将来の収入不安に対する備えや運用資産を見直す動きから、不動産投資に目を向ける人が増えています(デザイン:藤本 麻衣)

2020年4月の緊急事態宣言以降、将来の収入不安に対する備えや運用資産を見直す動きから、不動産投資に目を向ける人が増えている。現状は「不動産投資ブーム」の様相を呈していると言っても過言ではない。

『週刊東洋経済』4月19日発売号は「不動産投資 天国と地獄」を特集。コロナ禍でも衰えない不動産投資ブームの最前線を追っている。


ファーストロジックが運営する投資用不動産サイト「楽待(らくまち)」の会員登録数は右肩上がりだ。2021年1月時点の楽待の会員数は23.6万人と、202020年3月の19.6万人から20%超も増加した。

同じく、投資用不動産サイト「健美家(けんびや)」もユニークユーザー(UU、サイト訪問者)数がここにきて急増している。この2月にはUU100万人を突破し、3月に入っても勢いは衰えず前月比で25%も伸びた。

健美家が会員向けに実施した調査によれば、約6割の投資家が「物件を探している」と回答した。コロナ禍での家計の「金余り」を背景に、運用難にあえぐ資金は不動産へと流れ込む。株式や債券と比較しても、相対的に利回りが高いことも投資家を引きつける。


(出所)『週刊東洋経済』4月19日発売号「不動産投資 天国と地獄」

26〜45歳が過半を占める

不動産投資の鼻息が荒いことは確かなようだ。では、どのような層の人が投資意欲を高めているのだろうか。ファーストロジックの広報担当・尾藤ゆかり氏は「最近は若い層の投資意欲が増している。現在投資している人の半分ぐらいが初心者の方なのではないか」と語る。

楽待の会員の年齢層を見てみると、その傾向が鮮明に出ている。2018年12月末時点(サイトを開設した2006年3月から2018年12月までに新規登録した会員)では、登録者のうち26〜35歳の割合が19.9%、36〜45歳の割合が36.6%、合計すると26~45歳以下の会員は56.5%だった。これが2021年3月15日時点(2006年3月から2021年3月15日までに新規登録した会員)では、26〜35歳の割合が26.8%、36〜45際の割合が33.5%、合計すると26~45歳以下の会員は60.3%と3ポイント以上も増えた。



(出所)『週刊東洋経済』4月19日発売号「不動産投資 天国と地獄」


(出所)『週刊東洋経済』4月19日発売号「不動産投資 天国と地獄」

不動産投資を始めた動機についてはどうか。健美家の倉内敬一社長は「老後の収入不安へのリスクヘッジ、そして副収入を目的にして投資を始める人が全体の8割ぐらいを占めている」と説明する。

実際、楽待が会員向けに今年3月に実施したアンケートによると、不動産投資を始めたきっかけは「資産運用のため」「給与以外の収入が欲しい」「老後の生活資金や年金の不安から」との回答が圧倒的に上位を占めた。

区分マンションの人気が高まっている

投資対象としては、2〜3年前までは1棟アパートが活況だった。だが、2018年にスルガ銀行がシェアハウスオーナーなどにずさんな融資をしていた問題が表面化して以降、金融機関は1棟物件を中心に融資を引き締めた。総額の張る1棟物件に対しては、アパート・マンション問わず融資が厳しくなっている。そこで、最近は比較的融資を受けやすい区分マンションが人気だ。

また「投資を始めたばかりの若い人は戸建てに目を向けることが多い」(ファーストロジックの尾藤氏)という。ボロボロの戸建てを500万円以下で買って、自分でリフォームして、賃貸するケースもある。ただ、ぼろ戸建て投資はリスクが高いため、注意が必要だ。

かつての不動産投資と言えば、中小企業経営者などが節税対策で木造アパートなどを建設するイメージが強かったが、最近は投資家層、参入動機ともに傾向が変化しているようだ。

『週刊東洋経済』4月24日号(4月19日発売)の特集は「不動産投資 天国と地獄」です。