上司をうっかり「お父さん」と呼んじゃった。職場の反応に冷や汗…

 子供のころ、学校の先生に向かって「お父さん(お母さん)」と間違えて呼んでしまったことはありませんか?

 私自身、小学生のときにやらかしてしまった経験がありますが、教室は一瞬の間を置いて大爆笑。恥ずかしすぎてその場で頭を抱えましたが、それからしばらくの間は同級生たちに何度もからかわれたものです。

 でも、同じような呼び間違えは、大人でもたまにやってしまうもの。ソフトウェアメーカーに勤める山本典子さん(仮名・28歳)は、就職1年目に当時所属していた営業部の課長をうっかり「お父さん!」と呼んでしまったといいます。

◆「お父さん」と言われ上司はフリーズ

「入社してまだ3か月経たないくらいのころで、毎日テンパりながら働いている状態です。納品書に上司の確認印が必要で、課長のデスクに行ったのですが、思わず『お父さん、納品書にハンコをお願いします!』って言っちゃったんです……」

 すぐに気づいて「しまった!」と思いましたが、課長は彼女のほうに顔を向けたままフリーズ。部署の先輩たちがパソコンのキーボードを叩く音もパタッと止み、嫌な沈黙が流れます。

「時間にして1〜2秒だったと思いますが、私にはものすごく長く感じました。お笑いコンビのぺこぱの松陰寺さんの決めゼリフ『時を戻そう』じゃないですけど、ほんの少し前でいいからタイムスリップさせてほしかったです(苦笑)」

◆「す、す、す、すみません!」と噛んじゃうし

 当時、営業部に配属されてからまだ日が浅かったですが、仕事の覚えも早く上司や同僚からは“期待の新人”と持ち上げられていたとか。それまで特にミスをすることもなかった典子さんとっては、これが入社後初めての失態でした。

「とりあえず、課長に謝らなきゃ思ったんですけど、アニメに出てくるドジっ娘みたいに『す、す、す、すみません!』って噛んじゃうし、緊張してなぜか普段の話し声よりも明らかに高音。さらにやらかしてしまい、そのまま走って会社から逃げ出したい心境でした」

 このタイミングに合わせて先輩男性社員たちからは大きな笑い声。先輩女子社員たちからクスクスという声が聞こえてきたとのこと。

 想像するだけでもかなり恥ずかしい状況ですが、課長は真面目な口調で「みんな、笑いすぎだぞ!」と部下たちをピシャリ。その後は何事もなかったかのように納品書に判を押し、このときはそれで終わったそうです。

◆忘年会で「課長お父さん事件」が話題に

 しかし、それから約5か月が過ぎたその年の部署の忘年会のこと、先輩社員が「そういえば……」と典子さんが言い間違えた時のことを蒸し返します。先輩社員から「課長お父さん事件」と命名され、酒のサカナにされてイジられまくったといいます。

「その部署はみんな仲がよく、私もすっかり打ち解けていましたがやっぱりこの話は何度思い出しても恥ずかしいですね。ただ、あのときは部署の人たちをたしなめてくれた課長まで『俺、まだ子供すらいないのに……』と言ってくる始末。もちろん、言い間違えなのはわかってたそうですが、お父さんと呼ばれたことにショックを受けていたみたいです(笑)」

 課長は当時30代前半。その年で20歳を超えた女性からお父さんと呼ばれちゃったんですからね。

「課長からは、『しまった!って顔をしていたし、みんなに笑われて肩を震わせてうつむいていたから。場をなごますつもりでも何か言えば傷つけてしまいそうで、スルーする以外になかった』と打ち明けられました。実際、スルーされて救われたのは事実なので、改めてお礼を言いました」

◆言い間違えをした人は意外と多い?

 ちなみに職場にも同じような言い間違え経験を持つ人がいて、それからはカミングアウト大会に。課長自身も小学校3年生のころ、担任だった女性の先生に対し、元気よく「お母さん!」と言ったことがあるそうです。

 言い間違えを大爆笑した先輩社員も、昔付き合っていた彼女を寝ぼけて元カノの名前で呼び、修羅場になった話を告白。

「先輩については『それは許されないから!』って女性社員全員からダメ出しされてましたけどね。けど、言われてみたらそれに比べたらマシかなって思えたので、先輩には感謝しています。

 あと、いちばんホッとしているのは、子供のころから父のことをパパではなくお父さんと呼んでいてよかったなって。同じ言い間違えも『パパ!』って呼んでしまったら変に誤解されて、もっと面倒なことになっていた可能性もあったので(笑)」

 滅多にないとは思いますが、この手の間違いは無意識に出てしまいがち。きっと本人は火が出るよりも恥ずかしいでしょうし、ヘンにイジったりするのはやめたほうがいいかもしれませんね。

―赤っ恥をかいた話―

<文/トシタカマサ イラスト/zzz>【トシタカマサ】
一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。