3連勝を達成した徳島戦後、ロドリゲス監督と喜びを分かち合う槙野。安定したプレーで失点は減少傾向に。(C) SOCCER DIGEST

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[J1リーグ9節]浦和1-0徳島/4月11日(日)/埼玉

 浦和レッズは11日のJ1リーグ9節、徳島ヴォルティスをホームに迎え撃ったゲームで1-0の勝利を飾り、2019年4月以来の3連勝を飾った。その3勝目となった清水エスパルス戦は、「興梠慎三が平成ラストゴールを決めた」と話題になった一戦だったので、令和になって初の3連勝ということになった。

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 この徳島戦までのリーグ9試合を終えて12失点をしているものの、リカルド・ロドリゲス監督が「確かに今まで多くの失点をしているが、そのうちの8失点は川崎フロンターレ戦(0−5)と横浜F・マリノス戦(0−3)の2試合で起こったもの」と話したように、残り7試合では4失点であり、無失点試合も4試合になった。

 特に、昨季までサイドからのクロスに脆弱性を見せてきた最終ラインは、大きくメンバーが代わったわけではないものの、トレーニングキャンプでの狭いエリアで始まったメニューによる意識づけから、ポジショニングの修正、シュートブロックに飛び出す選手の身体の向きといったきめ細かい指導が結果に出ている。

 そして、原則的には片方のサイドに追い詰めて、大きなバックパスを経由した場合以外は逆サイドへ展開させないという守備戦術もまた機能している。ボール保持率が高まったことで、攻撃を受ける回数自体が減ったことも作用している面があるだろう。

 一方で、やはり課題になり続けているのは得点力だ。この3連勝では2点、2点、1点と合計5ゴールを奪ったものの、流れの中からは2点。9試合を終えて8得点で、そのうち5点がセットプレーという状況は、最終ラインから運んだボールをビッグチャンスにつなげる回数の少なさが根本的な問題として横たわる。

 2月にブラジル人ストライカーのレオナルドが中国へ電撃移籍して始まったシーズンは、杉本健勇が1トップでプレーする、武藤雄樹がゼロトップ気味にプレーする、武藤、明本考浩、興梠慎三の誰かが杉本と2トップを組むというパターンがこれまで前線ではあったものの、「これ」と言える組み合わせが見つかっていないのが現状だ。

 そうした中で、浦和は徳島戦後の夜に、新加入のデンマーク人FWキャスパー・ユンカーが来日し、これからJリーグが管理する施設で14日間の隔離期間に入ると発表した。187センチの長身ではあるものの、ノルウェー1部リーグで得点王とMVPをダブル受賞したプレーは、左足でゴールを量産するストライカーという側面が強い。攻撃の仕上げで、これまでにないものをチームにもたらす存在として、現状を打破するキーマンとして期待がかかる。

 順調なら約2週間後にチームへ合流するだけに、前述したFW陣にとっては4月だけで公式戦が4試合残っている今のうちにアピールしなければ、今後のシーズンで出場機会を失う可能性もある。自陣からビルドアップして敵陣までボールを運んでいく部分では、試合ごとに改善の兆しを見せている。あとは、誰がチームに勝利をもたらすゴールを決める存在になれるのか。この問題が解決すれば、浦和が一気に上位争いに加わってきても不思議ではない。ユンカーへの期待と同時に、日本人ストライカーたちの奮起も求められている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部