▲U1チップ搭載のiPhoneなら、AirTagまでの位置や距離などを表示できる

AirTagは、世の中で稼働する無数のiPhoneやiPadなどを通じて位置情報を収集しています。実際、自宅に置きっぱなしにしたAirTagの場所を調べてみましたが、自分がいなかった時間に位置情報が更新されていることが分かりました。

これはおそらく、家族のiPhoneを通じて位置情報が更新されたためだと思われます。アップル製端末となるとその数は膨大。日本でシェアも高いことから、かなりの精度が期待できます。こうした点は、アップル自身が投入するメリットと言えそうです。

▲自宅に置きっぱなしにしていたAirTagも、すぐに位置情報が更新された

紛失モードをオンにすると、位置が特定された際に通知が届くほか、発見者がスマホをかざすことで、入力したメッセージや電話番号を読み取れるようになります。AirTagにはNFCタグが埋め込まれており、スマホ側がそれを読み取る格好です。

と言っても、NFCタグ自体にメッセージや電話番号が書き込まれるのではなく、あくまでURLが用意されているだけ。紛失モードがオンのときには、飛んだ先のサイトで持ち主の情報を確認できるようになります。

▲紛失モードをオンにすると、発見された際に通知が届く

▲発見者に伝えたい連絡先やメッセージを書き込んでおくことが可能だ

NFCタグさえ読み取れればよく、特殊な仕様にはなっていないため、発見者側のスマホはiPhoneだけでなく、AndroidでもOKです。試しにXperia 1 IIで読み取ってみたところ、紛失モード設定時に入力したメッセージと電話番号が表示されました。親切な人なら、電話をかけてくれる可能性もあります。

▲Androidスマホでもタグを読み取れた

ただし、そのためにはAirTag発見時にスマホでNFCタグを読み取ることが、一般的になっていなければなりません。紛失物を発見した人が、常にiPhoneを持っているとは限らないため、Androidユーザーも含めて「タグを見つけたらスマホをかざす」ことが、広く知れ渡っている必要があるというわけです。

iPhone比率の高い日本は有利ですが、iPhoneユーザーですら知らない可能性はあります。周知が進むまでの間は、発見時に自分でその場所まで探しに行く覚悟をしておいた方がいいかもしれません。

AirTag(Amazon.co.jp)

※AirTagは人・動物には利用できない仕組みになっています。


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