AT車の「N」は必要? 「P・R・D」あれば問題なし? 意外なNの存在理由とは

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AT車の「N(ニュートラル)」の存在理由とは?

 クルマのトランスミッションにおいて、大きくマニュアル(MT)とオートマチック(AT)に分けることができます。
 
 現在では、国内の新車販売において9割のシェアを誇るATですが、複数あるシフト配列のうち「N」にはどのような意味があるのでしょうか。

AT車で存在感が薄い「N(ニュートラル)」。実は大切な役割を持っていた?

 運転時において、MTとATにおける操作方法の違いで挙げられるのは、左足でのクラッチ有無、速度変化によるシフトチェンジの有無があります。

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 6速MTの場合、シフト配列は基本的に左上「1速」、左下「2速」、真上「3速」真下「4速」、右上「5速」、右下「6速」となり、後退時の「R」は1速または6速の隣です。

 操作手順は、停止時に「N」、発進から加速度合いに応じて「1速、2速…」とシフトチェンジをおこない、後退時には「R」に入れます。

 なお、シフトチェンジ時には一度エンジンとタイヤの動力をカットするためにクラッチ操作をおこなうことで、スムーズなシフトチェンジが可能となります。

 一方のATの基本的なシフト配列は、上から「P→R→N→D→L(B/2/M)」となり、車種によってはマニュアルモードが搭載され、「D」の横に「+/−」やパドルシフトによってシフトチェンジが可能です。

 ATの操作手順は、停止時に「P」、発進時以降の前進は「D」、後退時は「R」と用途に応じてシフトチェンジをおこないますが、基本的に前進するのであれば「D」のままで走行します。

 なお、長い下り坂などでエンジンブレーキを強めにかけたい場合には「L(B/2/M)」に入れるなどのシフトチェンジで減速力を強められます。

 これらのように、MTとATでは操作手順は異なるものの、それぞれのシフト配列に意味があることが分かりますが、一見ATにおける「N」の存在意義が怪しくなります。

 MTの場合は、停止時に「N」に入れておくことや、1速から2速のシフトチェンジの際に「N」を通過するなど頻繁に使われています。

 ATに「N」にはどのような意味があるのでしょうか。自動車整備工場ならびカスタムショップを営むA氏は次のよう話しています。

「Nは、中間の意味を持つニュートラルといい、エンジンとトランスミッションが繋がず動力が切られている状態となります。

 ATでNが配置されている意味としては、その配列が関係しています、基本的に『P→R→N→D→L(B/2/M)』となりますが、NはRとDの間に配置されています。

 つまり、後退と前進の切り替わりの間に位置することとなり、それぞれ逆方向の動きを直接切り替えないように一旦ニュートラルにする役目としてNがあるのです。

 Nが無い場合、ニュートラル状態が存在しないため逆方向の力が無理に切り替わることで、トランスミッションが破損する可能性もあります。

 そのため、MTでのNの使われ方の同じようにそれぞれの動きの緩衝材的な存在だといえます」

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 また、エンジントラブルなどでクルマが動かなくなった場合、MTであれば「N」の状態で押して移動出来ます。

 同じく、ATではシフトレバー付近にある「シフトロック解除」というボタン(穴)を押すことでシフト操作が可能となり、「N」にして移動されることが出来るのです。