うっかり日焼けしすぎてしまったときに、アロエジェルを使う人はきっと多いはず。患部にたっぷり塗ることで、ほてった肌を落ち着かせると言われるものだけど、日焼けのアフターケア以外にも、さまざまなメリットがあるのだとか!

本記事では、皮膚科医による解説をまじえ、「アロエジェル」のメリットを<プリベンション>からご紹介します。

アロエジェルが注目される理由

日本で「アロエジェル」と呼ばれる製品のほとんどは、アロエベラと呼ばれる多肉植物の一種を配合したもの。「アロエベラは、その治癒力と薬効成分で知られます」と語るのは、皮膚科・美容外科を専門にするジョエル・シュレシンガー医師。

「茎にはたっぷり水分が含まれ、葉の中は透明なジェル状の物質でできています。研究によると、このジェルは昔から火傷、凍傷、乾癬(かんせん)、口唇ヘルペスの治療に使われてきたようです」

アロエジェルの効果に関する研究は限られているものの、ビタミンCやビタミンEなど、多くのビタミンやミネラルが含まれているのは確か。専門家もアロエジェルがスキンケア製品の効果をアシスト(補助)する存在と考えているのだとか。

そもそもアロエジェルとは?

オープンアクセス医学ジャーナル<International Journal of Research and Medical Sciences>で発表された研究によると、アロエベラの三角形の葉の内側には3つの層があり、もっとも内側の層は水分(約99%)と約75もの(潜在的)有効成分で構成された透明なジェルを含有。葉の中に含まれる果汁は(機械または手作業で)外皮を取り除き、有効な成分を損なわないようコールドプレスで採取されるそう。

特定の皮膚トラブルに焦点を絞った上で、アロエベラの有効性を研究した実証結果は少ないものの、「アロエベラは抗ウイルス、抗真菌、細胞再生などの特性を持っていることがわかっています。他の薬や治療法と併用すれば、有効性が証明できるかもしれません」とシュレシンガー医師はコメント。

アロエジェルの研究が難しいことには別の理由も。肌の改善を期待できる成分が多数含まれているため、化合物やそのメカニズムを正確に把握するのが難しいそう。

また、研究ではそれぞれ異なるアロエベラの組成を使用しているため、比較対照するのが困難なのだとか。

アロエジェルの効果

日焼け後の肌のほてりを落ち着かせる

「アロエジェルには多糖類と呼ばれる化合物が含まれており、皮膚の修復と新しい皮膚細胞の生成を促進します」と語るのは、皮膚科医のケネス・マーク医師。

またジェルには、カルボキシペプチダーゼと呼ばれる鎮痛効果のある物質も含有。「塗ると気持ち良い」と感じるのはこの成分によるものだそう。

肌の炎症を抑える

アメリカ・テキサス州にある皮膚科医「Westlake Dermatology」のジェニファー・ゴードン医師は下記のように説明。

「肌の炎症は乾癬、湿疹、扁平苔癬(へんぺいたいせん)など、さまざまな理由から発症しますが、アロエジェルはアセマンナンなど、炎症を抑える化合物を含有しています。しかし、一部の人にアレルギー性皮膚炎を引き起こす可能性があるため、使用する前に必ずパッチテストを行ってください」

保湿効果

「アロエジェルのほとんどは水分で構成されているので、保湿効果を期待できます。さらっとした感触のものが好まれますね」とシュレシンガー医師。

肌細胞同士をキュっと束ねる糊のような役割を果たしつつ、水分を肌に閉じ込めるので、スムーズでやわらかい肌をキープできるんだとか。

ニキビ予防

アロエジェルには抗菌作用に加えて、毛穴の詰まりを解消する「サリチル酸」を含有。ニキビや黒ずみに悩んでいる人におすすめなんだとか。

口唇ヘルペスの緩和

「アロエベラは真菌、細菌、ウイルスを抑制することで知られる6 つの物質(サリチル酸、フェノール、硫黄など)を含む、いわば“防腐剤”のようなものです 」と語るのは、カスタム・スキンケアブランド「Curology」のCEOであり皮膚科医のデビッド・ローチャー医師。

「免疫システムが、口唇ヘルペスのウイルスに対する抗体を作り出すので、治癒プロセスを早まる可能性があります」

アンチエイジング効果

「アロエは繊維芽細胞の活動を刺激します」とマーク医師はコメント。繊維芽細胞にはコラーゲン生成量とエラスチン線維を増やし、「シワを目立たなくする」「弾力のある肌にする」などの作用があるのだとか。

またアロエベラに含有する亜鉛には、毛穴を引き締める収れん効果があるほか、ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化物質は、フリーラジカルの生成防止に役立つそう。

黒ずみの予防

ゴードン医師によると、アロエジェルには皮膚の変色を引き起こす酵素「チロシナーゼ」の生成を防止し、紫外線による過剰な色素沈着や肌の損傷を抑制するとか。このメカニズムは黒ずみ防止の予防になる可能性も。

加えて、アロエジェルに含まれるさまざまな抗酸化物質(グルタチオンペルオキシダーゼなど)には、日焼けによるダメージを薄くしてくれる効果もあるそう。

角質除去効果

マーク医師によると、アロエベラに含まれるサリチル酸には角質除去効果があり「古い角質をやさしく剥がしてくれる働きがあります」と説明。

アロエジェル製品の選び方

アロエジェル製品を選ぶ前に知っておきたい、皮膚科医のアドバイスはこちら。

アロエジェル含有量が多い製品がベター

「できるだけ、アロエベラの純度が高いものがベストです」と語るのは、皮膚科医のゲイリー・ゴールデンバーグ医師。

ゴードン医師もこの意見に同意。「アロエベラの割合が低いということは、増粘剤、防腐剤、着色料、香料など、多くの添加物が含まれていることを意味します」。こうした添加(および不要な)成分は、アロエベラの効果を低下させる可能性もあるとのこと。ある程度の保存料の使用が必要とされるため「純度100%のアロエジェル」という製品はないものの、できるだけアロエベラの純度が高いものを選ぶのがベター。

宣伝文句に騙されないで

ラべルに「100%アロエジェル」と書かれている場合、それはアロエベラの成分が100%という意味ではなく、“ジェルが100%”であるということ。ラベルの宣伝文句を注意深く確認し、成分表でアロエベラがどのぐらい含有されているか確認を!

アロエベラよりも他の成分の方が多く含有されている場合、それは「アロエベラ成分が少ない製品」と言えるはず。

使用期限を確認

「製品の陳列可能期間をのばすため、細菌の増殖を防ぐ防腐剤の使用が必要になります」とゴードン医師。逆を言えば、使用期限が短い製品の方がより上質で、添加物の少ない製品と言えるかも。

避けるべき製品

「アルコール変性剤やセチルアルコールは肌を刺激してしまいます」とローチャー医師。また、香料にも注意が必要。エッセンシャルオイルや天然オイルであっても、接触皮膚炎を引き起こす可能性も。またアロエベラの色は透明。緑色ではないので覚えておいて。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: 宮田華子

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