ローマのスクデット獲得に貢献した中田は今もファンから愛されている。(C) Getty Images

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 英国の老舗サッカー誌『FourFourTwo』が、元日本代表MF中田英寿の特集記事をサイト上に公開した。3月号に掲載されたものだという。

「日本でデイビッド・ベッカムに匹敵する人物。ヒデトシ・ナカタを偲んで」と題した記事は、「ソン・フンミン以前は、ローマのプレーメーカーで、ボルトンで物語が終わったナカタが、アジアで最高の才能だった」と綴り、そのキャリアを紹介している、

「小さい頃のナカタはあまりサッカーを見なかった。しかし、彼は『キャプテン翼』を見ていた。フェルナンド・トーレスからアレッサンドロ・デル・ピエロ、アンドレス・イニエスタまで、多くのサッカー選手に愛されている1980年代のアニメシリーズだ」

 そう切り出した『FourFourTwo』は、「ナカタはスーパースターだった。ブランドを持つサッカー選手が標準ではなく例外だった時代に、有望な日本MFは世界で最も市場性のある選手だった」とし、その人気ぶりを振り返っている。

「ナカタは至るところに登場して、ポスターのポーズをとったり、酒を売ったり、ヘアスタイルのトレンドになったり、コカ・コーラ、マスターカード、トヨタ、ナイキなどのコマーシャルをしたりしていた。ハンサムな彼は、ファッションモデルになり、流行に敏感な男性のライフスタイル雑誌『Monocle』の編集者にさえなった」

 プレースタイルについては、「非常に巧みな選手で3度のバロンドールへのノミネートがそれを証明している。ピッチでキラキラと輝く瞬間を生み出し、どこからともなくチャンスを作り出した」と綴り、プレービジョンとインテリジェンスを称賛している。

 印象的な活躍には、やはり2000-01シーズンにローマにスクデットをもたらしたユベントス戦のゴールを挙げている。優勝を争うライバルとの大一番で、0−2のビハインドという状況で、チームのアイドルであるフランチェスコ・トッティに代わってピッチに立った中田は、強烈なミドルシュートをネットに突き刺し、反撃の狼煙を上げる。

 さらに、後半アディショナルタイムにも、鋭いシュートを撃ち込み、ヴィンチェンツォ・モンテッラの同点弾を演出。この試合でユベントスに勝点差を詰められなかったことが大きくモノを言い、ローマは18年ぶりのリーグ制覇を成し遂げたのだった。

【動画】スクデットを手繰り寄せる衝撃の一撃! 中田英寿がユベントス戦で決めたスーパーミドル弾
「2000-01シーズンのタイトルを勝ち取った時の役割により、イタリアの首都で愛情を込めて記憶されている」と記事は伝え、「ナカタの衝撃はキャプテン翼そのものだった」と締めくくっている。

 この中田の活躍により、ヨーロッパでプレーする日本人選手は一気に増え、現在は欧州組だけで日本代表を構成できるほどになった。そのなかでも、「日本のベッカム」が残したインパクトは絶大のようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部