画像はイメージです(以下同)

 2020年1年間で、全国の警察にはストーカー被害の相談や通報が2万189件も寄せられ、8年連続で2万件を超えたそうです。

 桶川ストーカー殺人事件をきっかけに、ストーカー規制法が施行されたのが2000年。それでも減らない被害に、つきまといなどに対する禁止命令がすみやかに出されるようになったり、女性だけでなく男性も保護対象になったり、加害者が同性でも適用されるようになったり。時代に合わせて、法律の中身は改善されてきました。

GPSの悪用、郵便物の送りつけは規制法の穴だった

 そして今、さらなる法改正が国会で審議されることになっています。

 注目すべきは2点。ひとつは、全地球測位システム(GPS)を悪用したつきまとい行為が規制の対象となることです。昨年、GPSを使って監視する行為はストーカー規制法で禁じられている行為に当たらないという最高裁判決が出されたのですが、それが逆に法律の見直しを求める動きを加速させたのです。

 そして、もうひとつは、文書を連続して送付することもつきまとい行為として認められること。電話をかけたり、ファックスや電子メールを送るなどの行為は規制されていたのですが、手紙や贈りものを送りつけるなど「郵便物」は意外にも対象外だったのです。

◆ひそかにGPSをつけられるという恐怖

 警察庁の有識者検討会が2021年1月にまとめた報告書(※1)には、こうした法律の穴を使った、空恐ろしい被害実態が紹介されていました(以下、編集部が一部リライト)。

●相手の使用する自動車にひそかにGPS機器を取り付け、位置情報を取得。その位置情報を基に、相手のいる場所に押し掛け復縁を求めたほか、位置情報により把握した相手の転居先に赴いて、窓ガラスを割り、その後、もともと住んでいた住宅を放火した。

●郵便物が転送されることを見込んで、手紙の中にGPSを入れて送りつける。

●宅配便や書留を相手が受け取ると、送り主のスマホに、受領したという連絡が来る。これを悪用し、相手の自宅近くで待っていて、確実に受け取ったことを把握したら、そこからずっと監視する。あるいは声をかける。

 こうした行為が、つきまといにならないって、ホントにおかしいですよね。正直、意味がわかりません。明らかに、ストーカー規制法が現実の被害にそぐわなくなっていたのです。

◆ストーカー規制法で裁けない被害は少なくない

 ストーカー規制法改正を推進すべく活動する「ストップ!つきまといプロジェクト」調査チーム(※2)が20~59歳男女に行った実態調査(※3)でも、いまのストーカー規制法では対応できない被害が起こっていることがわかりました。

 被害経験として多かったのは、やはり
・望まない面会や交際の執拗な要求(14.3%)
・つきまとい、待ち伏せ、押しかけ、うろつき(14.0%)
といったもの。

 しかし、
・無断でGPS端末を設置される、位置情報共有・追跡アプリをインストールされる(1.3%)
・探偵・興信所などを利用して身辺調査される(1.9%)
・望まない手紙や贈り物の送付(7.4%)
といった被害を経験している人がまちがいなくいるのです。

 今回、改正されればGPSでの監視もいらない不快な手紙や贈り物も規制対象になるわけで、被害実態に合わせたアップデートは大歓迎。
 でも、これで一安心、とは決して言えないのです。

◆まったく知らない相手がストーカーになることも多い ストーカーというと、別れ話のもつれがきっかけ、というイメージがいまだに根強いかもしれません。しかし、決してそれだけではありません。
 同調査によっても、交際相手や元交際相手がストーカーになることは多いけれど、まったく知らない相手からの被害も少なくない、ということが明らかになっています。