高給取り、撃沈…「住みたい街」に見えた勝ち組の切ないリアル

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年収1,000万円。サラリーマンの一定の到達点といえます。「高級取り」の実情について見ていきましょう。

「年収1,000万円超えプレイヤー」はどこに住みたいか

不動産テック総合サービス「RENOSY(リノシー)」を運営する株式会社GA technologies[GAテクノロジーズ]は今年3月、『年収1,000万円超えプレイヤーが選んだ「住みたい街ランキング2021 by RENOSY』を発表した。結果は下記のとおり。

1位・・・南麻布(港区)

2位・・・新宿区(新宿区)

3位・・・勝どき(中央区)

その後、4位「赤坂(港区)」、5位「海岸(港区)、6位「神宮前(渋谷区)」、7位「西新宿(新宿区)、8位「六本木(港区)」、9位「高輪(港区)」、10位「芝浦(港区)」と続く。

港区の強さたるや、という印象だが、昨今人気が急上昇している「勝どき」にも注目されたい。首都圏の「買って住みたい街」ランキングでは2年連続1位に輝いており、駅直結の『勝どきビュータワー』、日本最大規模のツインタワー『THE TOKYO TOWERS』に加え、これまたツインタワーの『DEUX TOURS』、THE TOKYO TOWERSの対面に『ザ・タワー』が完成するなど、人気の勢いはとどまるところを知らない。

なお同調査の「年収1,000万円超えプレイヤー」とは、RENOSYに掲載された東京23区の賃貸物件のうち、年収1,000万円以上の物件成約者数をエリアごとに集計したものだが、彼・彼女らの職業は何なのだろうか?

(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁の調査によると、所得税納税者を対象に「給与所得1,000万円以上」と申告している人は、256.1万人ほど。全体の4.8%になる。ちなみに厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』によると、平均年収が1000万円を超える、高給取りな職種は129職種のうち3職種。「航空機操縦士」「医師(勤務医)」「大学教授」と、名を見ただけでも高給取りとわかる職業が並ぶ。

年収の天井は計り知れないが、「年収1,000万円」というのは日本のサラリーマンが憧れるひとつの目標といえよう。南麻布や新宿、勝どきのタワマンで暮らし、悠々自適な勝ち組生活……と思いきや、そうでもないらしい。年収1,000万円の手取り額を見ると実態が明らかとなる。

手取り50万円「住みたい街」で豊かな暮らしはできるか

厚生労働省のレポート「令和2年賃金構造基本調査」によると、日本の「課長」職の平均給与(所定内給与額)は49万2200円(平均年齢48.6歳、平均勤続年数20.3年、平均所定内実労働時間167時間、超過実労働時間平均3時間)。手取りにすると月収約38万円。課長クラスでも年収1,000万円の壁は遠い。

年収1,000万円の場合、平均的な賞与、4ヵ月分をもらっているとすると、月給は62万5,000円ほど。手取りは50万円弱といったところか。

手取りの2割〜3割程度を家賃に費やすとすると、支出できる金額は10万円〜15万円ほど。『年収1,000万円超えプレイヤーが選んだ「住みたい街ランキング」』上位の街で該当する物件を見てみると、南麻布や西麻布では30平米のワンルームマンションが並ぶ。

そのほか1LDKの物件なども検討範囲の金額で探すことができるが、やはり築古だったり、駅から遠かったりと多少の難点も見受けられる。年収1,000万円超えプレイヤーの住みたい街では、単身者には申し分ない生活ができるといえるが、2人以上の世帯となるとなかなか厳しいかもしれない。

ちなみに、賃貸ではなく、持ち家で!と考えた場合。南麻布3LDKで見てみると、中古でも1億円はくだらない物件がちらほら……。年収1,000万円でも予算オーバーといえよう。

■年収1,000万円は損をしている?

日本のサラリーマンで、いわゆる平社員の平均給与(所定内給与額)は27万8,400円(平均年齢40.7歳、平均勤続年数10.2年、平均所定内実労働時間165時間、超過実労働時間平均11時間)。手当や賞与などを加味すると、平均年収は442万6,800円となる。

平均年収に比べればはるかに高給取りであることは間違いないが、日本は累進課税制度。年収1,000万円の場合、年間の手取り金額は720万円ほどとなる。ここから住宅ローンに子どもの教育費……と出費がかさめば、手残りはわずかになるだろう(関連記事『年収1000万円超でも破綻寸前…高給取り会社員の厳しい惨状』)。

老後に向けた資産形成も叫ばれている昨今だが、「年収1,000万円超のお金持ち」たちの暮らしは、案外素朴なのかもしれない。