宇宙人や人面魚の存在を暴くなど、独自の“笑撃”スクープを飛ばし続けてきた「東京スポーツ」が今、笑えない事態に直面している。

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「3月末に希望退職者を募集するという社内メールが届き、『ついにウチもか』と暗いムードが漂っています」(50代記者)

 希望退職者の対象は45〜59歳の160人。社員約350人のうち100人、全体の3分の1近くをリストラするという。

 4月7日に東京・江東区の東スポ本社近くで行われた説明会には約100人が出席。経営陣4人、弁護士2人が従業員に向き合った。

「怒号が飛び交うこともなく、静かに進行しました。プロジェクターに収支の数字などを映して弁護士が説明していたが、それが小さくて見えない(笑)。『大きな見出しで笑わせろ!』と言われて来たので、オイオイ!ってな感じでしたね」と出席者は苦笑する。終了後は人材斡旋会社による再就職の説明。再建案は一切、示されなかったという。


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全盛期は入社2年目で年収1200万円

 実は東スポは紙媒体全盛時代、期末の臨時を含め年に4回もボーナスが支給されるほど高給で有名だった。

「90年代中頃は、入社2年目の年収が1200万円。それがピークで、今はその半分ぐらい。19年5月の決算では純利益が約20億円の赤字、総資産は約65億円しかなく、会社側から『あと2〜3年で潰れる』と告げられました」と明かすのは40代後半の記者だ。

「“紙神話”に頼りすぎていたんです。76年から代表取締役を務める太刀川恒夫会長(84)の方針もあり、デジタルシフトが遅れたのが決定的な経営ミス。昨年6月からやっとネット記事に力を入れ始め、デジタル部門の売上が3倍以上伸びたので、経営幹部は手柄顔をしていますが、焼け石に水ですよ。一方、デジタル部門に若手を配置したことで、40歳を境とする世代間対立も起きています」(同前)

希望退職者の金銭的補償は?

 加えて自社ビルではないため、賃料の負担も大きい。

「景気の良かった頃にゴルフ場を買ったり、マンション投資をしていましたが、今は手放しました」(同前)

 コロナ禍も追い打ちに。前出の50代記者が続ける。

「競馬面は昔から充実していてファンも多いが、JRAの場外馬券売り場がコロナでしばらく閉じたことで、部数がガクッと落ちました」

 説明会で提示された金銭的補償は、通常の退職金+1年分の給料だった。

「募集締め切りは5月14日、退職期日は6月末ですが、50歳でトータル2000万円出るかどうか。お先真っ暗ですよ」(前出・出席者)

 東スポに事実関係を問うと、「回答を控えさせていただきます」(法務広報室)。

“飛ばしの東スポ”の勢いは失わないで欲しい。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年4月22日号)